介護職員等ベースアップ等支援加算とは?また介護の出費が増える、第三の処遇改善

介護のことはじめ

2022年10月、介護保険の制度が変わります。
介護サービスを受ける際に、サービス事業所に支払う自己負担金が増えます。これは、「介護職員等ベースアップ等支援加算」という項目が介護報酬に追加されたことによります。

利用者家族
利用者家族

はじめて聞きました!

それ、どんな加算ですか?

ケアマネ
ケアマネ

介護職員の待遇を改善するための新しい加算ですよ。

詳しくはこのあとで紹介していきますね。

介護職員等ベースアップ等支援加算とは何か?どんな加算なのか?
そして金額が増えるとしたらどのくらい増えるのか?

今回は新しく創設された介護職員等ベースアップ等支援加算について解説します。

介護職員等ベースアップ等支援加算とは何か

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介護職員等ベースアップ等支援加算を一言で説明すると、「介護職員の待遇を改善するための加算」です。

介護保険のサービス利用料金は、介護報酬という国が設定した単価に基づいて決められています。この介護報酬は、ベースとなる基本報酬と、事業所の体制などに応じて加えられるオプションとなる加算に分かれます。
基本報酬と加算を合わせ、地域区分による加算などを加味した金額が介護サービス事業所の受け取る報酬となります。
介護報酬のすべてが介護保険の財源で賄われるわけではなく、サービスを利用する人が支払う金額もあります。所得に応じた自己負担割合に応じて、この報酬のうちの1割から3割のいずれかの金額が自己負担となり、利用者からサービス事業所に支払う仕組みとなっています。
介護サービス利用に関する費用についてはこちらに詳しく記載していますのでご確認ください。

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この介護報酬における加算のひとつに、介護職員等ベースアップ等加算が新しく追加されます。
ここからは、なぜこのような加算が突然生まれたのかをお伝えします。

介護職員等バースアップ等支援加算が生まれた理由

介護職員等ベースアップ等支援加算は介護職員の待遇を改善するための加算だとお伝えしました。
なぜこの加算が必要になったかというと、そのとして介護人材の不足・介護現場の人手不足があげられます。
厚生労働省の推計によると、高齢化のピークが始まる2025年には介護職員の数が253万人必要になるとされています。この数値目標を達成するためには、毎年介護職員の数を5万人増やしていかなければいけないのですが、少子化による労働者不足・外国人介護人材の確保のめどが立たない・介護分野からの離職率の高さなど、介護の担い手不足はますます深刻化しているのが現実です。

介護職員が不足する将来推計

そこで岸田政権が目玉政策として、介護職員の給与を月額3%(約9000円)賃上げすると明言。
当初は全額国庫を財源とする補助金として介護サービス事業所に支払われていましたが、2022年10月からは加算として、介護保険の報酬構造に組み込まれることになりました。

こうして生まれたのが「介護職員等ベースアップ等支援加算」です。
ここからはこの介護職員等ベースアップ等支援加算について具体的な内容を紹介していきます。

介護職員等ベースアップ等支援加算の内容

どんなサービスが対象になるの?

介護職員等ベースアップ等支援加算はすべてのサービスで追加されるわけではありません。その名の通り、「介護職員」の支援を目的とした加算なので、介護職員が勤務し・サービス提供しているサービスが対象になります。
つまり、介護職員がサービスを提供していないサービスはこの加算の対象外です。
例えば、看護師が自宅に訪問する訪問看護、理学療法士や作業療法士等が自宅を訪問する訪問リハビリ、福祉用具のレンタル、介護リフォームを行う住宅改修、往診のお医者さんや歯医者さんや薬剤師さんが来た時に算定される居宅療養管理指導、ケアマネジャーによる居宅介護支援など、これらのサービスは介護職員等ベースアップ等支援加算の対象とはなりません。
また、利用するサービスによって、加算率が異なっていますので、もう少し先の項目で詳しくお伝えします。

介護職員処遇改善加算とは違うの?

これまでも似たような加算で、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算という2つの加算がありました。いずれも介護職員のキャリアアップや労働環境の改善などの要件をクリアし、都道府県に承認された事業所が受け取る加算でした。
今回新しく介護報酬に位置づけられる介護職員等ベースアップ等支援加算は、既存の処遇改善加算の上乗せ加算と考えるのがわかりやすいと思います。介護職員等ベースアップ等支援加算を算定するためには、処遇改善加算のランクⅠ~Ⅲいずれかを取得することが条件となっています。なので、介護職員等ベースアップ等支援加算は第三の処遇改善加算とも呼ばれています。

こちらの図のような構造となっています。

ベースアップ等支援加算の構造
厚生労働省資料より

別々の加算にしないで、ひとつにまとめればわかりやすいんですけどね。利用する側にとってもますます複雑でわかりにくくなっています。余談ですが、介護報酬のこのような複雑でツギハギだらけの算定構造はたびたび問題視されて、介護報酬の見直しの議題にも挙がっていますが、なかなか見直しされません。

どのくらいの金額が増えるの?

気になるのは、どのくらいの金額が上乗せされるのか、という部分かと思います。
こちらに紹介するのは厚生労働省の資料で、サービス種別ごとの加算率が掲載されています。

サービス種別ごとの加算率
厚生労働省資料より

一番加算率の高いサービスは訪問介護。介護職員以外の職員の割合が少ないサービスで、人件費率の高いサービスなので、訪問介護が最も高い加算率となっています。
訪問介護の場合は、介護職員等ベースアップ等支援加算が2.4%です。
この加算率は、介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算を除いた介護報酬総額に掛け合わされ、追加されます。

例:訪問介護の場合
処遇改善加算・特定処遇改善加算以外の自己負担が一割で、月10,000円だとしたら、これに加算率(訪問介護=2.4%)が掛け合わされ、240円がベースアップ等支援加算として追加されます。

介護職員「等」ベースアップ「等」支援加算の「等」ってなに?

この加算の名称、「等」という文字が2つも入っています。
介護職員「等」ベースアップ「等」支援加算という名称、不思議ですね。

まず最初の「等」、介護職員等になっているのは、介護職員以外の職員も対象にできるということです。
例えば特別養護老人ホームであれば、介護職員以外にも看護師やケアマネジャーなどの他職種にも一定のルールのもとで配分することができます。

2つ目の「等」、ベースアップ等になっているのは、加算分の金額はベースアップに限定しなくてもいいためです。
2/3はベースアップとして支給することになりますが、残りの1/3は一時金などにすることも可能です。

このため、加算名称には2つの等がついています。
つまり、事業所の実態に合わせてある程度の裁量を持たせているということがわかります。

ベースアップ等支援加算を請求しない事業所もあるの?

実は対象となるすべての事業所でこの加算を請求するわけではありません
すでにお伝えした介護職員処遇改善加算のランクⅠ~Ⅲに該当しない事業所はこの加算を請求することはできないため、対象外となります。この条件を満たさない事業所が全体のおよそ1割となっています。

それ以外にも、加算で上乗せされた額の3分の2以上はベースアップ(時給・日給・月給などの基本給や毎月必ず支払われる手当)として介護職員に支給し、残りの分も賞与や一時金にして支給するなどの要件が定められています。ベースアップ等支援加算という名前がついているだけあって、ボーナスや一時金ではなく、ベースアップの原資にすることが求められています

これらの基準をクリアしない事業所はこの加算を請求することはできないので、自己負担の金額が追加されることもありません。

まとめ

介護職員等ベースアップ等支援加算について解説しました。

介護職員等ベースアップ等支援加算をかんたんにまとめると以下の通りとなります。

  • 人手不足が深刻な介護職員の待遇を改善するために生まれる加算
  • 処遇改善加算・特定処遇改善加算に上乗せされる
  • 利用サービスによって加算率が異なるが、最高で2.4%の上乗せ
  • 請求しない事業所もある

すでにサービス事業所やケアマネジャーから説明などを受けた方もいるかと思いますが、非常に複雑な内容で「わかりにくい」と感じるのも当然かと思います。

また、介護職員の人手不足を補うのは必要かもしれないけれど、利用する側がなんでお金をカンパしなきゃいけないの?という率直な疑問も当然だと思います。

現在、社会保障費の限られた財源をどのように回していくか、現役世代の負担が大きくなりすぎないためにはどうしたらいいか、という課題がある中で介護保険運営の見直しが行われており、今後も利用する側にとってはあまり望ましくない制度改定が行われていくことも予想されます。

介護が魅力的な仕事と認知されるようになり、待遇も改善し、介護の仕事をする人がもっと増え、サービスの質が向上していくような好循環が生まれることを期待したいですね。

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