ユーザーの方から届いた質問に介決サポーターがお答えします。
今回は介護に必要な「紙おむつ代」についての相談をいただきましたので紹介します。
質問「紙おむつ代を節約したい」
80台の母と二人暮らしをしています。母は2か月前から、歩く力がなくなり、ふらふらするようになりました。トイレまで間に合わずに失禁してしまうことが増え、今は昼も夜も紙おむつで過ごしてもらっています。
ただ、紙おむつにかかる出費が思いのほか大きいことに悩んでいます。先月は紙おむつ代で1万円を超えていました。恥ずかしい話ですが、お金に余裕があるわけではなく、紙おむつにこんなにお金がかかるとは思っていなかったので、想定外の出費です。これから毎月この金額の出費が必要になると思うと憂鬱です。
紙おむつ代を節約する方法はないのでしょうか。
―――という質問でした。
では、在宅介護の強い味方「介決サポーター」からのアドバイスをお願いします。
介決サポーターがお答えします!
ご相談ありがとうございます。
介護にかかる費用は、介護保険の在宅介護サービスだけでなく、こういった消耗品の出費もあります。積もり積もると大きな負担になってしまいます。また、介護は子育てと違い、長期間にわたって紙おむつが必要になる場合も多いです。
紙おむつ代は使用する紙おむつの種類や量によっても異なりますが、多ければ月に1万円を超えることもあります。
月1万円の出費が10年続けば、紙おむつ代だけで合計120万円もかかることになります。少しでも安くしたいと思うのは当然のことです。
今回は紙おむつの節約術について紹介していきます。
節約の前に、まずは適切な紙おむつ選びを
紙おむつの節約術の話をする前に、正しいおむつ選びができているかを確認しましょう。
なぜ紙おむつ選びが必要かというと、紙おむつの選び方を間違えると、余計な出費が増えてしまうからです。
使う人に合った種類の紙おむつを組み合わせて選ぶことが節約のための第一歩となります。
紙おむつと一言で言っても様々な種類があります。大きく分類すると、パンツタイプ(リハビリパンツ)とテープ式タイプ、そしてインナーとなる尿取りパッドの3種類が代表的です。
パンツタイプ(リハビリパンツ)
パンツタイプは「リハビリパンツ」とも呼ばれ、一般のパンツのように足を通して履くタイプになっています。パンツタイプのメリットは、一般のパンツと形状が似ているため、違和感や抵抗感なく履くことができることです。あまりゴワゴワせず、履き心地も比較的快適です。動きやすく、通気性もいいので、トイレまで歩いて行ける方や座った姿勢を保持できる方などに適しています。
ただし、吸収量はこの後に紹介するテープ式よりも少なく、オムツと肌の間に隙間ができやすいのでオムツの外に尿が漏れてしまう可能性が高いというデメリットもあります。
テープ式タイプ
テープ式タイプは両サイドからテープで固定するタイプの紙おむつです。テープの位置を調整できるので、体型に合わせてフィットさせることができ、漏れにくいのが特徴です。吸水量もパンツタイプよりも多く、特に長時間用・夜用などのタイプでは6回分・8回分の排尿も吸収できるものもあります。
動きにくさや通気性の悪さなどのデメリットもありますので、寝たきりの方が使用する場合が多いです。また、パンツタイプだと夜間に漏れてしまうので、夜間だけはテープ式を着用されるという場合もあります。
また、一枚当たりの単価が最も高いのがこのテープ式タイプとなります。
尿取りパッド
すでに紹介した2つがアウターで、これから紹介する尿取りパッドはその中に入れるインナーとなります。
パンツタイプもしくはテープ式タイプの紙おむつの中に、この尿取りパッドを入れて併用することがおすすめです。すでに紹介した2つのタイプに比べて圧倒的に安いことが最大のメリットです。尿取りパッドだけで排尿をキャッチすることができれば、外側のパンツタイプやテープ式タイプを交換する必要はなく、介護の手間も少なくなり経済的です。この尿取りパッドをインナーにし、アウターとなるパンツタイプやテープ式タイプと組み合わせ、尿取りパッドをフル活用していくことも費用節約に重要なポイントになります。
尿取りパッドにも夜用や軽失禁用など様々なタイプがあります。吸水量や形状など、用途に合ったものを選ぶ必要があります。
3種類の紙おむつを紹介しました。今使っている紙おむつの組み合わせが本人の状態に合っているのか、今一度確認しましょう。
歩いてトイレに行けるけれど、間に合わず失禁してしまうという方にテープ式タイプを使っていませんか?
尿取りパッドを使っていないために、少しの排尿で毎回テープ式オムツを交換していませんか?
おしっこの量は少ないのに、夜用の紙おむつを一日中履いているなんてことはありませんか?
まずは適切なおむつ選びができているかどうか、普段使っている紙おむつを見直すことで結果的に節約につながるかもしれません。
では、本題の紙おむつ代の節約方法について、次の章で解説していきます。
紙おむつ代の節約方法、3つのポイント
紙おむつ代の節約方法を3つ紹介します。
紙おむつ代を節約する方法をひとつずつ紹介します。
自治体の紙おむつ給付・助成制度を利用する
紙おむつ代を節約する方法、ひとつ目は自治体の紙おむつ給付・助成を利用することです。
介護保険とは別に、在宅介護をされる家族を経済的に支援するために、紙おむつ給付事業や紙おむつ購入費助成を行っている自治体があります。
対象者や支給金額などは自治体によって異なります。横浜市を例に紹介します。
(対象者)
寝たきり又は認知症の状態にある在宅の要介護者(要介護4又は5の方及び要介護1~3で各区福祉保健センター長が必要と認めた方)で、属する世帯が生活保護受給世帯等または市民税非課税世帯の方
(利用基準限度額)
ご利用者の身体状況に応じ、次の表のとおりです。
2,000円を1単位として、毎月、上限基準額の範囲内で変更できます。
・要介護4又は5に該当する方:8,000円(4単位)
・要介護1~3に該当し福祉保健センター長が必要と認めた方:6,000円(3単位)
(利用者負担額)
ご利用になる紙おむつの利用基準額の1割(1単位:200円、2単位:400円、3単位:600円、4単位:800円)が自己負担額となります。
ただし、生活保護受給世帯等の方については、自己負担額は無料となります。
紹介したのは横浜市の例ですが、市町村によって制度の取り扱いは異なります。
無料で支給し宅配する自治体や、所得制限を設けていない自治体もあります。
お住まいの自治体が行っている給付・助成事業の内容を確認し、行政機関の窓口で申請をしましょう。
詳細は担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、役所の担当課に相談することをお勧めします。いずれにしても申請しなければ受給することはできませんので、対象に該当するようであれば早めに申請しましょう。
紙おむつ代を節約する方法ひとつ目、自治体の紙おむつ給付・助成制度を利用することについて解説しました。
確定申告で医療費控除を受ける
紙おむつ代を節約する方法、ふたつ目は医療費控除を受けることです。
一年間にかかった医療費を確定申告の際に申告することで、支払った所得税の一部が還付される場合があります。年間10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人の場合は、総所得金額等の5%)以上分の医療費があれば申告することができます。これを医療費控除と言います。
診察代や薬代、介護保険のサービスも一部医療費控除の対象となります。そして、条件を満たせば、紙おむつの購入費用も医療費控除に含まれます。
紙おむつ購入費用が医療費控除の対象になるのは以下の場合に限られます。
おむつ試用証明書はかかりつけの医療機関に発行をお願いしましょう。
確定申告の時期(毎年2月16日~3月15日)に税務署に「紙おむつ証明書」と紙おむつ購入時の「領収証」を添えて申告を行います。医療費控除の対象になる可能性があれば、紙おむつ購入時のレシートは保管しておきましょう。
紙おむつ代だけでなく、介護サービスの費用も医療費控除に該当するものがあります。あわせて確定申告で医療費として申告することをお勧めします。詳細は下記の記事をご参照ください。
紙おむつ代を節約する方法ふたつ目、医療費控除を受けることについて解説しました。
ネット通販の定期配送などで安く購入する
紙おむつ代を節約する方法、みっつ目は定期配送などで安く購入することです。
紙おむつを購入する場所としては、薬局・ドラッグストア・スーパーなどが一般的です。ただ、より安く購入するためには、インターネットショッピングを活用することをお勧めします。
インターネットで購入するメリットとしては、以下のようなものがあります。
購入する紙おむつの種類が決まっているのであればネットで購入することをお勧めします。
さらにお得に購入するために、定期配送を利用する方法を紹介します。例えば、ネットショップサイト大手amazonであれば、「amazonおトク定期便」という定期配送サービスを利用することができます。希望の頻度で無料配送してもらい、金額も最大15%オフとなりますので、定期購入でさらに安く購入することができます。
紙おむつの購入にはインターネットを賢く活用していきましょう。
ネットショップのamazonでも紙おむつの種類は豊富に取り揃えていますので、今お使いの紙おむつと同じ商品が売っていれば、ネット購入に切り替えてみることをお勧めします。
紙おむつ代を節約する方法みっつ目、定期配送などで安く購入することを紹介しました。
紙おむつ代の節約術をご紹介しました。少しでも節約したいと思っている人はぜひお試しください。
まとめ
紙おむつ代を節約する方法を紹介しました。
在宅介護では、介護サービスの費用、医療費、食事、紙おむつ代と様々な費用がかかります。長くご自宅で介護を続けていくためには、経済的な負担を少なくしていくことも大事なポイントです。
ひとりで悩まず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、行政窓口等に相談しながら、費用負担を減らす方法を検討しましょう。