「リハビリってどこでできるの?」リハビリ関連サービスの特徴と選び方

リハビリってどこで受けられるの? 介護のことはじめ

ユーザーの方から届いた質問に介決サポーターがお答えします。
今回の質問者はリハビリができる場所について悩んでいるようです。

質問「リハビリってどこでできるの?」

こんにちは。私は85歳になる父と同居している娘です。母は10年前に亡くなっており、父にとっての家族は私しかおりません。

先日、父が脳梗塞を発症し、病院に救急搬送されました。幸い発見が早かったので重症ではなく、病院でのリハビリを経て、退院することとなりました。もともと自宅には手すりをつけており、段差も少ないので、退院後の生活には支障はないでしょうと、リハビリの先生からはお墨付きをいただいています。

ただ、病院での様子を聞くと、筋力はかなり衰えており、わずかですが麻痺もあると聞きました。病院でのリハビリは退院と同時に終了となり、退院後は介護保険を使ってリハビリをしてくださいということでした。

急なことだったので、病院からケアマネジャーさんを紹介してもらうという話にはなったのですが、自宅に帰ってきてからちゃんとリハビリを受けられるのか心配です。病院では毎日しっかりリハビリしていただいていたのに、それがなくなると歩けなくなってしまうのではないかと危惧しています。

介護保険ではどんなリハビリを利用できるのでしょうか。父に合ったリハビリが受けられるのでしょうか。

―――という質問でした。
では、在宅介護の強い味方「介決サポーター」からのアドバイスをお願いします。

介決サポーターがお答えします!

ご相談ありがとうございます。

整形外科医による診察を受ける車いす男性

脳梗塞でのご入院、娘様も心配だったと思います。軽症でご自宅に退院できることになり、よかったですね。

入院中は病院でしっかりリハビリができたものの、退院と同時にそれがなくなってしまうことを不安に感じているのですね。これからは介護保険でリハビリと言われても、どんなメニューがあるのかわからないというのも当然のことだと思います。

では、介護保険でできるリハビリについてご紹介していきます。

医療保険と介護保険、リハビリの違い

リハビリテーションを行う理学療法士

まず、医療保険と介護保険のリハビリの違いについて説明します。

医療保険のリハビリは病院・クリニックなどの医療機関で行われます。外来通院・入院など、医療機関の管理・医師の指示のもとでリハビリテーションを行います。理学療法士・作業療法士といったリハビリテーション専門職がプログラムを作成し、治療・訓練を行います。

医療保険のリハビリテーションでは充実した設備や専門職の配置により、質の高いリハビリを集中的に受けることができますが、制度上利用できる日数の制限などもあります。

介護保険のリハビリは、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションなどの事業所が実施します。医療保険のリハビリと比較すると設備や専門職の配置などに劣りますが、長期にわたるリハビリテーションを受けることや、実際の生活課題にあわせてプログラムを作成してもらうなどのメリットがあります。

疾病や障害によって、リハビリテーションを大きく3つの段階に分けて、それに合わせたリハビリテーションが必要です。

  • 全身管理の必要な状態など、リスクの高い状態から早期介入を行う急性期リハビリテーション
  • リスク管理を行いながら集中的に機能回復・生活機能の改善を目指す回復期リハビリテーション
  • 回復した機能の維持と改善・再発予防を目指す維持期リハビリテーション

この3つの段階によって利用できるリハビリテーションの種類が異なります。

医療保険のリハビリが主に急性期から回復期までを対象としているのに対し、介護保険は維持期を対象にしたリハビリを提供しています。病院で一定の段階までリハビリを行った後は維持期リハビリテーションへの移行として、介護保険のリハビリに移る場合があります。

リハビリって医療のサービスじゃないの?と考える方も多いと思いますが、介護保険制度は自立支援を理念として制度設計されています。自立支援という考え方、これはそのままリハビリテーションの概念と結びつきます。介護が必要になっても、自分の能力を最大限に活用する、または失った能力を取り戻すことが、その人らしい人生を送るためには必要です。

リハビリはマッサージとも異なりますので、詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。

では、維持期を対象としたリハビリテーションを行う介護保険のリハビリ。どのようなものがあるのか、次の章で具体的に紹介していきます。

介護保険のリハビリテーション

介護保険制度では具体的にはどんなリハビリテーションを受けることができるのでしょうか。
リハビリテーションのために利用できる3つの介護保険サービスを紹介します。

通所リハビリテーション

通所リハビリテーションを利用する女性高齢者

通所リハビリテーションは日帰りの通所系サービスで、施設内でのリハビリを行います。病院・クリニック・介護老人保健施設に併設されており、理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション専門職を配置しています。

リハビリテーション医の指示のもと、生活課題に応じたプログラムを設定し、リハビリを行います。事業所の中でのリハビリを行うだけでなく、自宅の環境をリハビリテーションスタッフ等が確認し、その生活実態に合わせた課題を提案・リハビリに生かしています。
リハビリだけでなく、デイサービスと同様に食事や入浴、排せつなどのケアを受けることができます。利用にあたっては送迎のサービスも受けることができます。

現在、全国で8,116か所の通所リハビリテーション事業所がサービスを提供しています。お近くの通所リハビリテーション事業所をお探しの方は、こちらのリンクから全国の事業所を検索することができます。ぜひご活用ください。

[事業所検索へのリンク]

在宅介護の事業所検索 いえケア

訪問リハビリテーション

利用者の相談に乗る訪問リハビリテーションの理学療法士

訪問リハビリテーションは利用者のご自宅に理学療法士・作業療法士などのリハビリテーションスタッフが訪問してリハビリを行うサービスです。

リハビリテーション医の指示のもと、病院・クリニック・介護老人保健施設などからリハビリテーションスタッフが派遣されます。自宅の環境に応じて、生活課題を検討し、リハビリテーションを行います。

自宅にいながら、マンツーマンでリハビリを受けることができるというメリットがあります。

ただ、一回の訪問リハビリの時間はおよそ40分から60分程度と時間が短いこと、病院や通所リハビリテーション施設などのようなリハビリ設備がない、というデメリットがあります。

訪問リハビリテーション事業所ではなく、訪問看護ステーションに理学療法士・作業療法士の配置がある場合、訪問看護と併せて訪問でのリハビリを受けることもあります。料金体系などは異なりますが、提供する内容は訪問リハビリテーションも訪問看護のリハビリテーションでもほぼ変わりません。

訪問リハビリテーション事業所は現在5,188事業所がサービスを提供しています。お近くの訪問リハビリテーション事業所をお探しの方は、こちらのリンクから全国の事業所を検索することができます。ぜひご活用ください。

[事業所検索へのリンク]

在宅介護のいえケア バナー

デイサービス

デイサービスで行う運動・訓練・ストレッチ
通所リハビリテーション施設ではなく、デイサービスでもリハビリを受けることが可能です。

最近は運動機能改善に力を入れている機能訓練特化型デイサービスも多く、理学療法士・作業療法士などのリハビリテーション専門職を配置している事業所も増えています。

3時間から4時間という短時間・半日型のデイサービスも多く、入浴や食事といったサービスを提供せずに、リハビリに特化したサービスを提供する事業所も多くあります。

通所リハビリテーション事業所と同様に個別のプログラムを作成し、体力測定・評価を行いながら、生活課題・目標の達成を目指して機能訓練を行っています。事業所によって、マシントレーニングを中心にしている事業所・ヨガのトレーニングを中心にしている事業所・関節運動や可動域訓練(マッサージ)などを中心にしている事業所など、特徴が異なります。

このような機能訓練特化型デイサービスが地域にあるのか、ケアマネジャーさんや地域包括支援センターに確認するといいでしょう。

現在、デイサービス事業所は全国に43,445か所あります(通所介護・地域密着型通所介護含む)。その中に、機能訓練特化型デイサービスも含まれています。デイサービスをお探しの方は、こちらのリンクから全国の事業所を検索することができます。ぜひご活用ください。

[事業所検索へのリンク]

在宅介護の事業所検索 いえケア

介護保険で行うことのできるリハビリテーション、3つのパターンを紹介しました。

・通所リハビリテーション
・訪問リハビリテーション
・デイサービス

この他にも、介護老人保健施設などに一定期間(おおむね三か月)入所し、リハビリを行う場合などもあります。

介護保険の在宅サービスの種類についてはこちらの記事でまとめていますのでご確認ください。

介護保険で行うリハビリテーションを解説しました。

まとめ

維持期のリハビリテーションは介護保険に移行するケースが増えています。

介護保険制度利用に関しては担当のケアマネジャーさんを中心に、地域にあるリハビリテーション資源の情報を確認し、サービスを選択しましょう。

病院を退院する際には、どのようなリハビリを行ってきたのか、リハビリするにあたっての注意点などの情報を引き継ぐことが重要です。退院前のカンファレンスや、退院時のリハビリマリーという書類を活用することで、リハビリテーションの移行がスムーズに行えます。

そして、年齢がいくつになっても、リハビリテーションはその人らしい人生を生きるために重要です。いきいきと日々を生きるため、自分に合ったリハビリテーションを選択しましょう。

※全国の事業所数に関してはこちらのデータをもとにしています

いえケア 在宅介護の総合プラットフォーム
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