デイサービスとデイケアの違い。併用は?リハビリ内容・料金・選び方をわかりやすく比較!(2024年介護報酬改定版)

デイサービスとデイケアの違いを比較 介護コラム

この記事を監修したのは

介護認定審査会委員/株式会社アテンド代表取締役

河北 美紀

デイサービスとデイケアは、どちらも通所型の介護サービスです。一見同じように見えますが別のサービスです。この2つサービス、運営法人の種類が異なるという明確な違いがあります。

デイサービスとデイケアは、リハビリ内容と料金の部分も異なります。デイサービスとデイケアの細かな違いや、迷ったときはどちらを選べばいいのかを解説します。

★こんな人に読んでほしい!

  • デイサービスとデイケアの違いを知りたい方
  • 在宅でもリハビリを集中的に行いたい方もしくはそのご家族
  • ご自身に合った通所サービスがどちらか知りたい方

★この記事で解説していること

  • デイサービスとデイケアの大きな違いは、運営主体となる法人の種類。
  • デイサービスとデイケアは、デイケアの方が高額となる傾向にある
  • デイサービスは介護や交流を目的とする方、デイケアはリハビリや医療的ケアを目的とする方におすすめ
  • 要介護1以上であれば、デイサービスとデイケアの併用ができる
  • 夜間も頻繁な介護が必要なときはショートステイの利用もおすすめ


1. デイサービスとデイケアの違い

1-1. 運営する法人の種類によって異なる2つのサービス

デイサービスとデイケアの違い

デイサービスとデイケアは、それぞれ正式名称を「通所介護」/「通所リハビリテーション」と言います。

どちらも日中通いのサービスで、とても共通点の多いサービスです。ただし、デイサービスの運営は、民間の株式会社、NPO法人、社会福祉法人など、法人格を持った多様な主体により行われています。それに対し、デイケアは病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院と、医師が配置されている医療機関が運営主体となります。運営法人が医療機関かそうでないか、もっと言えば運営法人にリハビリの指示を行う医師がいるかいないか。これがデイサービスとデイケアの最も大きな違いです。

それぞれのサービスについて詳しく見ていきましょう。

厚生労働省によると、デイサービスの目的は「その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る*1」と規定されています。

また、デイケアの目的は「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図る*2」と規定されています。

分かりやすく言うと、デイサービスは「介護」や「社会参加」が主な目的であるのに対し、デイケアは「リハビリテーション」が主な目的という違いがあります。

デイサービスデイケア
目的施設に通って介護をうけることで、利用者の社会参加や家族の負担軽減を図る。
心身機能の維持・向上に向けた訓練は実施するが、医学的なリハビリテーションではない
施設に通ってリハビリテーション受ける。
機能訓練は、医師の指示に基づいて専門職が行うリハビリテーションである

特に重要なのが、介護保険制度では「機能訓練」と「リハビリテーション」を明確に区別しており、デイサービスで行われるのは「リハビリテーション」ではなく、「機能訓練」であるという点です。

デイケア(通所リハビリ)について詳しくはこちらの記事をご参照ください。

とは言いながらも、リハビリに特化しているデイサービスも増えています。デイケアよりも理学療法士などのリハビリ専門職を多数配置している事業所もあります。しかし、先に説明した運営主体の違いにより、デイサービスとデイケアという2つのサービス種別に分かれるということを覚えておきましょう。

1-2. デイサービスとデイケアにおける7つの違い

では、デイサービスとデイケアのさまざまな違いについてご紹介していきます。まずは下の表をご覧ください。

デイサービスデイケア
目的要介護者の介護機能訓練
介護者の負担軽減
医学的なリハビリテーション
運営主体多種多様な団体が運営できる
社会福祉法人
NPO法人
株式会社
合同会社 等
医師がいる下記の医療機関に限定されている
病院又は診療所
介護老人保健施設
介護医療院
サービス内容各種身体介護
レクリエーション
機能訓練
送迎
生活相談
各種身体介護
リハビリテーション
レクリエーション(リハビリの一環として実施)
医療的ケア
送迎
生活相談
人員体制管理者
生活相談員
介護職員
看護職員(定員10名以下の場合は必ずしも必要ではない)
機能訓練指導員(看護師等でも可)
医師
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
看護職員
介護職員
医療的ケアの体制看護師か准看護師が最低1名在籍していればよく、毎日出勤している必要はない医師、看護師、理学療法士、作業療法士などの医療職が複数名配置
訓練内容機能訓練指導員(看護師、准看護師など)がプログラムを作成訓練自体がオプションサービスである(加算)医師の指示に基づき、医療的・専門的知見によるリハビリテーションが実施される
種類通所介護機能訓練特化型通所介護
認知症対応型通所介護(認知症患者専用)
療養通所介護(医療ケアを必要とする方向け)
地域密着型通所介護(定員19名以下のデイサービス)
通所型独自サービス・従前相当(要支援認定・事業対象者向け)
通所型サービスA(指定基準を緩和したミニデイサービス)
通所型サービスB(ボランティア主体のミニデイサービス)
通所型サービスC(短期集中型の運動機能向上や栄養改善などのプログラム)
法律上は機能訓練特化型通所介護という名称はないが、通常の通所介護と区別するため便宜上の名称として使用
介護予防通所リハビリテーション(要支援認定者向け)
通所リハビリテーション(要介護認定者むけ)

デイサービスはさまざまな団体が開設でき、サービス内容も多種多様です。デイサービスの中にもさまざまな種類の施設があり、重視する点や必要な支援内容から選択できます。対するデイケアは、病院や診療所、介護老人保健施設など、医師のいる施設しか開設することができず、医療面やリハビリを重視した体制が組まれている点が特徴です。

1-3. 機能訓練とリハビリテーションの違いは「医師による指示」の有無と専門性

医師による診察

機能訓練とリハビリテーションの大きな違いは「医師による指示」があるかどうかという点です。機能訓練は機能訓練指導員と呼ばれる職員が独自にプログラムを組んで行うのに対し、リハビリテーションはリハビリに関する国家資格を持った専門職が医師の指示の下で実施する訓練を指しています。

機能訓練指導員とリハビリテーション専門職の業務内容を以下にまとめました。

機能訓練指導員*3リハビリテーション専門職
資格要件看護職員
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
柔道整復師
あん摩マッサージ指圧師
一定の実務経験を有するはり師
一定の実務経験を有するきゅう師
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
業務内容日常生活を送るうえで必要な機能の減退を防止するための訓練を行う*4【理学療法士】
医師の指示の下、身体に障害のある方に、「立つ」「歩く」「起きる」「座る」などの基本的な動作に関するリハビリテーションをする*5
【作業療法士】
医師の指示の下、身体または精神に障害のある方に、「食事」「トイレ」「家事」などの応用的な動作や「他者との交流」「社会参加」などに必要な能力に関するリハビリテーションをする*5
【言語聴覚士】
音声機能、言語機能または聴覚に障害のある方に、言語訓練などの必要な訓練や、検査、指導やアドバイスをする*6 デイケアでは嚥下訓練などの役割を主に担う

このように、機能訓練は医師の指示を受けずに機能訓練指導員が作成したメニューで訓練を行います。一方でリハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が医師の指示の下で専門的な知見に基づいた訓練を行います。

1-4. 「リハビリ」を冠したデイサービスもあるが、デイケアとは異なる

機能訓練型デイサービス

デイサービスで行われるのは「機能訓練」であり、医学的な「リハビリテーション」とは異なります。しかし実際にデイサービス事業所を調べてみると、「パワーリハ」「リハビリデイ」などの名前を冠したところがあります。このようなデイサービスは「機能訓練特化型」と呼ばれるデイサービスの一種であり、デイケアとは異なるのです。

機能訓練特化型デイは、デイサービスと介護保険上も法律上の位置づけも料金体系も基本的に同じです。運動器具を充実させたり機能訓練の時間を長くとったりと、運動プログラムに特に力を入れている点が特徴です。

しかし機能訓練特化型デイは、あくまでデイサービスの一種です。デイケアのように医師やリハビリ専門職の配置が義務付けられていません。リハビリテーションの実施内容などについても細かい制度上のルールがあるわけではありません。

機能訓練特化型デイであっても理学療法士や作業療法士など国家資格を持ったスタッフを配置している事業所もありますが、指定基準の上では必須ではありません。理学療法士が退職したために、看護師や相談員が運動プログラムを作るという場合もあります。

ただ、機能訓練特化型デイも運営法人に医師の配置がないというだけで、必ずしもリハビリの質が劣るとは限りません研鑽・成長を続け、自立支援に実績を残すデイサービスも増えています。利用を検討する際は、施設の種別だけで判断するのではなく、担当のケアマネジャーに相談し検討することが重要です。

デイサービスまたはデイケアの利用者からはこのような声がありますので紹介します。

ご利用者
ご利用者

昔は運動メニューが豊富なデイサービスに行っていました。入院したことをきっかけに、退院後は理学療法士がいて専門的なリハビリができるデイケアにした方がいいと言われ、通所先をデイケアに変えました。確かに理学療法士という国家資格の安心感はありますが、やっている内容自体はあまり変わらない。デイケアになって利用時間が長くなってしまったので、できればデイサービスに戻りたいと思っています。

ご利用者
ご利用者

デイケアには理学療法士の先生がいるので安心。デイサービスでも運動はできるけれど、

やっぱり国家資格を持った人の方がいいと思うの。

2. デイサービスとデイケアの料金の違い

2-1. デイサービスよりもデイケアの方が高い

デイサービスとデイケアの料金は、デイケアの方が高く設定されています。なぜならば、デイケアは介護職員より人件費がかかる医療系のスタッフを複数配置し、より専門的な支援内容を実施しているからです。

実際に、半日と1日で利用したときの料金を比べた表が以下の通りです。なお、昼食代・おやつ代やおむつ代はどちらの施設も自己負担です。料金も事業所ごとに異なるため、ここでは比較対象外とさせていただきました。

2024年の介護報酬改定を反映しております(デイケアの報酬改定は2024年6月からになります)

要介護度利用時間デイサービスデイケア
要介護13~4時間370円486円
7~8時間658円762円
要介護23~4時間423円565円
7~8時間777円903円
要介護33~4時間478円643円
7~8時間900円1,046円
要介護43~4時間533円743円
7~8時間1,023円1,215円
要介護53~4時間588円842円
7~8時間1,148円1,379円

参照:厚生労働省 令和6年4月版・令和6年6月版 介護報酬算定構造*7

※1回当たりの料金を1単位=10円、自己負担1割で計算。実際は地域やサービスによって異なる(デイケア1単位10~11.1円、デイサービス1単位10〜10.9円)

※各種加算は除き、基本単位数のみで計算

※通常規模事業所(前年度の利用延べ人数の月平均が750人以下)の場合

※デイケアの料金は、介護老人保健施設が実施する場合

このように、利用料金に関してはデイサービスよりデイケアの方が2~3割ほど高くなっています。料金的にはデイサービスに魅力がある一方で、デイケアは医療系専門職が充実している点が特徴です。

そのため、デイケアでは基本報酬以外の加算が算定されることが多く、この料金も大きく異なります。デイケア(通所リハビリテーション事業所)が算定可能な加算項目を紹介します。

  • 入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • リハビリテーションマネジメント加算(A)(B)
  • 生活行為向上リハビリテーション実施加算
  • 栄養アセスメント加算
  • 栄養改善加算
  • 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 口腔機能向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 科学的介護推進体制加算
  • 社会参加支援加算、移行支援加算
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)
  • 介護職員等特定処遇改善加算

なお、事業所によっては送迎に対応していなかったり、自宅が送迎サービスの対象範囲外だったりするケースがあります。この場合思わぬ時間的・金銭的負担が発生してしまいますので、事業所を選ぶときは自宅まで送迎に来てもらえるかを必ず事前に確認しましょう。

ご利用者
ご利用者

デイサービスからデイケアに変わったら料金が高くなっていてびっくりした。加算が付くからといわれていたけれど、まさかこんなに高くなるとは思っていなかった。

ご家族
ご家族

リハビリテーションマネジメント加算とか科学的介護推進体制とか、説明を受けてもよくわからないけど、言われるままに契約したらやっぱり加算の金額は高く感じます。デイサービスの方がよかったんじゃないかと思うこともありますが、リハビリも効果が出てきて、本人も楽しんでいるのでこのまま続けようと思っています。

2-2. 要支援1・2の人向けのデイサービスは定額制だが、自治体ごとに詳細が異なる

運動機能向上

要支援1・2の場合、デイサービスの料金は自治体ごとに料金形態が異なる一方で、デイケアの場合は全国一律の月額制になっています。これは平成29年4月の介護保険改訂によって、要支援向けのデイサービスが介護保険事業から外れたことが理由です。現在では、市区町村ごとに実施する「介護予防・日常生活支援総合事業(通称:総合事業)」における「通所型サービス」として実施されています。

参考例として、2か所の自治体の料金を比較してみます。

デイサービス

北海道旭川市の場合*9

  • 要支援1 1,672円/月
  • 要支援2 3,428円/月

山形県鶴岡市の場合*10

  • 要支援1 1,672円/月(月4回以内の場合は、384円/回)
  • 要支援2 3,428円/月(月8回以内の場合は、395円/回)

デイケア*8

  • 要支援1 2,268円/月
  • 要支援2 4,228円/月

要支援者向けのデイサービスとデイケアでも、デイケアの方が料金が高くなっています。どちらも基本的に月額制ですが、通所型サービスの場合は自治体によって1回当たりの単価設定が別途設けられているところもあります。今回は比較のため一律1単位=10円で計算していますが、実際は地域によって1単位=10円〜11.4円と幅があります。詳しい料金について知りたい場合は、自治体の介護保険担当窓口や最寄りの地域包括支援センターに問い合わせるとよいでしょう。

3. デイサービスとデイケアのおすすめの選び方

デイサービスとデイケアの違い

3-1. デイサービスがおすすめな方

デイケアではなくデイサービスがおすすめな方は、次のいずれかに当てはまる人です。

  • 他者との交流やレクリエーションなどを希望し、刺激のある生活を送りたい人
  • 介護の必要性が高く、家族の介護負担を減らす必要がある人
  • 自分(家族)に合った事業所を見つけたいと思っている人
  • 介護にかかるお金を抑えたい人

デイサービスは、デイケアに比べると毎日のレクリエーションやイベントが充実しています。交流の場としての機能も持っているため、閉じこもり予防に効果的といえるのです。また、機能訓練や認知症に特化した事業所や少人数で落ち着いた雰囲気の事業所などさまざまな種類があるので、自身やご家族の状態にあった事業所を選べる点も魅力です。

金額的にもデイケアより2~3割ほど安いので、介護度が軽いうちからたくさんサービスを利用したい場合は、デイサービスの方がおすすめです。

3-2. デイケアがおすすめな方

デイサービスではなくデイケアがおすすめな方は、次のいずれかに当てはまる人です。

  • 怪我や病気などで機能障害がある人
  • 心身機能の維持向上に強い意欲がある人
  • 退院直後で日常生活に不安がある人
  • 体調が不安定なため、医療的な管理の下で日中を過ごしたい人
理学療法士リハビリイメージ

デイケアの最大の魅力は、なんといっても医師の指示に基づく専門的なリハビリテーションを受けることができる点です。進行性の病気や脳血管障害の後遺症などがあり、専門家によるリハビリを受けたい人に向いています。利用者本人が頑張れば頑張るほどリハビリの効果が上がる可能性も秘めているため、向上意欲が高い人なら、より効果的に利用できるでしょう。また、退院直後であったり日頃から体調が不安定だったりして、医療的ケアが必要な人の場合も医療系の人員配置が手厚いデイケアがおすすめです。

施設種別の違いでサービスの質が変わるわけではない

デイサービスとデイケアの違いを解説してきましたが、サービスの種類が異なるからといってどちらが優れている・どちらが劣っているという話ではありません。

スタッフはそろっているのにリハビリにあまり力を入れていないデイケアもあれば、リハビリに特化して結果を出しているデイサービスもあります。施設の種類で判断するのではなく、ケアマネジャーさんからの情報を聞き、実際に見学をしてから決めることが重要です。

4. デイサービスとデイケアは併用できる(要介護のみ)。途中からの変更も可能

4-1. 要介護1〜5の場合、デイサービスとデイケアは併用可能

介護施設での職員と利用者

デイサービスとデイケアは役割が違うため、両方利用したいと考える方もいるかもしれません。結論から言うと、要介護1以上であればデイサービスとデイケアは併用が可能です。ただし、要支援の方はデイサービスとデイケアの併用ができません。

表でまとめていますので、まずはこちらの表をご覧ください。

デイサービスとデイケアの併用デイサービスの複数事業所利用・デイケアの複数事業所利用
要支援1・2できない
要支援の方は介護保険の通所サービスの利用は1事業所のみに限定されているため、サービス種別が異なっていても複数事業所の利用はできない。総合事業の通所サービスであっても同じ。
できない
要支援の方は通所サービスは一か所のみの利用に限定されているため、複数事業所の利用はできない。
要介護1~5できる
認定に応じた負担限度額の範囲内で、別の曜日に利用する併用ができます。
できる
認定に応じた負担限度額の範囲内で、別の曜日に利用することができます。
デイケアは本来は一か所での利用が基本だが、理学療法、作業療法、言語聴覚療法のすべてを一事業所で提供できない場合などに併用が認められます。

例えば月・木はデイサービスを利用し、火・土はデイケアに行くといったような利用ができます。ただし、介護度ごとに利用できる介護保険サービスの総量が決まっているため、介護度が軽い方はサービスの利用量が基準を超えてしまうと自己負担額が発生することがあります。この計算は非常に複雑なので、担当のケアマネジャーと相談しながら利用回数を調整するようにしましょう。

なお、要支援1~2の方はデイサービス(通所型サービス)とデイケアを併用することができません。そもそも制度上併用されることが想定されていないからです。これは厚生労働省からのQ&Aにも記載されています。

(問12)介護予防通所介護と介護予防通所リハビリテーションを、それぞれ週1回ずつ利用する等同時に利用することは可能か。

(答) 地域包括支援センターが、利用者のニーズを踏まえ、適切にマネジメントを行って、計画に位置づけることから、基本的には、介護予防通所介護と介護予防通所リハビリテーションのいずれか一方が選択されることとなり、両者が同時に提供されることは想定していない

厚生労働省 平成18年4月改定関係 Q&A

どうしても併用したいという場合は、どちらかのサービスを介護保険対象外として、完全自己負担で利用する以外に方法はありません。ただし、完全自己負担での利用を受け入れている事業所は少ないのが現状です。まずは担当のケアマネジャーに要支援でも併用したい理由を説明し、相談してみるとよいでしょう。

おまけ:デイサービスを複数事業所もしくはデイケアを複数事業所利用したい場合

複数の通所事業所利用について、たとえば二か所のデイサービスを利用する、もしくは二か所のデイケアを利用するというケースはどうでしょうか。

要介護の方が二か所のデイサービスを利用するというのはOKです。介護保険の限度額内で複数事業所の併用ができます。デイサービス事業所によって特徴が異なるので、それぞれの目的をケアプランに明確化することで利用できます。

要支援の方の場合は複数事業所の利用ができません。基本的に要支援の方の通所サービス利用は一事業所に限定となっています。介護予防・自立支援総合事業という市町村管轄のサービスであっても同じで、要介護にならないと二か所のデイサービス利用はできないと覚えておきましょう。デイケアでも同様で、要支援の方は二か所の利用はできません。

では、要介護の方がデイケアを二か所利用することはできるでしょうか。これは、できます。ただ、気を付けてほしいのが、複数の事業所を利用する意図が明確化できているかどうかです。

たとえば、今までAデイケアに通所していたけれど、Aデイケアには言語聴覚士がいないので言語リハビリを受けられない。
このような状況で、「Bデイケアには言語聴覚士がいて、言語リハや嚥下リハが受けられるので、AデイケアとBデイケアの両方を利用したい」など、単一事業所だけで必要な支援が満たされない場合には利用が可能です。

厚生労働省が発行している介護報酬Q&Aにはこのように記載されています。

問 11
同一利用者に対して、複数の事業所が別々に通所リハビリテーションを提供している場合、各々の事業者がリハビリテーションマネジメント加算の算定要件を満たしていれば、リハビリテーションマネジメント加算を各々算定できるか。

(答)
事業所ごとに提供可能なサービスの種類が異なり、単一の事業所で利用者が必要とする理学療法、作業療法、言語聴覚療法のすべてを提供できない場合、複数の事業所で提供することが考えられる。例えば、脳血管疾患発症後であって、失語症を認める利用者に対し、1つの事業所がリハビリテーションを提供することとなったが、この事業所には言語聴覚士が配置されていないため、失語に対するリハビリテーションは別の事業所で提供されるというケースが考えられる。
・ この場合、例えば、リハビリテーションマネジメント加算(A)であれば、リハビリテーション会議を通じて、提供可能なサービスが異なる複数の事業所を利用することを話し合った上で、通所リハビリテーション計画を作成し、その内容について利用者の同意を得る等、必要な算定要件を各々の事業者が満たしていれば、リハビリテーションマネジメント加算(A)の算定は可能である。
・ リハビリテーションマネジメント加算(B)についても同様に取り扱う。

「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和3年3月 23 日)」

それぞれのデイケアで受けられるメニューの違いや目的の明確化ができれば併用することができます。詳しくは担当のケアマネジャーさんと相談し、プランを考えていきましょう。

4-2. 途中からサービスを変更することが可能

何らかの事情によってサービス内容を変更する必要が生じた場合は、デイサービスからデイケア、あるいはデイケアからデイサービスへの変更が可能です。

例えば、デイケアに通ったことで心身機能が回復したり医療的ケアが不要になったりした場合は、デイケアからデイサービスに変更できます。また、主治医がデイケアの利用は不要であると判断した場合は、必要に応じてデイサービスを利用することもできます。

逆に、デイサービスを利用していた人が脳梗塞になり、半身麻痺の後遺症が現れた場合などは医師の判断の下でデイケアに変更することもあります。

なお、要支援1~2の方の場合はデイサービスとデイケアの併用ができないので、月途中の変更は認められていません。「デイサービスは〇月まで、デイケアは△月から」という変更方法になるので覚えておきましょう。

5. デイサービスとショートステイの違いは宿泊の有無。困ったときは保険外のお泊りデイも活用しよう

デイサービスと同じように、ショートステイも人気のサービスです。デイサービスは日中のみ介護施設に通って介護を受けるのに対し、ショートステイは一定期間施設に入所し、昼夜問わず支援を受けられるという違いがあります。何らかの理由で一時的に介護者が不在になるときや、介護者自身に休息や療養が必要となったときに利用することがおすすめです。

ショートステイには「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があり、デイサービスとデイケアのように対象となる利用者やサービス内容が異なります。

短期入所生活介護*11(ショートステイ)短期入所療養介護*12(療養ショートステイ)
施設形態単独型、特養併設型の2種類介護老人保健施設併設型、療養病床併設型、診療所併設型、老人性認知症疾患療養病棟併設型、介護医療院併設型の5種類
職員体制医師(嘱託医でも可)、生活相談員、介護職員または看護職員、栄養士、機能訓練指導員 など常勤医師、生活相談員、介護職員、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、栄養士 など(併設元医療施設の職員体制に準ずる)
概要一定期間入所して日常生活上の介護を受けることで、家族の休息や負担軽減、双方の気分転換などを図る左記に加えて、医療的ケアやリハビリテーションを実施する

なお、介護保険上のショートステイ以外に、介護保険のデイサービスと保険外宿泊サービス(1泊3,000~5,000円程度)を組み合わせた「お泊りデイ*3」と呼ばれる事業を行っている施設もあります。

ショートステイ(短期入所)を利用する

どの宿泊サービスも、自宅での介護に困ったときに一時的に施設に預けることができるので、非常に人気の高いサービスです。また、ショートステイは事前予約制のため、希望する日程が近ければ近いほど予約の難易度が高くなっています。確実に利用するためには、ケアマネジャーと相談してなるべく早くサービス調整をしておくことが重要です。

また、認知症がある方がショートステイを利用する場合は特に注意が必要です。認知力の低下によって自分の居場所が認識できなかったり、慣れない環境への適応できなかったりすることで、不安や混乱の原因となってしまうからです。認知症の方への精神的負担を減らすためには、デイサービスを選定する時点でお泊りデイに対応した事業所を選んだり、事前に本人と一緒に見学に行ったりすることがおすすめです。

6. 良いデイサービス・デイケアを探すときのおすすめのポイント6選

最後に、ご自身に合った良い事業所を選ぶときのポイントを6つご紹介します。

  • 利用者本人が過ごしやすい雰囲気になっているか
  • リハビリや機能訓練の内容は、希望と合致しているか
  • スタッフの言葉遣いや挨拶はしっかりしているか
  • スタッフが利用者に無理な介護をしていないか
  • 自宅は送迎が可能な範囲に入っているか
  • 利用料は予算の範囲内に収まるかどうか

事業所選びで最も大切なことは、本人が「通ってみたい」と思えるかどうかです。1日の受け入れ人数が多いと賑やかで落ち着かないと感じる方もいますし、寝たきりの方や重度の認知症の方が多いと「自分には合わない」と感じてしまうこともあります。可能な限り見学や体験利用し、事業所の雰囲気を確認しましょう

リハビリや機能訓練に関しても、どのようなプログラムが実施されているかを見学や体験利用で確認すると安心です。

歩行器での移動・歩行の介助

スタッフの対応も重要です。スタッフの挨拶がしっかりしていて、明るく開かれた印象の施設を選ぶのはもちろん。例えば入浴の際に本人に一般浴槽を使える能力があるのにも関わらず時間的な効率性を重視して機械浴を使用したり、強引に食事介助をしたりといった効率優先のサービスになっていないかをチェックしておきましょう

また、自宅が送迎可能な範囲か、範囲外だった場合は家族が施設に連れて行けば利用させてもらえるのかについても事前に把握が必要です。最後に、実際に利用すると総額でいくらかかるのかを確認したうえで、希望する回数を利用しても介護保険の範囲内で収まるかケアマネジャーと相談しましょう。

介護に忙しくて自分ではなかなか確認できないという場合でも、ケアマネジャーに相談すると情報収集をしてくれます。事業所を選ぶときはケアマネジャーと一緒に、焦らずじっくり検討することがポイントです。

参考文献

この記事を監修したのは

河北 美紀

介護認定審査会委員/株式会社アテンド代表取締役
2013年介護事業を運営する株式会社アテンド代表取締役就任。
8年間父の介護をした経験と、江戸川区介護認定審査会委員を務めた経験をもとに介護保険外サービス『冠婚葬祭付き添いサービス』を拡大。
母体のデイサービスは、2017年株式会社ツクイ(東証一部上場企業)主催の介護コンテスト横浜会場にて最優秀賞受賞。メディア実績は、厚生労働省老健事業「サービス活用販促ガイド」、週刊ダイアモンド、シルバー新報、東京都「キャリアトライアル65」、経済界など複数。


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