いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
2024年の介護報酬改定について、大きな変更があった居宅介護支援の項目についてわかりやすくまとめています。介護保険制度の要とも言われるケアマネジャーの役割も制度改定で大きく変わります。この記事では最新の2024年に行われる介護保険制度改定や報酬改定についての最新情報をお届けしています。解釈通知やQ&Aなど、新着情報も随時更新していきます。
【この記事をお勧めしたい人】
- 居宅介護支援事業所の管理者やケアマネジャー、または運営法人
- 地域包括支援センターで勤務されている方
- ケアマネジャーの仕事に興味を持っている方
訪問系および通所系サービスなど、各サービスの改定事項は別の記事にまとめていますので以下のリンクをご参照ください。
【1月22日更新】介護報酬単価案が公表されましたのでこちらをご参照ください
オンラインモニタリングについて、解釈通知案に記載された内容を追記しました(2024年3月11日・3月19日)
居宅介護支援の制度改定内容。どうなる?ケアマネの役割と働き方
ケアマネジャーが在宅の要介護高齢者のケアマネジメントを行うのが居宅介護支援。今回、大きな改正がいくつかありますので紹介します。途中途中、編集部からのコメントで補足を挟ませていただいております。
居宅介護支援の改定項目をまとめます。
1.地域包括ケアシステムの深化・推進
- 居宅介護支援における特定事業所加算の見直し
- 居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けて介護予防支援を行う場合の取扱い(予防のみ)
- 他のサービス事業所との連携によるモニタリング★
- 入院時情報連携加算の見直し
- 通院時情報連携加算の見直し
- ターミナルケアマネジメント加算等の見直し
- 業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入★
- 高齢者虐待防止の推進★
- 身体的拘束等の適正化の推進★
2.自立支援・重度化防止に向けた対応
- ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
3.良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
- テレワークの取扱い★
- 公正中立性の確保のための取組の見直し
- 介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬)
- 介護支援専門員1人当たりの取扱件数(基準)
4.制度の安定性・持続可能性の確保
- 同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
5.その他
- 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化★
- 特別地域加算の対象地域の見直し★
★は予防も対象
居宅介護支援における特定事業所加算の見直し
居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件について以下の見直しを行う。
- ア 多様化・複雑化する課題に対応するための取組を促進する観点から、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」を要件とするとともに、評価の充実を行う。
- イ (主任)介護支援専門員の専任要件について、居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や地域包括支援センターの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合は、これらの事業との兼務が可能である旨を明確化する。
- ウ 事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点から、運営基準減算に係る要件を削除する。
- エ 介護支援専門員が取り扱う一人当たりの利用者数について、居宅介護支援費の見直し(3.(3)⑮)を踏まえた対応を行う。
質の高いケアマネジメントを行う体制を整えている居宅介護支援事業所は、特定事業所加算という加算が算定できます。その要件について変更があります。
ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加
特定事業所加算の算定要件として、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」が加わります。居宅介護支援はあくまで介護保険の認定を受けた高齢者を対象にした事業です。ヤングケアラー・障害者・生活困窮者等他制度の対象者の支援をすることで報酬は発生しません。ただ、同居者などに複合的にこれらの問題が関連している場合もあります。国はケアマネジャーに対して「断らない相談支援」を求めています。
「ケアマネの業務負担軽減」を掲げておきながらケアマネの役割を際限なく増やしているようにも感じます。研修の負荷が大きいと問題になっていますが、また研修が増えることとなりました。
居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や地域包括支援センターの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合は、これらの事業との兼務が可能
居宅介護支援事業者は、地域包括支援センターの委託を受けて総合相談支援事業をできるようになります。地域包括支援センターのブランチとしての機能を居宅介護支援事業所が持てるようになります。総合相談に関しては、地域包括支援センターが保険者のブランチ機能とも言えますので、保険者が親・地域包括が子・居宅介護支援事業所が孫のような形で総合相談を行います。
総合相談は地域の高齢者の相談を受けて、適切な関係機関につないだり、必要な手続きを行う事業です。総合相談支援を行う地域包括支援センターには、介護保険の申請・市町村のサービス利用に関する申請・介護に関する困りごとについての相談など、様々な相談が寄せられます。地域包括の業務が多岐にわたり、業務負荷が大きいということで、地域包括支援センター業務の一部を委託可能としました。
居宅介護支援事業所は、特定事業所加算の算定要件として主任介護支援専門員を一定数配置しなければいけません。ただ、総合相談を委託を受けて行う場合に関しては主任介護支援専門員が兼務でも構わないとしています。
地域包括に関しては業務が多岐にわたって負担が大きいという問題もありますが、それ以上に問題なのは、離職率が高く、知識や経験が蓄積されないことなのかもしれません。また市町村の定める基準や要件も多く、業務効率化も進まないという側面もあります。
事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点から、運営基準減算に係る要件を削除する
特定事業所加算の算定要件の一つとして、「運営基準減算・特定事業所集中減算の適用を受けていないこと」という項目がありました。つまり、運営基準減算に該当する場合は、特定事業所の加算は受けられないという厳しいルールです。
運営基準減算に該当するのは具体的には以下の項目です。
- 居宅介護支援の提供開始の際、利用者にあらかじめ「複数のサービス事業者等を紹介できること」、「居宅サービス計画に位置付けたサービス事業者等の選定理由」、「前6月間の居宅サービス計画における訪問介護や通所介護等のサービスが位置付けられたそれぞれのサービスの割合」、「前6月間の居宅サービス計画における訪問介護や通所介護等の回数のうち、同一のサービス事業者によって提供されている割合」について文書を交付して説明を行っていない場合。
- 居宅サービス計画の新規作成・変更のためのアセスメントにあたり、介護支援専門員が利用者の居宅を訪問し、利用者とその家族に面接をしていない場合。
- 居宅サービス計画の新規作成・変更にあたり、介護支援専門員がサービス担当者会議を開催していない場合。
- 居宅サービス計画の新規作成・変更にあたり、介護支援専門員が居宅サービス計画の原案の内容について、利用者またはその家族に説明し、利用者からの同意を得た上で、居宅サービス計画を利用者と担当者に交付していない場合。
- 居宅サービス計画作成後、モニタリングにあたり、介護支援専門員が1月に1回、利用者の居宅を訪問して利用者に面接をしていない場合。
- 居宅サービス計画作成後、モニタリングにあたり、介護支援専門員がモニタリングの結果を記録していない状態が1月以上継続する場合。
ケアマネジメントプロセスで欠けている部分があれば、運営基準減算が適用されます。減算が適用されれば、特定事業所加算も算定できなくなり、利用者全員分の介護報酬が減額されてしまいます。
例えば、利用者が200人いる事業所で、ひとりのケアマネが一人だけ利用者のモニタリング訪問を忘れてしまった、という場合。運営基準減算が適用されるとモニタリングできなかった利用者分の減算が適用されるだけでなく、特定事業所加算の上乗せ分101万円を失うことになります。
訪問忘れの確認など、管理者の重圧も大きく、突発的なケアマネジャーの病欠などがあってもこの減算を免れることはできないため、大きな負担となっていました。
運営基準減算が適用されたとしても、特定事業所として加算を取得できることとなりました。
特定事業所のみに関することですが、ケアマネにとってこれはとても大きいですね。特定事業所加算の金額が大きいだけに、算定事業所にとっては朗報ですね。特定事業所加算の算定に影響しないだけで、運営基準減算自体がなくなるわけではないので、ケアマネジメントプロセスは確実に。
エの利用者数に関しては後の項目で説明します。
居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けて介護予防支援を行う場合の取扱い(介護予防支援)
令和6年4月から居宅介護支援事業者も市町村からの指定を受けて介護予防支援を実施できるようになることから、以下のとおり見直しを行う。
- ア 市町村長に対し、介護予防サービス計画の実施状況等に関して情報提供することを運営基準上義務付けることに伴う手間やコストについて評価する新たな区分を設ける。
- イ 以下のとおり運営基準の見直しを行う。
- ⅰ 居宅介護支援事業所が現在の体制を維持したまま円滑に指定を受けられるよう、居宅介護支援事業者が指定を受ける場合の人員の配置については、介護支援専門員のみの配置で事業を実施することを可能とする。
- ⅱ また、管理者を主任介護支援専門員とするとともに、管理者が他の事業所の職務に従事する場合(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業者の場合であって、その管理する指定介護予防支援事業所の管理に支障がないときに限る。)には兼務を可能とする。
- ウ 居宅介護支援と同様に、特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算及び中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の対象とする。
地域包括支援センターの業務負担を軽減するために、指定介護予防支援は居宅介護支援事業者が指定を受けて実施することができるようになります。要支援の方のケアマネジメントを介護予防支援といいますが、これまで介護予防支援の指定を受けることができるのは地域包括支援センター(と市町村)のみでした。居宅介護支援事業者はこれまで地域包括支援センターからの委託という形で介護予防ケアプランを作成することはできましたが、あくまで契約の主体は地域包括支援センターと利用者でした。
今後は居宅介護支援事業者と利用者が直接契約をすることができるようになります。ただ、地域包括支援センターとの連携も要件としていますので、どの程度地域包括が介入する形になるのかは、Q&Aなどで具体的に示されるかと思います。
介護保険だけでなく、市町村の総合事業にも関わる話なので、地域によって状況が異なる部分も大いにあります。詳しくはこちらの記事にも掲載していますのでご参照ください。
契約形態が変わったとしても、気になるのは介護予防支援の介護報酬単価。要介護と比較すると圧倒的に安い介護予防支援はケアマネの受け手も少なく、要支援の人がサービスを利用したくても利用できない「ケアマネ難民」の状況も発生しています。
地域包括支援センターの介護予防支援よりも居宅介護支援事業者の介護予防支援の方が報酬単価が高くなるということなので、そこで居宅介護支援事業者がどれだけ受けてくれるかの反応も変わってきそうです。
他のサービス事業所との連携によるモニタリング(オンラインモニタリング)
人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から、以下の要件を設けた上で、テレビ電話装置その他の情報通信機器を活用したモニタリングを可能とする見直しを行う。
- ア 利用者の同意を得ること。
- イ サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
- ⅰ 利用者の状態が安定していること。
- ⅱ 利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)。
- ⅲ テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報を収集すること。
- ウ 少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。
他サービス事業者との連携による情報通信機器を活用したモニタリング、いわゆるオンラインモニタリングについてです。
テレビ電話装置って・・・何?
と、困惑をした人も多いと思うのですが、LINEやzoomなどのビデオチャット・ビデオ通話がこれに該当します。ケアマネの訪問にかかる移動時間が大きく、調査によると一か月の労働投入時間のうちおよそ7%が移動時間となっていました。この移動時間を削減するためにも非常に大きな意味を持ちます。
また、コロナ禍での実践を通して、オンラインモニタリングは利用者からの評価としても非常に高く、コロナウイルス等の感染症発生は関係なく、オンラインモニタリングが解禁されたという形になります。
ケアマネの人手不足が深刻化していることから、後述しますが、ケアマネの担当件数上限を増やしています。担当件数を増やすための業務効率化が必要となり、その一環で解禁されたのがオンラインモニタリングとなります。
ただし、必要な要件も多く、注意が必要です。特に、「サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること」という項目があり、オンラインモニタリングを行うためには主治医の合意が必要とされています。
また、オンラインモニタリングを実施できるのは2カ月に一回。翌月は必ず利用者の居宅を訪問しなければいけないルールとなっています。
オンラインモニタリングが解禁されたのは大きな前進ですが、前提として主治医の合意をとらなければいけないという問題があります。担当開始する時点で合意をとるのか、担当利用者リストで同意をとるのか、その都度合意をとるのか。そしてどう説明するのか、難しい問題ですね。
オンラインモニタリングに関してはこちらの記事にまとめました(3月22日)。
入院時情報連携加算の見直し
入院時情報連携加算について、入院時の迅速な情報連携をさらに促進する観点から、現行入院後3日以内又は入院後7日以内に病院等の職員に対して利用者の情報を提供した場合に評価しているところ、入院当日中又は入院後3日以内に情報提供した場合に評価するよう見直しを行う。その際には、事業所の休業日等に配慮した要件設定を行う。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、入院時情報連携加算のスピード化を進めたいようです。
現行 | 改定後 | |
入院時情報連携加算(Ⅰ) | 入院後3日以内 | 入院当日 |
入院時情報連携加算(Ⅱ) | 入院後7日以内 | 入院後3日以内 |
担当利用者が入院したときには、入院当日に情報を送りなさい、入院当日に送れなくても3日以内に送りなさい、という内容です。事業所の休業日に配慮した要件設定を行うとしていますので、土曜日や日曜日入院などの場合は日数が緩和されるものとなっています。
当日送ったとしても、病院から「まだ担当も決まってないんだけど・・・」と言われることも多く、病院側が本当に当日中の情報を求めているのかと思うとだいぶ疑問は感じます。あと、書式はできればケアプランソフトから出力(できれば送信まで)できるようにしてほしいですよね。
3月27日追記
Q&Aが発表され、入院時の情報連携に関してはこのように算定ができることになりました。営業日を考慮すると言っても、営業日に送ればいいというわけではなく、加算(Ⅰ)を算定するためには営業日以外でも情報を送付しなければいけない状況もあります。
たとえば、土日が休業日であったとしても、土曜日入院の場合は日曜日に情報を送付しなければ加算(Ⅰ)には該当しないというルールです(ケアマネの働き方改革はどこへいくのでしょう)。
- Q問119 入院時情報連携加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)について、入院したタイミングによって算定可能な日数が変わるが、具体的に例示されたい。
- A
令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日):厚生労働省
2024年3月28日追記
また、入院時連携の様式フォーマットが更新されています。
記載項目がだいぶ多くなっている印象ですので、加算(Ⅰ)のために休日にこれを打ち込むのはなかなかきつい。ケアプランソフトから自動出力できるようであれば楽なんでしょうけれど。
通院時情報連携加算の見直し
通院時情報連携加算について、利用者の口腔衛生の状況等を適切に把握し、医療と介護の連携を強化した上でケアマネジメントの質の向上を図る観点から、医師の診察を受ける際の介護支援専門員の同席に加え、利用者が歯科医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席した場合を同加算の対象とする。
利用者の通院・医師の診察にケアマネが同行すると加算となる通院時情報連携加算。駐車場代にもならないと批判の大きな通院時情報連携加算ですが、今回歯科医院への診察同行も含まれることになりました。
通院と受診に同行するという時間・労力に対して50単位(500円)という金額は見合わないんじゃないか、ヘルパーの通院動向と比べてこの単位数はおかしいじゃないか、と誰もが思う通院時情報連携加算。ちなみに、訪問診療の診察に立ち会っても加算はもらえず、ターミナルケアを推進していきたいならこっちを優先すべきだと思うのですが。
ターミナルケアマネジメント加算等の見直し
ターミナルケアマネジメント加算について、自宅で最期を迎えたいと考えている方の意向を尊重する観点から、人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを要件とした上で、当該加算の対象となる疾患を末期の悪性腫瘍に限定しないこととし、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者を対象とする見直しを行う。併せて、特定事業所医療介護連携加算におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数の要件についても見直しを行う。
ターミナルケアマネジメント加算は末期がんで自宅で亡くなった利用者の担当をしていて、訪問回数等必要な要件を満たしていた場合に算定できる加算です。これまでは末期がんに限定されていましたが、今後は末期がん以外の疾患での看取りも対象に含まれます。
ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始することを可能とする観点から、介護支援専門員が居宅サービス計画に通所・訪問リハビリテーションを位置づける際に意見を求めることとされている「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことを明確化する。
退院後早期に通所リハビリ・訪問リハビリを利用する場合には、在宅の主治医だけじゃなく、入院中の医師の意見も反映させるというものです。訪問リハビリの項目でも書きましたが、退院前のカンファレンス参加が推奨されたり、入院中の病院のリハビリテーション計画入手が義務化されるなど、入退院の切れ目ないリハビリテーションが要求されていますね。
公正中立性の確保のための取組の見直し
事業者の負担軽減を図るため、次に掲げる事項に関して利用者に説明し、理解を得ることを居宅介護支援事業者の努力義務とする。
ア 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスの割合。
イ 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスにおける、同一事業者によって提供されたものの割合。
特定の事業所に偏らないようにと、居宅介護支援事業者は重要事項説明(契約)に際し、過去半年のケアプランに位置づけたサービス事業所の割合を説明しなくちゃいけないというヘンテコルールがあります。
公平中立にサービスを紹介していることを利用者の前でも説明しなきゃいけないのですが、この義務がなくなります。
この資料にも書いてあるのですが、利用割合を紹介したら、利用割合の高いところ・人気の高いところを利用者は選ぶ傾向があり、かえって紹介する事業所が偏ってしまったという話です。そりゃそうですよね。本末転倒なルール、ということで、この説明義務は一応努力義務として残りますが、あえて説明する人もいない気がします。
利用者に事業所の紹介率を示した後で、紹介率の低い事業所を提案したら、え?と思われますよね。人気ランキングを紹介しておいてランキング圏外を提案として持ってくるのには違和感しかないですよね。
介護支援専門員1人当たりの取扱件数
居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化を踏まえ、ケアマネジメントの質を確保しつつ、業務効率化を進め人材を有効活用するため、居宅介護支援費について、以下の見直しを行う。
- ア 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)の取扱件数について、現行の「40未満」を「45未満」に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)の取扱件数について、現行の「40以上60未満」を「45以上60未満」に改める。
- イ 居宅介護支援費(Ⅱ)の要件について、ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ)の取扱件数について、現行の「45未満」を「50未満」に改め、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ)の取扱件数について、現行の「45以上60未満」から「50以上60未満」に改める。
- ウ 居宅介護支援費の算定に当たっての取扱件数の算出に当たり、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数については、3分の1を乗じて件数に加えることとする。
基本報酬における取扱件数との整合性を図る観点から、指定居宅介護支援事業所ごとに1以上の員数の常勤の介護支援専門員を置くことが必要となる人員基準について、以下の見直しを行う。
- ア 原則 、 要介護者の数に要支援者の数に 1 /3 を乗じた数を加えた数が 44又はその端数を増すごとに1とする 。
- イ 指定居宅介護支援事業者と指定居宅サービス事業者等との間において、居宅サービス計画に係るデータを 電子的に送受信するための 公益社団法人国民健康保険中央会のシステムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合においては、 要介護者の数に要支援者の数に 1/3 を乗じた数を加えた数が 49又はその端数を増すごとに1とする 。
ケアマネジャーひとり当たりの担当件数上限の変更です。これは、ケアマネの人手不足が深刻化していることから、介護サービスを利用したいのにケアマネと契約ができず、サービスが利用できない「ケアマネ難民」という問題が発生していることから、ケアマネ一人が担当できる上限数を引き上げようというものです。ケアマネジメントの質を保つために担当件数の上限を制限していたのですが、これが緩和される形になります。
算定要件 | 区分 | 現行 | 改定後 |
通常 | 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ) | 40件未満 | 45件未満 |
居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ) | 40件以上60件未満 | 45件以上60件未満 | |
事務員配置 +ケアプランデータ連携システム使用 | 居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ) | 45件未満 | 50件未満 |
居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ) | 45件以上60件未満 | 50件以上60件未満 |
これまであった、情報通信機器の活用もしくは事務員配置などによる業務効率化が図られているという要件が変更となり、ケアプランデータ連携システムを導入し、かつ事務職員の配置があれば、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ)で最大49件まで給付管理が可能となりました。
って、そんなに無理。。。
今回要件として追加されたケアプランデータ連携システムですが、大半の事業所がまだ未登録という残念な現状です。つまり、連携したくても連携する相手がいないシステムになっています。システム導入したからといって業務負担の軽減はできないどころか、システム利用料の費用負担が発生します。郵便料金が値上げするという報道もありますので、郵便からシステムに切り替える事業所が増えることを期待しましょう。
※前回までは情報通信機器もしくは事務職員の配置が要件でしたが、今回は情報通信機器の部分は削除されましたので、居宅介護支援費(Ⅱ)を算定するためには事務職員の配置が必須となります。
平成21年時点の調査と比較して、ケアマネジャー1人あたりの労働投入時間が少なくなっているというデータから、もうちょっと担当件数増やせるんじゃないかっていうことらしいです。
労働投入時間185.3時間/月って、もう残業確定しそうですけど、働き方改革的にそれってOKなんでしょうかって、素朴な疑問。
(個人的にはこの29.2時間の研修等の時間削減をしてほしい)
また、要支援の利用者に関しては1件を1/2件としてカウントしていたのですが、1/3件としてカウントするようになりました。要支援だからって手間がかからないわけではなく、予防プランを作る労力や地域包括とのやり取りやら、要支援だから手間がかからないというわけではないのですが。
ケアマネの人手不足の問題についてはこちらの記事に詳細掲載していますのでご参照ください。
その後、ケアマネの人手不足の問題について議論するケアマネ課題検討会が開催されるようになりましたが、これが解決につながる足掛かりになるか。今のところ期待は薄そうです。
同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
介護報酬が業務に要する手間・コストを評価するものであることを踏まえ、利用者が居宅介護支援事業所と併設・隣接しているサービス付き高齢者向け住宅等に入居している場合や、複数の利用者が同一の建物に入居している場合には、介護支援専門員の業務の実態を踏まえた評価となるよう見直しを行う。
いわゆる同一建物減算です。訪問介護などではすでに導入されているものですが、ケアマネに関しても移動時間が削減されるために労力が少ない分、報酬を削減すべきだと指摘されています。
ケアマネに関しては直接的な業務だけでなくデスクワーク等の間接的な業務の比重が大きいので一概に労力が少ないとも言い切れないと思いますが。訪問介護も含め、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームには厳しい改定になりそうです。
居宅介護支援事業所・ケアマネにとってはプラスだったか?
ということで、駆け足で見ていきました。〇×で簡単に区分けできないですが、事業所の収益としては〇だけれど、ケアマネ個人の負担としては×だなという項目が非常に多いです。見方によって変わると思いますが、参考にしてください。
個人的には、特定事業所の運営基準減算に係る要件削除はひとつプラス材料ではないかと思います。これも大規模化を推進していくための施策のひとつで、大規模事業所優位の流れになっているかと思います。課せられる役割も増えているのにも関わらず、報酬があまり増えていないことに、誰しも納得できない制度改定だという印象を持ちます。
【1月22日情報更新】4月から、居宅介護支援の介護報酬は以下のように変更になります。
10単位の増加は大きいと見えるかもしれませんが、処遇改善加算の対象外でもあるため、相対的に居宅介護支援の増加率が高かったとは言えないでしょう。
まとめ
居宅介護支援の報酬改定についてまとめました。
これ以外にもケアマネはサービス全体のマネジメントを行うため、それぞれのサービスごとの改定項目に関わります。福祉用具選択制の導入に関しては主治医の意見を確認するなど、関係する業務はかなり増えています。福祉用具選択制についてはこちらの記事をご参照ください。
ケアマネジャーの業務負担軽減が求められている中、業務負担軽減どころか負担は増えるばかりという改定内容となっています。いかに業務効率化をしていくかが重要になりそうです。
いろいろ個人的な思いが強くなってしまいました。
また、全サービス共通事項についてはこちらでまとめています。処遇改善加算の一本化や、業務継続計画(BCP)未作成減算、重要事項のホームページ掲載義務化などについても詳しく説明していますので、こちらのページもご参照ください。
2025年4月1日までに業務継続計画(BCP)を策定していない事業所は基本報酬が減算になるというルールも追加されていますので、これも注意しましょう。
【参考資料】
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
(運営会社:株式会社ユニバーサルスペース)
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