【超難問】住宅改修って、ケアプランに位置づける?不要?軽微な変更に該当するの?

住宅改修、ケアプランに位置づける?軽微な変更? 介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

質問が来ていたので紹介します。

ケアマネ
ケアマネ

担当の利用者さんが住宅改修をするんですけど、それ以外のサービスに変更がない場合は、ケアプランって変更しなくていいんですか?理由書は書くんですけど、ケアプランも直すとなると各事業所にも書類送らなくちゃいけないし大変なんで。

これ、意外と悩ましい質問で・・・。結構悩まれる方も多いようです。明確に運営基準などに定めているわけではありません。

とはいえ、市町村等保険者によるローカルルールが横行する介護保険

ケアプランを変更することになればケアマネジメントにおける一連の手続きという莫大な事務作業必要になり、ケアマネジャーにとっては大きな業務負担が押し寄せます。

住宅改修を追加するときに、ケアプラン変更は必須なのか・それとも住宅改修はケアプラン対象外サービスなので追記しないでいいのか、その考え方についてまとめています。

【この記事をお勧めしたい人】

  • 担当利用者が住宅改修をすることになったケアマネジャーさん
  • ケアプラン点検や実地指導を前に、住宅改修のケアプランへの位置づけが気になっているケアマネジャーさん

【この記事で解説していること】

  • 最終的な判断は保険者(市町村)に委ねられる
  • ケアプランへの位置づけに悩む場合は、軽微な変更に該当するパターンであるかどうかを基準に考えることがおすすめ

住宅改修をケアプランに位置づけるか、最終的には市町村の判断

住宅改修を追加するとき、ケアプランは変更する?

結論としては、保険者(市町村等)がどう判断するかによります。

ケアプランへの位置づけは不要としている市町村もあれば、ケアプランの変更は必須としている市町村もあります。あくまで保険者としての考え方次第といえます。

明確に回答している市町村は置いておきましょう。
問題は、明確に書くべきか、書かなくてもいいか、という基準を出していない市町村。これって、判断に迷いますよね。
なんか言われると嫌だし、報酬返還とか言われたくないから書いておかないと・・・と思うと、結果的にケアマネの仕事は雪だるま式に増えていくという悪循環。

では、保険者が書けとも書かなくてもいいとも言っていない場合の判断の参考になるよう、基本として押さえておくべきポイントを紹介します。

住宅改修をケアプランに位置づける場合のケアマネの業務

まずは、住宅改修をケアプランに位置づける・追記する場合のケアマネ業務の流れをみていきましょう。これだけのケアマネ業務が発生しています。

住宅改修をケアプランに位置づける場合のケアマネジメントの流れ
  • 利用者からの相談・再アセスメント
  • 住宅改修を位置付けたケアプランの原案を作成
  • サービス担当者会議を招集する(不参加の方には照会用紙を送付)
  • サービス担当者会議を開催する
  • (同時に)施工業者による現地調査
  • 利用者本人・家族の同意を受ける(ケアプランへの署名)
  • サービス担当者会議録作成
  • 更新したサービス計画書を全事業所へ配布(医療系サービスがある場合は医療機関にも)
  • 施工業者から見積・図面などの資料を受け取る
  • 住宅改修理由書を作成
  • 理由書を施工業者へ送付、もしくは役所へ代理申請
  • (着工許可→着工)
  • 着工後の確認
  • 完了報告書受け取り・ファイリング

手すりを1本取り付けるだけです。それでもケアプランに位置づけるとなると、これだけの業務が増えるのです。金額で言えば、費用合計1万円台の工事であろうが、これだけの手間が発生してしまうのです。

「あのケアマネ、理由書作るのいつも遅いんだよね~」みたいなことを言う施工業者さんたち、ぜひそんなケアマネ業務の実態を知ってもらいたい。。。

住宅改修をケアプランに位置づけない場合のケアマネの業務

仮にケアプランに位置づけなかった場合は、ケアマネ業務は以下のようになります。

住宅改修をケアプランに位置づけない場合のケアマネジメントの流れ
  • 利用者からの相談・再アセスメント
  • 住宅改修を位置付けたケアプランの原案を作成
  • サービス担当者会議を招集する(不参加の方には照会用紙を送付)
  • サービス担当者会議を開催する
  • (同時に)施工業者による現地調査に同席
  • 利用者本人・家族の同意を受ける(ケアプランへの署名)
  • サービス担当者会議録作成
  • 更新したサービス計画書を全事業所へ配布(医療系サービスがある場合は医療機関にも)
  • 施工業者から見積・図面などの資料を受け取る
  • 住宅改修理由書を作成
  • 理由書を施工業者へ送付、もしくは役所へ代理申請
  • (着工許可→着工)
  • 着工後の確認
  • 完了報告書受け取り・ファイリング

見ての通りかなり業務がスリムになります。

なので、ケアプランに位置づける必要があるかないかでは、ケアマネにとって大きな業務量の違いとして現れるのです。

ケアプランを修正した方がいい、その方が丁寧だ・親切だ、という理屈もわからなくもないけれど、忙しさで手も回らないのでケアプラン修正はしたくない。全国のケアマネのみなさん、きっとそんな思いだと思います。

住宅改修は、軽微な変更に該当するか

相談するケアマネジャー

ケアプランに書くべきか、書かないべきか。判断に迷ったときに参考にすべき基準をお伝えします。

ケアマネの皆さんであれば必ず聞いたことはある「軽微な変更」。住宅改修も、この「軽微な変更」の範囲に該当するかどうかがひとつのポイントとしてはいかがでしょうか。

軽微な変更についておさらいします。
アマネジメントにおけるケアプラン変更の一連の業務の煩雑さから、その業務負担を軽減するために、厚生労働省は、再アセスメントやケアプランの再作成、サービス担当者会議、ケアプランの再交付を省略化できる複数のパターンを例示しました。つまり、ケアプランへの記載は不要・免除とすることができる例を示しています。それが軽微な変更です。2010年に厚生労働省老健局が示したもので、「介護保険制度に係る書類・事務手続きの見直し」という通知分の一部に記載されています。

軽微な変更には、具体的には以下のような項目が含まれています。

  • サービス提供の曜日変更
  • サービス提供の回数変更
  • 利用者の住所変更
  • 事業所の名称変更
  • 目標期間の延長
  • 福祉用具の変更
  • 事業所の変更
  • 目標を達成するためのサービス内容の変更
  • 担当介護支援専門員の変更

※居宅介護支援等に係る書類・事務手続や業務負担等の取扱いについて(2010年に発出されたものの改訂・最新版)

これらの項目に関しては、軽微な変更に該当する場合があり、その際はケアプランの再作成の必要はないとされています。

ただし、多くの項目では条件があり、「利用者の解決すべき課題」や「目標」「サービス内容」に変更がない場合に限られます。

軽微な変更に該当するかの基準のひとつは、利用者の状態に、ケアプランの修正を必要とするほどの大きな変化があるか、という点にあります。

女性ケアマネ

住宅改修をケアプランに位置づけるか、位置づけないかに関しても、大きな枠組みで考えるとこのような理解で考えるのがいいと思います。

転倒や疾患の急激な進行で、利用者の状態が大きく変化して、今後の目標設定なども見直しが必要な状況。でも、既存のサービス内容は変わらず、住宅改修だけ追加。という場合は、ケアプランを見直し、住宅改修を位置付け、各事業者と現状と今後について認識を共有するためにサービス担当者会議を開催する、というのは必要になると感じます。

ただ、今までも転倒のリスクなどをアセスメントできており、住宅改修の必要性があった利用者が、ようやく住宅改修をすることにした。という場合は、ケアプラン作成当初の状態と、本人の状態像は大きく変わりません。住宅改修によってサービスの目標が変更するなどの事情がなければ、一連のケアマネジメントプロセスを行う必要性は高くありません。

このように明確な根拠を持って説明することができれば、保険者もそれ以上追及しない場合が多いと思われます。

結論は保険者の判断

ただし、結論としては保険者の判断なので、最終的には保険者に確認するのが確実です。

保険者側があらかじめ通知を出している市町村もありますので、具体例を紹介します。

例)神奈川県横須賀市

給付管理をしている利用者で、住宅改修を行う場合、サービス担当者会議は必要か。住宅改修が必要ということは、利用者の状態が変化したことが考えられ、そうであれば、一連の行為(アセスメントとケアプランの変更とサービス担当者会議の開催)が必要と解される
もっとも、サービス担当者会議の開催は必要がない場合もある。アセスメントは必ず行うものべきであるが、アセスメントの結果、プランの目標設定に変わりがなく、住宅改修以外のサービス変更もない場合は、サービス担当者会議を開催する必要はない。もちろん必要に応じて開催することは差し支えない。(福祉用具貸与・購入については、プランに位置付ける場合にサービス担当者会議を開催しプランに必要な理由を記載するという解釈通知があるが、これは住宅改修には適用されない。サービス担当者会議に住宅改修の請負業者(工務店)を出席させても住環境プランナーなどの専門的知識を必ずしも持っているわけではなく、業者を参加させる形でサービス担当者会議を行うことは必須とは言えないからである。)
上記の場合、ケアプランに記載する必要があるか。またケアプランに住宅改修を位置付けるタイミングはいつか。ケアプランに記載する必要がある。なお、ケアプランに位置付けるタイミングは、遅くとも次回更新などでケアプランを変更するタイミングで差支えない
横須賀市 介護報酬に係るQ&A

例)千葉県市原市

介護保険にて住宅改修を行う場合、ケアプランに位置づけるのでしょうか。その場合の評価についてはどのようにしたらよいでしょうか。住宅改修の必要性が、既存のケアプランの目標達成に影響があるのであれば、ケアプランを新規作成しましょう。(アセスメントからの一連の流れを行います。)その際、現行のケアプランの目標達成状況を評価しケアプランを終結させてください。影響がないのであれば、支援経過記録に住宅改修が必要となった経緯を記録しておきましょう。住宅改修時、市原市へ提出する『住宅改修が必要な理由書』は、写しを保管し今後のアセスメントに生かしましょう。委託を受けている場合は、委託元の包括へ写しの提出とともに報告をしてください。評価は、ケアプランを終結する際に行ってください。
千葉県市原市 Q&A

市町村によって見解はバラバラです。A市は記載なしでOKでも、B市では必須と言われることがあります。まさに、介護保険の闇。ローカルルールです。

住宅改修とケアプランに関する質問

他にもこのようなケースもありますので紹介します。

Q
介護保険サービスを利用していない方の住宅改修理由書を作成した。ケアプランは作らなきゃだめなの?
A

作成する必要はありません。

例えば担当する利用者の同居家族が住宅改修を必要としていた場合などによくあるパターンです。ご主人を担当しているけれど、奥様も腰を痛めていて、介護保険のサービスを必要というわけではないけれど住宅改修はしたい。このようなケースにもよく遭遇するかと思いますが、ケアプランの作成は必要ありません。そもそも住宅改修だけでは給付管理も発生しないからです。ケアマネがいないときの住宅改修は下記の記事に紹介しています。
ケアマネいないけど、介護保険で住宅改修ってできるの?

Q
住宅改修をケアプランに位置づける場合、いつまでケアプランに残しておいたらいいですか
A

特に決まりはありません。

住宅改修が完了したら、次回のプラン更新時にプランから削除するという方が多いようです。

Q
特定福祉用具購入はケアプラン掲載が必要ですか?
A

特定福祉用具購入はケアプランに記載するように指示している市町村が多いようです。

まとめ

住宅改修とケアプランの関係性について解説しました。こちらの内容は以下のyoutube動画でも紹介していますので、よろしければいいね・チャンネル登録をお願いします。

ケアマネジャーとしては一連のケアマネジメントプロセスを行うのは業務負担も大きいです。また、それ以外のサービス事業者からも、住宅改修くらいでサービス担当者会議の招集とか面倒くさいことするなよとか、照会の用紙を書くとか面倒なこと寄こすなよとか、いろいろ言われることもあってストレスも大きいですよね。

できるだけ業務はスリムに、そしてスマートに。本来行うべき業務に充てたいところだと思います。

保険者の指導でケアプランへの記載を義務付けられてしまった場合はあきらめるしかありませんが、判断に迷う場合は利用者の状態や目指すべき目標をベースに考えていくことがいいでしょう。

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この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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