オンラインモニタリング一部解禁!制度改定で変わるモニタリング、そのメリット。新書式、情報連携シートとは?

オンラインモニタリングで変わるケアマネジャーのモニタリング 介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

2024年介護報酬改定も間近に迫り、厚生労働省からも様々な解釈やQ&Aが発表されています。

居宅介護支援事業所にとって注目したいのが「オンラインモニタリング」です。スマホを使いこなしている利用者なんていないからそんなの無理!とはじめから諦めていませんか?

今回はオンラインモニタリングを導入するために必要になる準備や厚生労働省公式のQ&A情報をもとに情報をお届けします。

記事中に厚生労働省から示された情報連携シートといえケアオリジナルのオンラインモニタリング実施同意書のひな型も公開していますので、ぜひご活用ください。

【この記事を読んでほしい人】

  • オンラインモニタリングに興味のある居宅介護支援事業所のケアマネさん
  • オンラインモニタリングは内には無理かな、とあきらめかけていた居宅介護支援事業所管理者
  • オンラインモニタリングの相談をされたご利用者様・ご家族様

【この記事で解説していること】

  • オンラインモニタリングが解禁された理由
  • オンラインモニタリングのために必要なツール
  • 厚生労働省のQ&Aをもとにした解説

オンラインモニタリングが解禁された理由

オンラインモニタリングのポイント

2024年制度改正、居宅介護支援事業所が直面する課題

2024年4月、介護報酬改定・介護保険制度改正が行われます。居宅介護支援事業所に関しても事業所運営に少なからず影響を受けます。

今回の改定では単位数の大きな増減はなかったものの、予防の事業所指定ができるようになったこと、担当件数の上限が引き上げられたことなど、より多くの利用者に対して効率的にサービスを提供することが求められています。

その背景としては、ケアマネ不足があり、高齢者・サービス利用者が増加するのに対して居宅介護支援を行うケアマネジャーの数は増えておらず、ケアマネジャーと契約ができないケアマネ難民が生まれる地域も確実に増えています。

この問題を解決するための手段として、厚生労働省は2024年の制度改正からオンラインモニタリングの一部解禁を決めました。

コロナ禍の経験がオンラインモニタリング

新型コロナウイルス感染予防のための外出制限などがあったことで、居宅介護支援事業所は臨時的取扱いとして電話等によるモニタリングが認められました。感染したケアマネジャーがウイルスを持ち運び、感染を広げてしまうリスクがあることから、接触を避けるモニタリングが推奨されました。

このときは感染予防の為でしたが、ここでの経験が今回のオンラインモニタリングにも生かされています。

実証実験が行われた結果、オンラインモニタリングの利用者評価も高く、一部解禁が決定しました。

オンラインモニタリングの要件

制限付きのオンラインモニタリング解禁

オンラインモニタリングについて、制度上は以下のように定められています。

人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から、以下の要件を設けた上で、テレビ電話装置その他の情報通信機器を活用したモニタリングを可能とする見直しを行う。

  • 利用者の同意を得ること。
  • イ サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
    • ⅰ 利用者の状態が安定していること。
    • ⅱ 利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)。
    • ⅲ テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報を収集すること。
  • 少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。

居宅介護支援・介護予防支援 改定の方向性(厚生労働省資料)

利用者や関係者の同意が条件として定められています。また、オンラインモニタリングができるのは2カ月に1回と、制限を付けながらオンラインモニタリングを解禁していることがわかります。

具体的な解釈通知を見るとこのように記載があります。

また、面接は、原則、利用者の居宅を訪問することにより行うこととする。

ただし、基準第13条第14号ロ⑴及び⑵の要件を満たしている場合であって、少なくとも2月に1回利用者の居宅を訪問し、面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月においては、テレビ電話装置等を活用して面接を行うことができる。
なお、テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合においても、利用者の状況に変化が認められた場合等においては、居宅を訪問することによる面接に切り替えることが適当である。また、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。 テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、以下のイからホに掲げる事項について留意する必要がある。

イ 文書により利用者の同意を得る必要があり、その際には、利用者に対し、テレビ電話装置等による面接のメリット及びデメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であること等)を懇切丁寧に説明することが重要である。なお、利用者の認知機能が低下している場合など、同意を得ることが困難と考えられる利用者については、後述のロの要件の観点からも、テレビ電話装置等を活用した面接の対象者として想定されない。

ロ 利用者の心身の状況が安定していることを確認するに当たっては、主治の医師等による医学的な観点からの意見や、以下に例示する事項等も踏まえて、サービス担当者会議等において総合的に判断することが必要である。
・ 介護者の状況の変化が無いこと。
・ 住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレの改修等を含む)
・ サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いこと

ハ テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、利用者がテレビ電話装置等を介して、利用者の居宅において対面で面接を行う場合と同程度の応対ができる必要がある。なお、テレビ電話装置等の操作については、必ずしも利用者自身で行う必要はなく、家族等の介助者が操作を行うことは差し支えない。

ニ テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合、画面越しでは確認できない利用者の健康状態や住環境等の情報については、サービス事業所の担当者からの情報提供により補完する必要がある。この点について、サービス事業所の担当者の同意を得るとともに、サービス事業所の担当者の過度な負担とならないよう、情報収集を依頼する項目や情報量については留意が必要である。なお、サービス事業所の担当者に情報収集を依頼するに当たっては、別途通知する「情報連携シート」を参考にされたい。

ホ 主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得る方法としては、サービス担当者会議のほか、利用者の通院や訪問診療への立会時における主治の医師への意見照会や、サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会も想定されるが、いずれの場合においても、合意に至るまでの過程を記録しておくことが必要である。

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について

具体的な内容を一つずつ掘り下げてみましょう。

テレビ電話装置等とは?

「テレビ電話装置等」というなんとも聞きなれないフレーズが登場したことで、はてなマークがたくさん飛びそうですが、いわゆるビデオチャットのことです。LINE電話・zoom・teams・Google meetsなど様々なツールがありますが、それを総称して「テレビ電話装置等」と呼んでいます。

どんなツールを使うのかに関してはこの後で紹介します。

個人情報・システム運用に関して確認すべきガイダンス

運用についてはこちらのガイダンスを確認する必要があります。読まなきゃいけないのかと思うと非常にハードルを高く感じてしまいます。

医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス

これはみなさんが普段意識して行っている個人情報の取り扱いに関するガイダンスなので、オンラインモニタリングを行う行わないに関わらず関係するものです。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン

こちらも非常に読みごたえがありすぎて困ってしまうのですが、実際の運用に関してはセキュリティチェックリストが資料として公開されていますので、これを活用するのがいいかもしれないですね。

情報連携シートとは?

モニタリングに必要な情報を補足するためにサービス事業所との連携が必要です。そこで情報連携シートを活用することを促しています。

で、その情報連携シートとはいかなるものか、というと、こちらの原本が厚生労働省のホームページにアップされていました。

令和6年度介護報酬改定について(厚生労働省)

ケアマネから事業所に対して、どんな情報を確認しておいてね、と依頼する内容になっています。事業所は、サービス提供を通して把握できた具体的な内容を記載してケアマネに送り、情報連携するというもので、表裏両面のシートになっています。

これ、A4用紙1枚にできただろ、と思ってしまうのですが。というか、事業所から毎月送付する報告書とどこがどう違うの?っていう意見も出てきそうですね。

この情報連携シートはあくまで様式例なので、別様式を作ることや、報告書とまとめるなんてこともできるかもしれません。

Q
問109
サービス事業所に情報収集を依頼するにあたり、情報連携シートではなく、民間の介護ソフト・アプリの記録機能を活用する方法は認められるか。
A

情報連携シートは様式例であるため、必ずしもこの様式に限定されないが、介護ソフト・アプリの記録機能を活用する場合においても、情報連携シートの項目と照らし、指定居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者等の連携に必要な情報が得られるかを確認すること。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)

オンラインモニタリングに活用するツール例

オンラインモニタリングではどのようなツールを使うのか、いくつか紹介します。

LINE・LINEWORKS

LINEWORKS と LINE

LINEの利用率が高いことからLINEもしくはLINEWORKSを使うケースが増えると思われます。なぜなら、圧倒的にユーザー数が多いからです。LINEの日本国内の月間ユーザー数は9,500万人と言われています。実は高齢者のユーザーも多く、積極的にアプリを活用している方も多くいます。
また、同居の家族にもLINEユーザーが一人はいる確率が高いので、多くの利用者とLINEでつながる可能性を持っています。

ケアマネジャーと利用者が、LINEどうしであればLINE間での通話からビデオ通話に切り替えることが簡単にできます。ただ、LINEを業務に使うことに抵抗を感じる方も多いため、ラインのビジネス利用にLINEWORKSを活用している法人が多いように見受けます。

LINEWORKSのアカウント(ケアマネ)からLINE(利用者・家族)につないで、通話はできますが、直接そのままビデオチャットはできませんので、ここは注意が必要です。LINEWORKSでミーティングリンクを作成しておき、そのリンクからミーティングルームに入ってもらう必要がありそうです。イメージとしては、zoomミーティングのリンクを送るような感覚に近いと思ってください。ただ、zoomと違って専用のアプリをダウンロードする必要がなく、ゲストアカウントとしてだれでも参加できる気軽さがあります。

また、企業でLINE公式アカウントを開設することでLINEアカウントとのビデオ通話もできますので、それもひとつの手段になるかもしれません。

LINE・LINEWORKSに関しても様々なパターンでオンラインモニタリングができそうです。

  • LINEからLINEへ
  • LINEWORKSからLINEへ
  • LINE公式アカウントからLINEへ

zoomミーティング

zoom

ビジネスパーソンであればビデオ通話に関してはzoomの方が馴染みがあるかもしれません。

ただし、zoomに関しては相手側がzoomのアプリをダウンロードしていないと使えないという問題もあります。

また、ミーティングのリンクをどのように送るのかも検討が必要です。LINEなどのチャットツールをもともと使っているようであればLINEにミーティングリンクを送るという方法が多くなりそうですが、であればLINEのビデオ通話の方が相手側も参加しやすいのかもしれないですね。

資料を使っての画面共有や、様々な設定を入れたい場合はzoomの方が機能性が高いので、ご家族がビジネス利用でzoomを使っているなんて場合はzoomがいいかもしれませんね。

活用例

厚生労働省からのQ&Aにこのような質問がありました。

○ テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて
問106
テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて、訪問介護員が訪問している間に、テレビ電話装置等の準備をすることは可能か。

(答) 訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、例えばICT機器のOn/Off等の協力などを行うことは差し支えないが、具体的な実施方法や連携方法等は、あらかじめ指定居宅介護支援事業所と訪問介護事業所とで調整すること。
また、協力・連携の範囲について、利用者の要望や目的によっては、適切ではない場合等もあると考えられるため、その必要性等については、状況に応じて判断する必要がある。

令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)

つまり、利用者宅を訪問介護のヘルパーが訪問しているときに、ヘルパーが協力してビデオチャットを起動し、モニタリングを行うというパターンです。訪問介護の提供に支障が生じないという条件はありますが、これはひとつ方法としてありそうですね。

ケアマネが併設事業所のヘルパーにお願いしてビデオ通話をつなげ、その際に利用表なども届けてもらうなんてパターンであれば、無理なくオンラインモニタリングにつなげることができるかもしれませんね。

オンラインモニタリングの注意事項

オンラインモニタリングに関して、注意が必要な点をいくつか紹介します。

利用者の同意確認をどうとるか

笑顔でオンラインモニタリングに参加する高齢者

オンラインモニタリングを実施するためには事前に利用者の同意が必要です。同意をどのように確認するか。認知症の利用者など、認知機能が衰えている利用者に関してはオンラインモニタリングの対象者として想定していないとされています。

本人だけでなく、家族の了承も得ることも忘れてはいけません。

Q&Aでは「重要事項説明書等にチェック欄を設ける」という確認方法でも差し支えないと記述されています。同意を経過記録に残すことも重要になりそうです。

いえケアオリジナルのオンラインモニタリング実施同意書テンプレート(雛形)も用意しております。原本としてご活用ください。

オンラインモニタリングのメリット・デメリットをどう説明するか

同意をいただくために、オンラインモニタリングのメリットとデメリットを丁寧に説明することが条件とされています。では、利用者側にとってのメリットとデメリットをどのように伝えるべきなのか。例としてまとめます。

【メリット】

  • 今までケアマネが移動に使っていた時間がなくなるため、その分の時間を面接に使うことができる。時間に余裕を持った相談ができる
  • ケアマネが感染などをして訪問が難しい場合にも感染リスクなく面談ができる
  • ケアマネがケアプラン・利用予定の修正などをその場でしてもらうこともできる
  • 人が自宅に訪問することに心理的抵抗感がある利用者にとってはケアマネ面談のハードルが低くなる
  • 利用者側のツール習熟度が上がり、緊急時や災害時などの安否確認などにも使える
  • チャットツールなどでつながることで資料・情報などの送付が簡単にできる

【デメリット】

  • 画面上から取得できる情報以外の部分では状態の変化に気づきにくい
  • 機器の使用に慣れていない利用者が戸惑いやすい
  • 顔と顔を合わせての面接に比べて信頼関係の結びつきは弱くなりやすい

ツールを使いこなせるようになることは自立支援として、利用者のストレングスを引き上げ、新たな可能性を広げることにもつながります。

機器のトラブルがあった場合は

機器のトラブルなどがあった場合にはオンラインモニタリングできません。これはモニタリングが実施できない特段の事情には当てはまりません。この場合は居宅への訪問によるモニタリングに切り替えなければいけません。

月末ギリギリでオンラインモニタリングの予定を入れて、いざ当日に危機のトラブルでモニタリングができなかった。となると慌てて訪問しなければいけません。トラブルが心配な方はできるだけ月の前半にオンラインモニタリングを実施するといいでしょう。

主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得る方法

オンラインモニタリングを行うためには主治医や各サービス事業所の担当者などからも合意を得なければいけません。ここが一番のハードルになりそうですね。

主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得る方法としては、サービス担当者会議のほか、利用者の通院や訪問診療への立会時における主治の医師への意見照会や、サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会も想定されるが、いずれの場合においても、合意に至るまでの過程を記録しておくことが必要である。

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について

照会などによる確認をどのようにとるか。そしてこれを対象となる利用者全員に行うとしたら、オンラインモニタリングに移行するのはかなりの手間になりそうです。一括で同意を得るなど、できるだけ手間が少なく確実に同意が取れる方法を考えることが必要になりそうです。

まとめ

オンラインモニタリングについて詳細をまとめました。

ツールの準備・運用方法の決定、さらには関係者の同意など、下準備の部分はかなり作業量が多くなりそうです。ただ、運用に乗ったらオンラインモニタリングだからできることや可能性も増えそうですね。長期的に見れば業務効率化につながると思われます。

オンラインモニタリングや下記記事に紹介しているAIの活用など、ケアマネ業務は効率化していきたいですね。

今から種まきをしておくか、様子を見るか、事業所によって判断が分かれそうですね。

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この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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