要介護5で在宅介護は無理?自宅か施設か、介護の費用と負担軽減方法を解説。(2024年報酬改定版)

要介護5ってどんな状況? 介護コラム

この記事を監修したのは

介護認定審査会委員/株式会社アテンド代表取締役

河北 美紀

要介護度5は、要介護認定の中で最も介護が必要される段階に位置し、介護なしで日常生活を送ることはほぼ難しく、全面的な介助が必要になります。要介護5ともなると、最期の過ごし方についてもご家族で具体的に話をしていくことも大事です。この記事では要介護5と認定された方のご家族のために、利用できるサービスや入居施設を選ぶポイント、費用の目安などについてご紹介します。

★こんな人に読んでほしい!

  • 要介護5と認定されたご家族の方
  • 要介護5でかかる費用が知りたい方
  • 在宅か施設か、どこで介護するか悩まれている方

★この記事で解説していること

  • 要介護5とは、介護なしに日常生活を送ることがほぼ難しい状態で、ほぼすべての日常生活において全面的な介助が必要となる
  • 要介護5の区分支給限度額の目安は36万2170円(1単位10円で計算)
  • 要介護5の方の一人暮らしは難しく、同居での介護や施設入居を検討が必要
  • 要介護5は、特別養護老人ホームや老健などの公的な施設への入居が多い
  • 医療ケアの必要度や費用、施設の立地などをポイントに施設を選びましょう
  • 最期の過ごし方について、ご家族で具体的に話をしましょう

1. 要介護5とは?

1-1. 要介護5とは、介護なしに日常生活を送ることがほぼ難しい状態

要介護5の特徴

要介護5は、介護なしに日常生活を送ることがほぼ不可能な状態です。入浴や排泄、衣服の着脱、食事など日常生活のほぼすべてにおいて全面的に介助が必要になります。ほぼ寝たきりという方も多いため、徘徊のリスクは少ないですが、継続的な見守りや介護が必要です。

内閣府の高齢社会白書によると、要介護5の認定者数は全国に約59万人*1(2019年時点)で、やや増加傾向にあります。

1-2. 要介護5の要介護認定等基準時間は110分以上

要介護認定の一次判定で推計される「要介護認定等基準時間」は、要介護5では110分以上となっています。要介護認定等基準時間は、1日あたりの介護にかかる時間を推計したもので、認知症がある場合は認知症加算もされます。

要介護認定等基準時間の分類*2

要支援1要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2/要介護1要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

要介護認定等基準時間は、5つの分野の介護行為ごとに必要な1日当たりの時間を推計して合計したもので、1分間タイムスタディという特別な方法で算出されます。

1-3. 要介護4と要介護5の違い

要介護5は、要介護4の状態よりさらに身体機能が低下した状態です。

要介護度別の状態像目安*3.4.5.6.7

要介護4要介護5
立ち上がり・歩行立ち上がり、歩行に全面的な介助が必要。起き上がりや姿勢の保持も自力では難しく、部分的な介助が必要立ち上がり、歩行は自力では困難となり、寝たきりの方も多い
食事自力ではできないことが多く、一部介助もしくは全介助が必要自力ではできないことがほとんどで、全面的な介助が必要
トイレ・入浴自力ではできないことが多い。衣服の着脱においても全介助、または部分的介助が必要自力では困難。衣服の着脱においても全介助が必要
認知機能理解力の低下やBPSDとよばれる行動・心理症状(介護者の時間が取られてしまう行動)が多く見られる理解力の低下やBPSDとよばれる行動・心理症状(介護者の時間が取られてしまう行動)が多く見られ、意思の疎通も困難な場合もある

2. 要介護5で受けられるサービスや支給限度額

2-1. 要介護5で受けられるサービス早見表

要介護5と認定された方が介護保険で利用できるサービス*8をご紹介します。

自宅に訪問してもらう・訪問介護(ホームヘルプ)・訪問入浴・訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
施設に通う・通所介護(デイサービス)・通所リハビリ(デイケア)・地域密着型通所介護(地域密着型デイサービス)・療養通所介護・認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
短期間の宿泊・短期入所生活介護(ショートステイ)・短期入所療養介護
訪問・通い・宿泊を組み合わせる・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
施設への入居・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設(老健)・介護療養型医療施設・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)・介護医療院
地域密着型の小規模な施設など・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具を使う・福祉用具貸与・特定福祉用具販売

※市区町村指定の事業者が地域住民に提供する地域密着型サービス

2-2. 要介護5の支給限度額の目安は約36万2170円

介護の費用

区分支給限度額(介護保険から給付される1か月あたりの上限額)は、サービスの種類や内容によって1単位あたりの単価が変わります。目安として1単位あたり10円で計算すると、要介護5では36万2170円*9です。区分支給限度額は、要介護度ごとに認知症型、医療型などのいくつかのタイプ(典型的ケース)を想定したうえで、それぞれに必要と考えられるサービスの組み合わせ利用例に応じて設定されています。要介護4と比較すると、要介護5では区分支給限度額が5万円以上増額されていることからも、要介護5に必要な介護サービスは大幅に増加することがわかります。

区分支給限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担となります。要介護5で3割自己負担の方だと10万を越え、金銭的な負担は大きくなります。

2-3. 福祉用具のレンタルも活用しましょう

要介護5で利用できる福祉用具のレンタル対象品目*10をご紹介します。

要介護5で利用できる(保険給付対象内)・手すり・スロープ・歩行補助杖・歩行器・特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・車いす・車いす付属品・認知症老人徘徊感知器・体位変換器・移動用リフト・自動排泄処理装置

要介護5では寝たきりの方も多いため、体位変換器や床ずれ防止用具、自動排泄処理装置がよく利用されています。自動排泄処理装置の交換可能な部品などは、購入費が支給される特定福祉用具に位置づけられており、購入費が支給されます(要介護度にかかわらず、同一年度で10万円、利用者が一度全額支払ったのちに費用の7~9割が介護保険から払い戻される償還払い)。

3. 要介護5で在宅介護は無理?在宅生活の割合は40.4%。在宅か、施設入居か

3-1. 要介護5で在宅介護を行う場合に利用したいサービス

訪問介護サービス

厚生労働省の調査によると、要介護5で一人暮らしをしている方は、要介護者等のいる世帯の3.5%*11です。要介護5では、介護なしに日常生活を送ることはできず、継続的な介護が必要とされるため、一人暮らしは困難だと言えます。

要介護5になると、「在宅介護は無理」「家で見るのは限界」と思っていらっしゃる方も多いのですが、必ずしもそうではありません。要介護5の介護を行う場所は、在宅40.4%、施設56.4%*12と、施設介護の割合が高くなっていますが、在宅介護も少なくありません。自宅で暮らし続けたい・自宅で一緒に生活したいという思いがあることが前提になりますが、条件が整えば在宅介護を続けることは可能です。

ただし、要介護5の同居している介護者による介護時間は、「ほとんど終日」が約57%となっており、要介護5の在宅介護における介護者の負担はかなり大きくなると考えられます。在宅介護を続けるためには、介護者であるご家族の負担を軽減するような介護保険内・外のサービスを組み合わせて利用することが重要です。

要介護5の方の利用が多い介護保険内の居宅サービスは、居宅療養管理指導、訪問介護、訪問看護などです。サービス内容を簡単にご紹介します。

介護保険内サービス名内容
居宅療養管理指導医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士または歯科衛生士などが、通院が困難な要介護者の自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行う
訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援(生活援助)を行う。通院などを目的とした車移動の際には乗車・移送・降車の介助サービス(通院等乗降介助)することもある
訪問看護看護師や保健師が自宅を訪問し、主治医の指示にもとづき、療養上の世話や診療の補助を行う

要介護5の方でも、要介護5になった要因によっては介護状態の回復が見込めます。実際に、事故による骨折などが原因で一時的に要介護5と認定されたものの、リハビリなどにより歩行が可能となり要介護1まで回復する事例もあります。病院や老健などでリハビリを受けたあとの良い状態を維持するために、定期的に訪問リハビリやリハビリ型デイサービスを利用している方もいます。

次に、要介護5の介護者であるご家族の負担を減らす介護保険外サービスなどをご紹介します。

サービス名内容
配食サービス昼食や夕食を届けてくれるサービス。配達に伴い、安否確認などを提供している事業者もある
買い物・家事代行買い物、掃除、料理の提供など幅広いサービスを提供している。水回りの設備や家電など、主に住まいの環境に関して相談・対応する事業者もある
見守りサービス訪問や電話で定期的に様子を確認する室内の見守りサービスや、GPS等を利用した認知症の方向けの屋外の見守りサービスなどがある
プライベート看護サービス看護師が定期的に自宅や病室など希望の場所に訪問し、療養上の世話や診療の補助などを行うサービス
仕事と介護の両立支援サービス仕事と介護を両立するための準備や知識などの情報提供や個別介護相談。手続き申請代行などのサービスを提供

また、家族介護者の負担軽減・レスパイト(休息)を目的としたショートステイの利用も効果的です。介護から離れる時間を持つことも、長く介護を続けていくためには必要です。

3-2. 要介護5の方が入居できる施設

要介護5の方が入居できる介護施設をご紹介します。

種類名称特徴
介護保険施設介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)常時介護が必要で、自宅での生活が困難な方向けの施設。介護やリハビリ、療養上の世話などを提供する。看取りへ対応しており、終の棲家となる。公共性の高い施設のため比較的低価格で入居できる
介護老人保健施設(老健)在宅復帰を目指している方向けの施設。リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する。入所期間は原則半年以内
介護医療院医療依存度が高く、長期にわたって療養が必要である方が対象。療養上の管理や看護、介護、リハビリテーションなど必要な医療と日常生活に必要なサービスを提供している
その他高齢者施設介護付き有料老人ホーム介護等のサービスが付いた居住施設。サービスはホームが提供する。施設によって価格の幅が広く、選択肢が多い
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)民間の認知症の高齢者向けの共同生活住居。サービスはホームが提供する
住宅型有料老人ホーム生活支援等のサービスが付いた居住住宅。レクリエーションなどに力を入れているホームが多い。介護が必要になった場合、別途外部の介護サービスを契約する。施設によって価格の幅が広く、選択肢が多い
サービス付き高齢者向け住宅見守りサービス(安否確認・生活相談)を受けられる高齢者単身・夫婦世帯が居住できる賃貸住宅。敷金・礼金はあるが、一時金は不要。介護サービスは別途契約する。施設よりも自由度が高く生活できるメリットがある。今は看取りまで対応するところも増えている
ケアハウス(特定施設入居者生活介護)身体機能の低下により、一人暮らしに不安のある方や家族の援助が困難な方向けの入居施設。比較的低価格。サービスはホームが提供する

施設に入所している要介護5の方のうち、特別養護老人ホームや老健などの公的な施設への入所は37.2%、民間の有料老人ホームや介護サービス付き住宅などの入所は11.7%*12と、公的な施設へ入居されている方が多くなっています。特別養護老人ホームは、要介護5の方が入所しやすい施設ですが、ご家族と同居している方と比較すると、一人暮らしをしている方の入所優先度が高くなります。また、家族による虐待や老老介護などの事情により優先的に入所が決まるケースもあります。介護付き有料老人ホームは、施設にもよりますができる限りの対応をしてくれることもあり、要介護5で入所されている方もいます。

3-3. 要介護5の方が施設を選ぶときのポイントと注意点

医師による診察

要介護5の方が入所施設を選ぶ際のポイントのひとつは、医療や看護との連携体制です。要介護5の方の中には、誤嚥性肺炎による入院を繰り返している方や、糖尿病などの重度の合併症がある方、胃ろうや人工呼吸器など日常的に医療ケアを必要としている方もいます。そのような方は、体調の急変などにも対応できる「介護医療院」を検討するのが良いでしょう。骨折や脳梗塞後遺症などによりリハビリが必要な方は、リハビリなどを中心とした医療・介護サービスを提供する「老健」への入所もおすすめです。また、現段階で高度な医療ケアを必要としていなくても、将来的に医療ケアが必要となる場合に備えて、どこまでの医療ケアに対応できるのかも入所前に確認しておきましょう。

その他のポイントとしては、費用や施設の立地などがあります。また、認知症への対応や看取りへの対応の可否も重要なポイントとなります。

また、家族間の話し合いも重要です。どれだけの介護が必要でどのくらい負担があるのかなど、実際に直接介護をしていないとわからない部分もあります。金銭的な問題も共通理解をしておくことをお勧めします。

在宅か施設か、選択が必要なタイミングで家族・兄弟間のトラブルが起きることもありますので、早いうちに話し合いをする機会を持つことをお勧めします。詳しくは以下の記事もご参照ください。

4. 要介護5の在宅介護と施設入居のケアプラン例と費用

4-1. 要介護5で家族と同居の場合

認知症あり。自力で起き上がりの動作ができず、ベッドでいる時間がほとんど。介助者に対する抵抗などもあり、妻の介護負担が大きい。

もともと通常の中規模デイサービスを利用していたが、他利用者への他害行為があったことをきっかけに認知症対応型デイサービスを利用することに。現在は週5回通所利用している。

リハビリの様子
  • 介護サービス費用(一割負担、1単位の単価を10円として計算):3万194円
    • 訪問介護 20回/月(週5回):7,920円
    • 認知症対応型通所介護 8回/月(週2回、単独型、6時間以上7時間未満、入浴介助加算含む):1万48円
    • 訪問看護 12回/月(週3回):9,876円
    • 福祉用具レンタル(特殊寝台、特殊寝台付属品):2,350円
  • 水道光熱費:5万円
  • 食費:4万円
  • おむつ代:1万2000円

 合計:13万2194円

※その他、医療費や薬代、追加するサービス等によっては別途個別に費用が発生します

4-2. 要介護5で施設入居の場合

夫と娘夫婦で暮らしていたが、夫に先立たれる。認知症が進行し、家族での介護が困難になったことから隣市の介護付き有料老人ホームへの入居を選択。家族も定期的に訪問。穏やかな時間を過ごしている。

介護施設での職員と利用者
  • 介護付き有料老人ホーム、一時金無し
    • 施設費用 合計:30万7000円
      • 居住費・管理費:20万
      • 水道光熱費:2万2000円
      • 介護サービス費(一割負担、1単位の単価を10円として計算):3万3000円
      • 食費(朝・昼・おやつ・夜):4万円
      • おむつ代:1万2000円

※その他、医療費や薬代、追加するサービス等によっては別途個別に費用が発生します

  • 特別養護老人ホーム 従来型個室*9
    • 施設費用 合計:13万4540円
      • 居住費・管理費:3万5130円
      • 水道光熱費:2万2000円
      • 介護サービス費(一割負担、1単位の単価を10円として計算):2万5410円
      • 食費(朝・昼・おやつ・夜):4万円
      • おむつ代:1万2000円

※その他、医療費や薬代、追加するサービス等によっては別途個別に費用が発生します

5. 特別障害者手当や高額介護サービス費制度を利用して費用負担軽減を

5-1. 在宅の要介護5の方は特別障害者手当の対象者となる場合があるので確認しましょう

介護の費用

特別障害者手当とは、「精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者」を対象に負担を軽減する手当のことで、月額2万7300円(2022年4月より適用)*13が支給されます。

要介護4や要介護5の方は、介護の状態により、特別障害者手当を受給できる可能性があります。くわしくは、お住まいの市区町村の障害支援課や福祉課にご相談ください。

5-2. 払い過ぎた介護費は戻ってくる高額介護サービス費制度とは

高額介護サービス費制度とは、1ヶ月に支払った利用者の負担が高額介護サービス費の負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。この制度により、金銭面での負担が軽減できる可能性があります。高額介護サービス費の負担限度額は所得によって異なりますが、対象となる方には市区町村から支給申請書が送付されます。また、一度申請すれば、次回以降は原則として手続きを行わなくても自動的に支給されます。

以下は、高額介護サービス費制度の対象外となりますのでご注意ください。

  • 介護保険の利用限度額を超えてサービスを利用した料金
  • 福祉用具購入や住宅改修費の自己負担分
  • デイサービスやショートステイ利用時の食費や宿泊費、日常生活費など
  • 介護保険の給付対象外の自己負担分
  • 医療保険を利用した際の自己負担分

また、高額介護合算療養費制度という、一年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担を合計し、基準を超えた場合にその超えた金額を払い戻すことで負担を軽減する仕組みもあります。こちらも、対象となる方には市区町村から支給申請書が送付されてくるので確認しましょう。ただし、転入などにより、医療保険および介護保険の被保険者証が新たに発行された場合は、送付対象とならない場合がありますので、お住まいの市区町村の保険業務担当にお問い合わせください

6.要介護5から回復することはある?

質問者
質問者

介護保険制度での介護度は要介護1からだんだん重度になって最重度が要介護5。ということは、要介護5から回復・改善するということはないのでしょうか。

要介護5になったら、これ以上要介護度が高くなることはありません。ただし、要介護度が下がることはあります。

例えば、入院中で完全介護の状態で認定調査を受けると介護度は高くなります。ただ、退院して自宅に戻ると自分でやらざるを得ないことも増えます。その状態で要介護認定を受けると介護度は軽くなります。

要介護5は要介護度が上がることはありませんが、機能の改善などにともなって生活の自立度が向上した結果、要介護度が下がることはあります。要介護4、要介護3と順に下がるとも限りません。経験上、要介護5から一気に要介護1になったケースもあります。

7.最期の過ごし方を考えましょう

意思疎通が可能な間に本人の理想とする最期の過ごし方を聞き、ご家族で話し合いをしておくことが大事です。要介護5になると、さらに具体的に最期の過ごし方について考えていく必要があります。

要介護5になったからといって余命や寿命といったことを意識する必要はありませんが、骨折などの突発的な事故でなく、徐々に状態が悪化して要介護5になっているのであれば、体力の低下も進み、食事量なども落ちます。食事を受け付けなくなり、エネルギー摂取量が少なくなれば、最後にも近づいてきている可能性が高くなります。そうなる前に、どう過ごしていきたいのかを話し合う機会を持っておくことは大切です。

終末期になると、十分な食事量を摂ることができない、嚥下困難で食事ができない、といったことが生じますが、その場合は無理に食べさせるのではなく、自然に任せるというのもひとつの方法です。無理に食事を摂らせようとすることは、水分や栄養を体内で処理することが難しくなっている要介護者にとって苦痛を伴う可能性もあります。

最期は点滴などの医療処置を最小限にすると決め、退院して自宅で最期を過ごすという選択肢もあります。今後、食事ができなくなった場合や、寝たきりで意識もない状態になった場合などに、どこまでの医療ケアを望むのかご家族で具体的に話をしておきましょう。この機会にぜひ、「最期の過ごし方」について考えてみることをおすすめします。

参考文献

この記事を監修したのは

河北 美紀

介護認定審査会委員/株式会社アテンド代表取締役
2013年介護事業を運営する株式会社アテンド代表取締役就任。
8年間父の介護をした経験と、江戸川区介護認定審査会委員を務めた経験をもとに介護保険外サービス『冠婚葬祭付き添いサービス』を拡大。
母体のデイサービスは、2017年株式会社ツクイ(東証一部上場企業)主催の介護コンテスト横浜会場にて最優秀賞受賞。メディア実績は、厚生労働省老健事業「サービス活用販促ガイド」、週刊ダイアモンド、シルバー新報、東京都「キャリアトライアル65」、経済界など複数。


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