いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
介護用スプーンは高齢者や特別なケアが必要な方々の日常生活を支援する重要なツールです。本記事では、介護用スプーンの種類や選び方、購入方法などを説明します。
今回の記事を作成するきっかけはこんなユーザー様からの質問から。
最近、スプーンを握りにくいみたいですぐに落としてしまうんです。柄が細すぎるのかしら。握りやすい介護用のスプーンがある、ってヘルパーさんから聞いたんですけど、どこで買えばいいのかもわからなくて。できれば安く買いたいんですけど、100円ショップとかで売ってないかしら?
質問に、介決サポーターが回答いたします。
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1. 介護用スプーンとは
介護用スプーンは、高齢者や障害を持っている人など、身体的な制約のある人々の食事に使用される形状や材質が特殊なスプーンです。これらのスプーンは、食事の摂取を助け、安全かつ快適な食事体験を提供します。また、家族など介助者の介護負担軽減につながります。介護用スプーンは、日常生活の一環として非常に重要であり、その役割と種類について詳細に見ていきましょう。
1.1. 介護用スプーンの役割
介護用スプーンの主な役割は次のような点にあります:
食事のサポート
高齢者や身体的な制約のある人々が、自力で食事を摂るのが難しい場合、介護用スプーンは必須の補助具です。このスプーンを使用することで、対象者は食事を簡単に摂ることができます。
安全性の確保
介護用スプーンは、食事を摂る際に安全性を確保する役割を果たします。特に嚥下障害のある人々にとって、誤嚥を防ぐために適切なスプーンの使用が重要です。介護用スプーンは、食事を適切に取り扱い、食事中の事故や健康リスクを最小限に抑えるのに役立ちます。
食事の快適さ
介護用スプーンは、対象者が食事を快適に楽しむのを支援します。柔らかくて使いやすいデザインや材質、適切な形状を持つスプーンは、食事中のストレスを軽減し、食べることを楽しい体験に変えます。
1.2. 自助具としての介護用スプーン
介護用スプーンは、対象者が自立して食事を楽しむための自助具としても利用されます。自助具としての側面に焦点を当て、介護用スプーンがどのように対象者の生活の質を向上させるかについて考えてみましょう。
自立のサポート
介護用スプーンは、食事を自力で摂ることが難しい対象者にとって、食事の自立支援につながります。介助者の介入を最小限に抑え、対象者が食事を自分で摂取できるようになります。
自尊心の向上
介護用スプーンの適切な使用により、対象者は自尊心・自己肯定感を高めることができます。介助者に依存せず、自分のタイミングで、自分の好きな順番で、自分の好きな量で食べるということは、食事のQOLを大幅に高めます。自分で食事を摂る能力を維持できることは、心の健康にもプラスの影響を与え、対象者が自信を持って日常生活を送るのに役立ちます。
介護者の負担軽減
介護用スプーンが対象者の自立をサポートすることで、介護者の負担も軽減されます。食事の介助はタイミングや介助方法、一口の量など、細かな配慮とコミュニケーションが必要で、負担の大きな介護です。介護者は対象者の食事を管理する必要が少なくなり、より効果的に介護業務に集中できます。
1.3. 介護用スプーンの種類
介護用スプーンにはさまざまな種類があり、異なる状況やニーズに対応しています。以下では、主要な介護用スプーンの種類について詳しく紹介します。
シリコンスプーン
シリコンスプーンは、柔軟で滑らかなシリコン素材で作られており、口腔内に優しい設計です。口腔内に傷や過敏さなどトラブルを困難を抱える患者にとって、シリコンスプーンは優れた選択肢です。
スプーン用グリップ
スプーン用グリップは、スプーンをしっかりと握りやすくするための補助具です。手の力や握力が弱い人々にとって非常に役立ちます。スプーン用グリップは、スプーンを持ちやすくし、食事中の安定性を向上させます。
曲がるスプーン
曲がるスプーンは、首や腕の動きに制限のある方や、食事の摂取に支障がある方に適しています。スプーンの一部が曲がり、食事を摂る際により適切な角度に調整できます。このタイプのスプーンは、特に特別なケアが必要な方に向けられています。
介護用スプーンは、これらの種類のうちから選択することができ、対象者の具体的なニーズや状況に合わせて最適なスプーンを選ぶことが大切です。介護用スプーンの種類についての知識を持つことで、介護者や家族は適切なサポートを提供できます。
また、食べる食事の内容については、その人の噛む力や飲み込む力などに合わせて適切な食品を用意しましょう。ユニバーサルデザインフードの基準がありますので、それを目安に食品を選ぶことをお勧めします。
次の章からは介護用のスプーンについて、それぞれの特徴や選び方を解説します。
2. シリコンスプーンの特徴と選び方
2.1. シリコンスプーンが必要な対象者
口腔の感覚が鈍くなっている高齢者
高齢に伴う口腔の感覚の低下は、食事中の課題を引き起こすことがあります。シリコンスプーンは、柔らかくて滑らかな材質により、食事中の感覚をサポートし、食事を楽にする役割を果たします。
認知症や知的障害・精神疾患などの影響や、てんかんなど突発的に過度に緊張してしまう方など、スプーンを強く嚙んでしまうことがあります。金属製のスプーンを強く嚙んでしまうことで、口腔内を傷つけたり、歯が欠けてしまうなどのトラブルも起きます。シリコンスプーンは柔らかいため、強く噛んでも口腔内を傷つけることはありません。
口内の傷や潰瘍がある方
口内の傷や潰瘍があると、通常の硬いスプーンが不快で痛みを引き起こす可能性があります。シリコンスプーンは、柔らかい素材でできており、口内に優しいため、対象者にとって快適な選択肢となります。
2.2. シリコンスプーンの使い方
シリコンスプーンを正しく使うことは、食事の快適さと安全性を確保するために重要です。
食事の摂取方法
シリコンスプーンの使い方ですが、基本的には一般のスプーンと使い方は同じです。ただ、対象者の咀嚼や嚥下能力に合わせて適切な一口量をすくいましょう。シリコンスプーンには先端がヘラのように平らになっているタイプもあり、このようなタイプはゴムベラと同じ要領で、お皿から残さずきれいにすくいやすいという長所もあります。ただ、あまりぺらぺらしていると一口を多めの量で食べたい人はすくいにくいという特徴があります。
清潔な保ち方
シリコンスプーンは清潔に保つことが重要です。使用後は、ぬるま湯と中性洗剤を使って洗浄し、十分にすすぎます。シリコンスプーンを衛生的に保つことで、感染症や口内の健康を守ります。
2.3. シリコンスプーンの選び方
シリコンスプーンを選ぶ際には、以下のポイントに注意を払うことが大切です:
材質と品質
シリコンスプーンの材質は食品に安全であり、耐久性があることが求められます。品質の高いシリコンスプーンを選ぶことで、長期間にわたり安心して使用できます。
個人的にはあまり薄くてぺらぺらしているものは一口量を多くしたいときに使いにくいことや、先端がはねて食べ物が飛び散ってしまうことなどもあるので、少し厚めの方が気に入っています。
サイズと形状
シリコンスプーンのサイズと形状は、対象者の口に合うかどうかに影響します。嚥下機能が低下しているため一口量を制限したい場合は、小さめのものを選ぶといいでしょう。適切なサイズを選び、対象者に合った形状を選択しましょう。
滑り止めがあるか
一部のシリコンスプーンには、滑り止めのグリップが付いているものもあります。これは、スプーンをしっかりと握りやすくし、食事中の安定性を向上させます。対象者の手の力に合った滑り止めグリップを選びましょう。
シリコンスプーンの選び方についての知識を持つことで、対象者の特定のニーズに合わせた最適なスプーンを見つけることができます。シリコンスプーンは、口腔の健康を守りながら、食事を快適に楽しむことができます。
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3. スプーン用グリップの特徴と選び方
3.1. スプーン用グリップが必要な対象者
手の力や握力が弱い高齢者
高齢に伴う筋力の低下や関節の問題は、手の力や握力に影響を与えることがあります。スプーン用グリップを普段使っているスプーンに装着することで握りやすい形状にすることができます。しっかりと握ることを支援し、食事中のスプーン操作の動作安定性を向上させます。
身体の一部を制御できない方
一部の人々は、身体の一部を制御できないため、スプーンを正確に操作するのが難しい場合があります。スプーン用グリップは、スプーンを持ちやすくし、食事を摂る際のコントロールを改善します。
3.2. スプーン用グリップの使い方
スプーン用グリップを使う際には、以下のステップに従うことが重要です:
グリップの取り付け
スプーン用グリップは、通常、スプーンの柄に取り付けます。取り付ける際には、確実に固定されていることを確認しましょう。
握りやすさの確認
スプーン用グリップを持つ対象者に合わせて、握りやすさを確認します。手のサイズや形状に合ったグリップを選び、快適な食事体験を提供します。
食事の摂取方法
スプーン用グリップを使う際、対象者は以下のステップに注意を払う必要があります:
- スプーンを持ちやすい位置でスプーン用グリップを握ります。
- ゆっくりと食事を取り込み、食事中のコントロールを確保します。
- 食事中にスプーン用グリップを適切に操作し、食物を口に運びます。
3.3. スプーン用グリップの選び方
スプーン用グリップを選ぶ際には、以下のポイントに留意しましょう:
材質と耐久性
スプーン用グリップの材質は食品に安全であり、耐久性があることが重要です。長期間にわたって使用できる高品質なグリップを選びましょう。
サイズと形状
スプーン用グリップのサイズと形状は、対象者の手に合うかどうかに影響します。対象者の手に合った適切なサイズを選び、握りやすさを確保しましょう。
握力が弱くなっているため、柄の部分の太さを太くすればいいだけなのか。
握ることができないので、バンドで手に固定するタイプがいいのか。
握力や食事の様子などを見極め、適切なサイズ・形状を選びましょう。
滑り止め機能
スプーン用グリップの多くは、滑り止め機能が備わっています。これは、スプーンをしっかりと握りやすくし、食事中の安定性を向上させます。滑り止め機能があるかどうかは確認しておきましょう。
スプーン用グリップの選択には、対象者の個別のニーズや好みを考慮することが大切です。適切なスプーン用グリップを選ぶことで、食事の快適さと安全性を向上させ、自立した生活をサポートします。
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食器の改善で食べやすくなることで食欲が回復する事例もあります。
4. 曲がるスプーンの特徴と選び方
4.1. 曲がるスプーンが必要な対象者
首や腕の動きに制限のある方
首や腕の可動域(動かせる範囲)に制限がある方は、通常のスプーンを使うことが難しい場合があります。関節拘縮がある方など、曲がるスプーンは、特定の角度に調整できるため、食事をより快適に摂るのに役立ちます。
マジシャンがスプーン曲げをしたスプーンで食べるというわけではありませんのであしからず。
食事の摂取に支障がある方
食事の摂取に支障がある方は、食事を摂る際に特別な支援が必要です。曲がるスプーンは、食事を摂りやすくするだけでなく、嚥下の問題を軽減するのにも貢献します。
4.2. 曲がるスプーンの使い方
曲がるスプーンを正しく使うことは、食事の快適さと安全性を確保するために重要です。
曲がる角度の調整
曲がるスプーンは、特定の角度に調整できます。対象者は、食事の摂取に適した角度を選び、スプーンを使う際に食事をより効果的に取り込むことができます。
食事の摂取方法
曲がるスプーンを使う際、対象者は以下のステップに注意を払う必要があります:
- 曲がるスプーンを食事に沿った角度に調整します。
- ゆっくりと食事を取り込み、嚥下の際に注意深く咽頭の方向に向けます。
- スプーンを適切に操作し、食物をよくかみ砕き飲み込みますします。
4.3. 曲がるスプーンの選び方
曲がるスプーンを選ぶ際には、以下のポイントに注意を払うことが大切です:
曲がる範囲と角度調整のしやすさ
曲がるスプーンの範囲や角度調整のしやすさは、対象者のニーズに合ったものを選ぶ際の重要な要素です。適切な角度に調整しやすい曲がるスプーンを選びましょう。
材質と品質
曲がるスプーンの材質は食品に安全であり、耐久性があることが求められます。高品質な曲がるスプーンは、長期間にわたって安心して使用できます。
滑り止めグリップ
一部の曲がるスプーンには、滑り止めのグリップが付いているものもあります。これは、スプーンをしっかりと握りやすくし、食事中の安定性を向上させます。対象者の手の力に合った滑り止めグリップを選びましょう。
曲がるスプーンは、特に首や腕の動きに制限のある方や食事の摂取に支障がある方にとって、食事をより快適に摂る手助けとなります。適切な曲がるスプーンを選択することで、食事の品質と生活の質を向上させることができます。
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5. 100均でも買える?介護用スプーンの購入場所
介護用スプーンを手に入れる場所はさまざまです。どんな場所で購入できるか紹介します。
5.1. 100円均一ショップでの購入
多くの100円均一ショップでは、日常生活で使えるさまざまなアイテムを手に入れることができます。介護用スプーンも一部の100円均一ショップで入手できることがあります。シリコンスプーンやスプーン用のグリップは実際に多くの100円ショップで見かけます。
ただし、品揃えや在庫は店舗によって異なりますので、特定のショップで入手できるかどうかを確認することが大切です。材質や耐久性、デザイン性など、介護用品の専門店で購入するものと比較して劣る可能性もあります。
価格の点では、手頃な100円で購入できる場合が多いため、予算に制約のある方には魅力的な選択肢となります。介護用品の専門店で購入する前に、一度100円均一ショップで試しに購入してみる、というのはいいかもしれません。
5.2. 介護用品のオンラインショップ
介護用スプーンを幅広く取り扱っている介護用品専門のオンラインショップもあります。
オンラインショップでは、さまざまな種類やブランドの介護用スプーンを購入でき、商品の詳細情報やカスタマーレビューを確認することができます。また、オンラインショップでは便利な配送オプションも提供されており、商品を自宅に届けてもらうことができます。
5.3. 福祉用具事業者から購入
福祉用具事業者は、介護用品や福祉用具を提供する専門業者です。介護用スプーンなどの製品を購入する際、専門のアドバイスや選択肢を提供してくれるため、特定のニーズに合わせた適切な商品を見つけるのに役立ちます。介護用品のカタログから選んで、注文するという形になります。
福祉用具事業者については、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに紹介してもらうことができます。介護保険で利用できる福祉用具についてはこちらの記事をご参照ください。
5.4. 介護保険は適用外
介護用スプーンは、介護保険の適用外となります。介護保険で対象になる福祉用具の中に食事関連用具は含まれていません。したがって、介護用具を購入する際は、全額自己負担が必要となります。
6. まとめ
介護用スプーンは、高齢者や特別なニーズを持つ人々にとって重要な支援ツールです。購入場所を選ぶ際には、予算や特定の要件に合わせて適切な方法を選択しましょう。100円均一ショップ、オンラインショップ、福祉用具事業者など、さまざまな選択肢がありますので、自身や対象者のニーズに合った方法を検討しましょう。
食事の確保については、配食サービスなども含め、様々な選択肢があります。毎日の食事が楽しみになる生活が送れるといいですね。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
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