デイサービスに行きたがらない父。男性でも行きたくなるデイサービス探し、3つのポイント

デイサービスに行きたがらない父 介護のことはじめ

ユーザーの方から届いた質問に介決サポーターがお答えします。
今回はお父様を遠距離で介護している娘様からの質問を紹介します。

質問の内容は「デイサービスに行きたがらない父をデイサービスに行かせるためにはどうしたらいい?」というものです。

質問「父をデイサービスに行かせるにはどうしたらいい?」

高齢男性

それでは相談者からの質問を紹介します。

(質問内容)

はじめまして。質問いたします。

現在80代の父が一人暮らしをしています。2年前に母を亡くし、それから一人で暮らしています。膝が悪く、杖を手放せませんが、買物は自分でできています。だんだんとできないことも増えているので、掃除などの手伝いに兄と協力して時々行くようにしています。物忘れかなと思うことも増えてきているので心配ですが、私も仕事と自分の家庭があるのでそんなに頻繁に顔を出すこともできません。

父はもともと人付き合いも苦手なタイプで、老人会や自治会にも顔を出すことはありません。先日、介護保険の認定を受けて要支援2という認定を受けました。

そこで、父にデイサービスの利用を勧めているのですが、本人が首を縦に振りません。「知らない人のいるところに行きたくない」「わざわざ行って“ちいちいぱっぱ”のような幼稚なことはしたくない」「今の生活で何も不自由していない」と、いろいろと理由をつけて応じようとしません。人と話すことも少なくなっているので、できればデイサービスに行ってほしいと思っているのですが、父のような人にデイサービスに行ってもらうことは難しいのでしょうか。父でも喜んで行くようなデイサービスはないのでしょうか

―――という質問でした。

では、在宅介護の強い味方「介決サポーター」からのアドバイスをお願いします。

介決サポーターがお答えします!

ご相談ありがとうございます。

デイサービスに行きたがらない一人暮らしのお父様のことを心配されているということですね。

質問のポイントは2点ですね。

  • 人付き合いが苦手な人をデイサービスに行かせることはできないのか、
  • そんな父に合ったデイサービスはないのか

では質問にお答えしていきたいと思います。

※「デイサービス」がどんなところか知りたいという方は先にこちらの記事からご覧ください。

男性高齢者の多くはデイサービスに抵抗を感じている

デイサービスに出発する男性高齢者
まずご理解いただきたいポイントとして、男性高齢者の多くはデイサービスに行くことに抵抗を感じているということです。

多くの男性高齢者は仕事をリタイヤ後、社会とのつながりを持つ機会が圧倒的に少なくなります。地域の自治会や老人会に積極的に参加する男性高齢者はごくわずかです。

趣味の付き合いを通して交流機会を持つ高齢者もいますが、年齢を経るに従ってその趣味を楽しむことができなくなります。

  • ソフトボールが趣味で毎週参加していたが、ケガをしたことをきっかけにやめてしまった
  • 麻雀仲間がいたがみな車の運転ができなくなり集まれなくなった
  • 登山仲間がいたが、膝を悪くしてからは行けなくなった
  • カラオケ仲間がいたが、中心になっていた人が亡くなって自然消滅した

このように地域とのつながりを失い、地域で孤立化していく高齢者は少なくありません。

男性高齢者は新しいことにチャレンジすることや、新しい環境に飛び込むということが苦手です。それは、これまで仕事で築いてきたキャリアなどが、プライド・自尊心となって、未知の環境に足を踏み入れることへの壁となってしまうのです。人付き合いに余計なストレスを感じたくない、失敗したくない、恥ずかしい思いをしたくない、という思いが邪魔となって、その一歩を踏み出すことができないのです。

今回の質問者さんのお父様も同じように、新しい環境に溶け込むことに抵抗を感じているのだと思います。

私も長い間ケアマネジャーとして現場に立っていますが、男性高齢者に

「デイサービスに行ってみませんか」

と提案して、即答OKをする方というのは本当にごく稀です。

デイサービスでのリハビリを受ける高齢者

デイサービスのイメージとして、高齢者が集まって童謡を歌ったり、風船バレーや塗り絵をしたりするような、幼稚な遊びをする場所という認識を持つ人もいます。「なんでそんなことをさせられなきゃいけないんだ」と言う人もいます。

男性高齢者にとってデイサービスはハードルの高いサービスです。周囲が思っているほど簡単に導入が進みません。

でも、男性高齢者のいるデイサービスはあります。男性でも行きたくなるデイサービスとは、どんなデイサービスでしょうか

男性高齢者の多いデイサービスの特徴をお伝えします。

男性高齢者が行きたくなるデイサービス

男性高齢者はどのようなデイサービスに行くのでしょうか。

デイサービスも介護保険制度の成熟とともに、様々なタイプの事業者が増えてきました。男性に好まれるデイサービス、特徴的な3つのタイプを紹介します。

デイサービスに行きたがらない父におすすめのデイ

機能訓練特化型デイサービス

機能訓練特化型のデイサービスは比較的男性高齢者にも好まれます。リハビリをすることの必要性は男性高齢者の多くは実感しています。歩けなくなることで、家族に迷惑をかけたくないという思いからデイサービスに参加される方もいます。

マシントレーニング機器を設置し、筋力トレーニングを中心としたメニューを行います。無理のないように、回数や負荷を調整しながら、目標達成のために適切なプログラムを作成します。

運動中心なので、無理に他の人とコミュニケーションをとる必要もないので、人付き合いが苦手な方でもすんなり溶け込むことができます。お遊戯のようなプログラムをすることもありません。

理学療法士や機能訓練指導員の指導の下、トレーニングを積んでいけば、運動の効果が実感できます。多くの機能訓練特化型デイサービスでは体力テストを定期的に行っています。片足立ちや歩行スピードの測定などの測定を行い、トレーニングの効果について評価します。トレーニングすることで数字という目に見える結果が残るので、大きなモチベーションになります。

また、利用時間も3時間から4時間程度のところが多く、半日の利用となります。一般的なデイサービスでは昼食やおやつをデイサービスで食べるのですが、それもありません。昼食代の負担もないので、経済的な理由でデイサービス利用が難しい方にとっても利用しやすいのが機能訓練特化型デイサービスです。

ただし、機能訓練することが目的のデイサービスなので、認知症のために指示通りに運動ができない方や、他の利用者との間にトラブルを起こす方に関しては利用をお断りされることがありますのでご注意ください。

介護職員と利用者男性

このような機能訓練特化型デイサービスは比較的男性の高齢者でも参加しやすく、男性利用者の方が多い事業所もあります。「リハビリのために」というアプローチでお父様を誘ってみるというのもいいのではないでしょうか

機能訓練特化型のデイサービスは事業所数も多く、運動の内容も特徴があります。ちなみに、ムキムキのボディビルダーがインストラクターをしてくれるデイサービスなどもあります。

リハビリテーションの専門職が医師の指示のもとにリハビリを行う通所リハビリというサービスもありますので、通所リハビリも選択肢に入れるといいかもしれません。デイサービスとデイケア(通所リハビリ)の違いについてはこちらの記事を参考にしてください。

趣味活動ができるデイサービス

麻雀

もともと何かの趣味を持っていた方であれば、その趣味を楽しめる場所があれば参加したいと思うかもしれません。デイサービスでは各事業所多彩なプログラムを用意しています。

例として、デイサービスではこのようなプログラムを行っているところもあります。

  • 麻雀
  • 囲碁
  • 将棋
  • パソコン
  • カラオケ
  • 手芸
  • 調理

昔はこんな趣味を持っていた、というのがあればデイサービスにつながるひとつのヒントになるかもしれません

地域の情報に精通したケアマネジャーさんであれば、この活動ができるデイサービスがどこにあるか、幅広い情報を把握しています。趣味を通してなら人と交流することへのハードルも低くなりますし、それを楽しみに継続して参加することもできるでしょう。

また、これらのプログラムもただ遊んでいるだけではなく、趣味を通して手先や脳を刺激することで、認知症予防や機能改善に結び付けることができます。

趣味の活動に参加する場を失っていた高齢者にとって、デイサービス利用が「渡りに船」になるかもしれません。

ちょっと変わったデイサービスも

実は日本にはちょっと変わったデイサービスもたくさんあります。デイサービスも多様化し、ユニークな取り組みをしているところが増えていますのでご紹介します。

カジノ型デイサービス

カジノ型デイサービス

ルーレットやカードゲームなどのテーブルゲームを中心にしたデイサービスがあります。もちろん現金をかけることなどはありませんが、疑似通貨などを使って、ゲームを通して脳に刺激を受けることや、点数を計算することなどを通して、心身の機能改善に効果があるとされています。

ちょっとオシャレをして行きたくなるような雰囲気というのも刺激になり、男性にも人気です。

スポーツ型デイサービス

高齢者がスポーツなんて・・・というのは今や昔。高齢者でも生涯にわたってスポーツを楽しむことが生きがいのために大切です。

ゴルフデイサービスというデイサービスもあり、ゴルフ練習場を日中デイサービスとして解説しているところもあります。もちろんパターゴルフだけでなく、しっかりスイングの練習もします。回旋動作の練習やバランスを保つための筋力強化など、ゴルフの動作を通してリハビリ効果を得ることもできます。ホールをラウンドできるようになることを目指すという変わったデイサービスもあります。

他にも卓球をするデイサービスなどもあります。

農業リハビリ型デイサービス

農業をされていた方、趣味で野菜などを育てていた方など、畑が大好きな方にはうれしいデイサービスです。実際に農作物を育てて収穫し、お昼に食べるという一連の体験をすることができます。土や自然と触れ合うことでの癒しの効果、作業をすることで得られる運動効果、自分で収穫し食べるという達成感など、農業はリハビリテーションとしての効果が高いと言われています。

音楽デイサービス

音楽を通してリハビリテーション効果を得ることを目的としたデイサービスです。

発声練習による肺機能の活性化、楽器の操作による運動効果、他の利用者とセッションすることでのコミュニケーションなど、音楽を通して心身に刺激を受けることができます。これらは音楽療法と呼ばれるセラピーをベースにしています。

音楽を趣味にしていた方や音楽を仕事にされていた方であれば興味のあるデイサービスではないでしょうか。

一例を紹介しましたが、日本全国を探せばもっと特徴的なデイサービスがたくさんあります。そんなことでリハビリ効果あるのかしら?と疑問に思うのかもしれませんが、夢中になって何かに取り組む姿勢があれば、それだけで十分リハビリテーション効果が得られているのです。気持ちがポジティブになり、姿勢もよくなり、大きな声で笑ったり、他の人と励ましあったり。本人が夢中で楽しめるものがあればそれはチャンスと思いましょう。

まとめ

デイサービスに行きたがらないお父様についてのお悩みに対して、男性でも参加しやすいデイサービスの特徴をお伝えしました。

男性でも参加しやすいデイサービスとして、3つのタイプを紹介しました。

  • 機能訓練特化型デイサービス
  • 趣味活動ができるデイサービス
  • ちょっと変わったデイサービス

まずはケアマネジャーさん(要支援の方は地域包括支援センターの職員さん)に相談し、一緒にどんなデイサービスだったら気軽に参加できるか考えてみましょう。

このサイトではデイサービスの事業所検索ができますので、お近くにどんなデイサービスがあるか調べてみましょう。

[事業所検索のページ]

在宅介護の事業所検索 いえケア

まだ介護が必要のない状況でも、早い段階から地域との接点を持っておくことで、将来的にデイサービスへの抵抗感が少なくなる傾向があります。

自治会やサークルへの参加などで、地域の人との交流を持つ機会ができれば、社会に出ていくことにも抵抗感が少なくなります。知らない人とも関係を作ることに自信が持てる方はデイサービスなどの場に参加することも抵抗が少なくなります。

いずれ、父にはデイサービスに行かせたい!と思っている場合は、元気なうちから地域社会の場に参加する機会を持つように促していくことをお勧めします。

いえケア 在宅介護の総合プラットフォーム
タイトルとURLをコピーしました