ユニバーサルデザインフードとは。介護が必要になっても食事を楽しむ方法

ユニバーサルデザインフードとは、誤嚥性肺炎を予防する 介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

日本人の死因として多いものは、がん(悪性新生物)・心疾患・老衰・脳血管疾患・肺炎と続き、誤嚥性肺炎が3.6%と6位になっています(*1)。毎年5万人近い方が誤嚥性肺炎で亡くなっており、そのほとんどが高齢者です。

突然に訪れる誤嚥性肺炎・窒息。死に直結する悲しい事故を防ぐ方法はないのでしょうか。

嚥下リハビリや救急対応なども重要ですが、それとな案で見直したいのは食事の内容です。今回はユニバーサルデザインフードという食品の基準について解説し、正しい知識をもって、食事の時間を安全で楽しみを持てるものにできればと思います。

【この記事を読んでほしい人】

  • 家族にむせ込むことが増えるなど、食事の飲み込みが心配な人がいる方
  • 飲み込みの機能が低下した方の食事の買物選びで迷っているホームヘルパー
  • 喉につっかえることなども増えて、自分の飲み込みの力が心配な方

【この記事で解説していること】

  • ユニバーサルデザインフードとは食べやすさに配慮された食品のこと
  • ユニバーサルデザインフードには「かむ力」「飲み込む力」に応じた4つの区分がある
  • 食事の楽しみ方とユニバーサルデザインフードの選び方

ユニバーサルデザインフードの基本とは

ユニバーサルデザインフードの定義と幅広い用途

ユニバーサルデザインフード、4つの区分

ユニバーサルデザインフード(Universal Design Food=略称:UDF)は、「ユニバーサルデザイン」の「フード」という、その名前からもわかるように、食べやすさに配慮した食品の総称です。ユニバーサルデザインフードは、高齢者から障害のある方々、介護を必要とする人々に対して、食事の楽しみや栄養をサポートするために開発されました。現在は、介護が必要な方だけでなく、「みんなにやさしい」食品として、幅広い用途で使われています(*2)。

冷凍食品やレトルト食品からとろみ調整食品までの種類

ユニバーサルデザインフードの種類は多岐にわたり、さまざまな形態があります。一つは、冷凍食品として提供される調理済み食品です。これらの食品は、温めて器に盛るだけで簡単に食べることができ、特に高齢者や介護を必要とする方々にとって便利な選択肢となっています。また、レトルト食品もユニバーサルデザインフードの一部であり、調理の手間を省くことができます。

さらに、ユニバーサルデザインフードには「とろみ調整食品」も含まれています。これらは、飲み物や汁物に加え混ぜるだけで、適度なとろみを簡単につけることができます。とろみがつくことで、飲み物が気道に入ることを防ぎ、誤嚥性肺炎を予防することができます。食品や飲み物が口の中でまとまりやすくなり、飲み込みがスムーズになります。

日本介護食品協議会の規格に基づいた製造・販売

ユニバーサルデザインフードマーク

ユニバーサルデザインフードの品質と安全性を保証するために、日本介護食品協議会(*3)が規格を制定しています。この規格に基づき、ユニバーサルデザインフードを製造・販売するメーカーは、商品に特定のマークを表示します。このマークは、お客様が選びやすいように、かたさや粘度の規格により分類された4つの区分を表示しています。このような規格に基づいた製造と表示により、消費者は安心してユニバーサルデザインフードを選ぶことができます。

ユニバーサルデザインフードのメリットと選び方

ユニバーサルデザインフードのメリット

ユニバーサルデザインフードには、多くのメリットがあります。まず、ユニバーサルデザインフードは調理の手間を大幅に削減します。特に高齢者や介護を必要とする方々にとって、調理や食事の準備にかかる負担は大きなものですが、冷凍食品やレトルト食品、とろみ調整食品を利用することで、簡単に栄養を摂ることができます。

さらに、ユニバーサルデザインフードは安定した品質の目安となります。日本介護食品協議会の規格に基づいて製造されたユニバーサルデザインフードは、食品のかたさや粘度が明示され、消費者が自分に合った食品を選びやすくなっています。品質の一貫性は、介護食を選ぶのに重要な要素となります。

ご家族
ご家族

なんかあまりイメージがわかないんだけど。どのくらいの柔らかさなのかわかるってこと?

いえケア
いえケア

各社でバラバラの基準だと消費者側が困るので基準を統一しているのね。
わかりやすく言うと、例えばカレーの辛さもA社の辛口はB社の中辛と同じくらいっていうことがあるよね。統一した基準がないとどれを買ったらいいかわからない。それは困るよね。最近はパッケージに各メーカーで統一した基準が書かれるようになってわかりやすくなったよね。

嚥下のしやすさもそう。噛みやすさ・飲み込みやすさがわかりやすいように統一した基準ができたんですよ。それがユニバーサルデザインフードです。

ユニバーサルデザインフードは、食事の安全性も向上させます。とろみ調整食品は、誤嚥(食物や液体が誤って気管に入ること*4)を防ぐのに役立ちます。特に飲み物やスープにとろみをつけることで、飲み込みがしやすくなり、誤嚥リスクを低減させる効果があります。

最後に、ユニバーサルデザインフードは食事の楽しみを提供します。食事は単なる栄養摂取だけでなく、楽しみやコミュニケーションの一環でもあります。ユニバーサルデザインフードは多彩な種類を提供し、食事のバリエーションを確保します。自分に合った食形態で食事を楽しむことができます。

ユニバーサルデザインフードの選び方

ユニバーサルデザインフードを選ぶ際には、自身や介護対象者の食事の状態に合った選択をすることが大切です。日本介護食品協議会の規格に基づいて、ユニバーサルデザインフードは「かむ力」と「飲み込む力」に応じて4つの区分に分類されています。

下の表は日本介護食品協議会が作成している区分表です(*5)。

区分かたさの目安(ごはん)程度
区分1(容易にかめる)ごはん~やわらかめのごはんしっかりと噛むことができ、普通に飲み込める食事。
区分2(歯ぐきでつぶせる)やわらかめのごはん~全粥噛みづらいものや粘り気があるもの、水分が少ないものに適しています。
区分3(舌でつぶせる)全粥かたまり状のものは噛みにくいが、柔らかく調理してあるものなら食べられます。
区分4(かまなくてもよい)ペースト粥固形物を噛むことが難しく、飲み込みにくい方向け。

食事だけでなく、飲み物での誤嚥も注意が必要です。とろみの目安は以下の区分表のように、とろみのゆるい順に「フレンチドレッシング状」「とんかつソース状」「ケチャップ状」「マヨネーズ状」と4段階で表現されています(*5)。

選び方のポイントは、食事を提供する方や介護職、看護師、リハビリスタッフ、医師と相談し、最適な区分を選ぶことです。また、ユニバーサルデザインフードのメリットを最大限に活かすために、食事の形態や見た目、準備の簡便さにも注意を払いましょう。

ユニバーサルデザインフードの利用方法と注意点

ユニバーサルデザインフードの利用方法

ユニバーサルデザインフードを利用する際には、適切な方法で提供することが重要です。以下は、ユニバーサルデザインフードの利用方法についてのポイントです。

  1. 適切な区分の選択: まず、介護対象者や高齢者の食事の状態を評価し、日本介護食品協議会の区分に基づいて適切なユニバーサルデザインフードを選択します。かむ力や飲み込む力に合わせて、「容易に噛める」から「かまなくてよい」まで、最適な区分を決定しましょう。
  2. 調理方法の確認: ユニバーサルデザインフードには様々な調理方法があります。一部の製品は冷凍のままで提供できますが、他の製品は温める必要があるかもしれません。パッケージに記載された調理方法を確認し、適切に調理して提供しましょう。
  3. 食べ方・介助方法の配慮: ユニバーサルデザインフードを提供する際には、介護対象者の食事状態に合わせた方法で食べるもしくは介助することが必要です。上体をどのくらいの角度まで起こすべきか?首の位置は?姿勢は窮屈ではないか?緊張が入っていないか?など様々な視点から食事姿勢を観察し、食事に適した姿勢をとることが必要です。特に、誤嚥防止のためにとろみ調整食品を利用する場合は、正しい飲み方や食べ方を指導し、安全な摂取をサポートしましょう。

ユニバーサルデザインフードの注意点

安全な食事のポイント

ユニバーサルデザインフードを利用する際には、以下の注意点に留意することが大切です。

  1. 医師や専門家の指導: 高齢者や介護対象者の食事に関する評価や選択は、医師や言語聴覚士など、嚥下リハビリテーションの専門家と協力して行うべきです。嚥下機能や栄養ニーズに合わせた食事プランを策定しましょう。
  2. 栄養バランス: ユニバーサルデザインフードを提供する際には、栄養バランスに留意することが大切です。単なる食事の満足感だけでなく、必要な栄養素を摂取できるように工夫しましょう。
  3. 保存と消費期限: ユニバーサルデザインフードは多くの場合、冷凍や冷蔵保存が必要です。パッケージに記載された消費期限を守り、適切な保存方法を実践しましょう。
  4. 食事体験の向上: 食事は楽しみの一部です。ユニバーサルデザインフードを提供する際には、食事の楽しみを提供しましょう。食卓の雰囲気やコミュニケーションを大切にすることで、食事体験を向上しましょう。
  5. 食事の適切なペース: 高齢者や介護対象者に食事を提供する際には、急がせずに適切なペースで進めることが大切です。ゆっくりと食べることができる環境を提供し、ストレスなく食事を楽しむようにしましょう。
  6. 食事の評価と調整: 高齢者や介護対象者の嚥下状態や食事の好みは変化することがあります。定期的な評価を行い、食事プランを調整しましょう。医師や専門家のアドバイスを受けながら、最適な食事形態を維持していきます。
  7. 安全な食事提供: 食事提供の際には、衛生的な状態を保ち、介護対象者の安全を確保することが不可欠です。手洗いや食材の取り扱いに注意し、食中毒や感染症のリスクを最小限に抑えましょう。
  8. コミュニケーションとサポート: 高齢者や介護対象者とのコミュニケーションは食事の満足度に影響を与えます。食事中に会話を楽しんだり、食事のサポートを提供したりすることで、食事体験をより良くすることができます。

これらの注意点を守りながら、ユニバーサルデザインフードを利用することで、高齢者や介護対象者の食事状態を改善し、安全かつ楽しい食事体験を提供できるでしょう。食事は生活の一部であり、その品質を向上させることは、生活の質を向上させる一環となります。

食事の楽しみを保つポイント

食事の見た目が食欲を促進し、口腔の活性化に寄与

食事の見た目は食欲を喚起し、高齢者や介護対象者にとって食事の楽しみを増加させます。特に、次のポイントに注意することが大切です。

  • 食事の盛り付け: 食事を美しく盛り付けることは、食欲を増進させる手段の一つです。新しいお皿やランチョンマットを使用するだけでも、気分が明るくなり、食事が楽しみに感じられます。
  • 色とバリエーション: 鮮やかな色合いや食材のバリエーションを活用することで、食事は魅力的に見え、食欲を引き立てます。野菜、果物、たんぱく質、炭水化物など、異なる食材を組み合わせてみましょう。
  • 食器の選択: 食事用の特別な食器やカトラリーを使用することで、食事がより楽しいものになります。プレートやグラスの形状、持ち手のデザインなど、介護に適した食器を検討しましょう。

スプーンを選ぶことも大事です。介護用スプーンの種類と選び方についてはこちらの記事に詳細を掲載していますのでご参照ください。

噛むことの重要性と脳の活性化への影響

噛むことは食事の重要な要素であり、脳への多くの利益をもたらします。以下は、噛むことの重要性と脳への影響に関するポイントです。

  • 噛むことの役割: 噛むことによって、食物が細かく砕かれ、唾液と混ざり合います。これにより、食物は適切な粘度に変化し、飲み込みやすくなります。
  • 脳の活性化: 噛むことは脳を刺激し、前頭前野と呼ばれる領域の活性化を促します。この領域は感情のコントロールやコミュニケーション能力に関与し、認知症やうつ病の予防に寄与します。
  • 噛むことの促進: 噛むことが難しい場合、柔らかい食材やとろみ調整食品を活用することで、噛む力をサポートしましょう。また、医師や専門家の指導のもとで、噛むことを改善するためのエクササイズを行うこともあります。

このように、食事の見た目と噛むことは、高齢者や介護対象者にとって食事の楽しみを保つ上で重要な要素です。食事体験を豊かにし、食事が生活の中で楽しみながら、栄養を摂取することが大切です。

認知症の方は食事をとりたがらなくなる場合も多く、食事の楽しみというのは非常に重要な要素です。

ユニバーサルデザインフードの選択と活用方法

食事の形態

食事の形態は、高齢者や介護を受ける方にとって非常に重要です。以下は、食事の形態について考慮すべきポイントです。

  • 嚥下機能に合った形態: 個々の嚥下機能に応じて、食事の形態を選択しましょう。噛むことや飲み込むことに不安がある場合、とろみ調整食品などの特別な形態を検討しましょう。
  • 栄養バランス: 食事の形態を選ぶ際には、栄養バランスを考慮しましょう。たんぱく質、炭水化物、野菜、果物など、必要な栄養素をバランスよく含む形態を選びます。
  • 味わいと楽しみ: 食事は楽しみの一つでもあります。介護食でも、味わいや食事の楽しみを保つことが大切です。個々の好みに合った料理や調味料を使いましょう。

食事の見た目

食事の見た目は、高齢者や介護対象者の食欲を喚起するために重要です。以下は、食事の見た目に注意するポイントです。

  • 盛り付けの美しさ: 食事を美しく盛り付けることは、食欲を高める手段の一つです。色合いや盛りつけ方に工夫を凝らしましょう。
  • 色とバリエーション: 鮮やかな色合いや食材のバリエーションを活用し、食事が魅力的に見えるように心がけましょう。野菜や果物、たんぱく質を組み合わせて、バランスの取れた見た目を作ります。
  • 食器の選択: 食器やカトラリーの選択も大切です。特別な食器やカトラリーを使うことで、食事がより楽しいものになります。

準備が簡単であること

介護食の準備は、高齢者や介護者にとって負担になることがあります。以下は、介護食の準備が簡単であることの重要性についてです。

  • 家庭内介護の負担軽減: 家庭内で介護食を提供する場合、準備が簡単であることは大きな利点です。短時間で調理できる食事形態を選びましょう。
  • 外部サービスとの組み合わせ: 介護施設や外部サービスを利用する場合でも、介護食の提供が簡単であれば、効率的に食事を提供できます。
  • 食事の多様性: 簡単に調理できる介護食でも、多様性を保つことが重要です。さまざまな食品メーカーの製品を組み合わせ、飽きることなく食事を楽しめるように心がけましょう。

このように、食事の形態、見た目、そして準備が簡単であることは、介護食を提供する際に考慮すべき重要な要素です。食事が楽しみで、栄養を摂取しやすい環境を整えることが、高齢者や介護対象者の健康と生活の質を向上させるのに役立ちます。

ユニバーサルデザインフードはどこで買える

ユニバーサルデザインフードはスーパーやドラッグストア、百貨店、介護用品のお店などの他、インターネットショッピングなどでも購入することができます。ひょっとしたらいつも買い物をしているお店にもあるかもしれません。ただ、スーパーやドラッグストアなどにあるユニバーサルデザインフードは種類が限られてしまうので、同じものを食べ続けていると飽きてしまうかと思います。インターネットで購入すると、さまざまなバリエーションの食品を選ぶことができます

おすすめの方法としては、まずはお近くのスーパーやドラッグストアなどで、どの区分の食事が食べやすいかを確認しましょう。できれば専門職の方に食形態・区分が合っているか確認してもらってから、ネットショッピングで区分の食品を選んで購入する、というのがいいですね!

また、配食サービスを併用することもおすすめです。夕食は配食サービスで、昼食はレトルトのユニバーサルデザインフードを食べるなど、変化をつけるのもいいかもしれません。配食サービスの業者としても、「普段はユニバーサルデザインフードの区分はいくつの食事を食べています」と言ってもらえれば、どのくらいの食形態にするといいのか、判断材料になります。

かむ力・飲み込む力が衰えても、食事は大きな楽しみです。自分の食べる力に応じて適切な食品を選択することが大切です。ユニバーサルデザインフードはそんな食事の楽しさを守る大きな助けになるでしょう。

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参考資料

いえケアロゴ

この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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