いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
ユーザーの方から届いた質問に介決サポーターがお答えします。
今回も介護に悩む方からのお悩みが届いています。今回の相談は、ケアマネジャーとの関係に悩んでいる女性介護者からのお悩みです。まずは相談内容から紹介します。
【この記事を読んでほしい人】
- 今の担当ケアマネに不満がある人
- 担当ケアマネを変更したい人
- 施設入所や小規模多機能の利用予定があり、今後のケアマネが誰になるか知りたい人
【この記事に書いてあること】
- ケアマネジャーを変更することはできる
- 自分でケアマネジャーを探すこともできる
- 特別養護老人ホーム入所や小規模多機能利用など、ケアマネジャーが変更になるパターン
質問「ケアマネジャーって変えることできないの?」
(質問内容)
現在、要介護3の母と同居している50代、女性です。母と二人暮らしをしております。平日は私も仕事をしており、平日の日中は毎日デイサービスを利用しています。トイレや食事は自分でもできますが、認知症があり、誰かの目がないと心配なので、費用負担は大きいですが、毎日デイサービスを利用しています。デイサービスの皆さんには本当によくしていただいていて、本当に感謝しています。
ただ、困ったのがケアマネジャーさんです。日中は仕事をしているので、こちらも電話をなかなか出ることができず、ケアマネジャーさんと連絡が取りにくくて困っています。ケアマネジャーさんの事業所の方に伝言をお願いしているのですが、折り返しの連絡もありません。
メールやラインなどで連絡ができればすぐに話がつくような用件でも、なかなか連絡ができず、困っています。
ケアマネジャーさんの訪問があるため、月一回は平日お休みをとるようにしていますが、あいさつをするやいなや書類に印鑑を押して帰っていってしまいます。フルタイムで働いているので都合をつけてわざわざ休みを取っているのですが、何のためにこんなことをしているんだろうと思っています。
相談しても、上から目線で物を言われるので、相談をしようという気もなくなってしまいます。
そこで、相談なのですが、ケアマネジャーを変更することはできないのでしょうか。土日や祝日でも対応してくれるケアマネジャーさんもいると聞いたことがあります。どのように手続きをしたらいいのでしょうか。
また、今行っているデイサービスはできれば引き続き利用したいのですが、ケアマネジャーを変更したら同じデイサービスには行けなくなるのでしょうか。
―――という質問でした。
では、在宅介護の強い味方「介決サポーター」からのアドバイスをお願いします。
介決サポーターがお答えします!
ご相談ありがとうございます。
ご相談を整理すると、以下の3点がポイントとなっています。
では、ご相談者の質問に回答していきたいと思います。
結論:ケアマネジャーを変更することはできる
最初に結論からお伝えすると、ケアマネジャーを変更することはできます。
なぜかというと、介護保険制度は公的な制度ですが、ケアマネジャーとの関係は利用者と事業者(ケアマネジャー事業所を運営する法人)との契約によるものだからです。契約関係なので、合意のもとで契約を解除することは可能です。
「ケアマネジャーは変更できないから、納得いかないけれど仕方がない」と勘違いし、ケアマネジャー変更をあきらめている方も多いようです。ケアマネジャーは変更することができるので、ケアマネジャーとの関係で我慢をする必要はありません。サービス内容に不満がある場合はケアマネジャー事業所(指定居宅介護支援事業所)の変更を考えましょう。
ケアマネジャーと最初に契約をする際に、契約書を交わしているかと思いますが、まずはその契約内容を確認しましょう。利用者は契約終了の意思を示すことで、ケアマネジャー事業者との契約を終了することができます。
介護保険制度でのサービス利用は契約関係によって成り立っており、訪問介護やデイサービス、介護保険施設への入所なども契約によって双方の合意が必要です。いったん契約書にサインをしたからといって、その契約から逃れることができないというわけではありません。
つまり、ケアマネジャーとの契約関係も利用者側の意思があれば終了することができ、別の事業所のケアマネジャーに担当を変更することができるのです。
では、具体的にケアマネジャーを変更するための方法についてこれから紹介していきます。
同一事業所内でケアマネジャーを変更する
ケアマネジャーを変更する方法の一つとして、ケアマネジャーの事業所に複数のケアマネジャーが在籍している場合は、同一事業所内でケアマネジャーを変更することも可能です。
ケアマネジメント契約は、担当ケアマネジャー個人との契約ではなく、ケアマネジャー事業所を運営する法人との契約です。ケアマネジャー事業所の運営を行うのは株式会社などの営利法人や社会福祉法人、NPO法人などです。いずれにしても個人ではなく法人との間の契約なので、事業所内で担当するケアマネジャーを変更するということも可能です。
ケアマネジャー個人の資質に問題があると思われる場合は、担当ケアマネジャーを変更することで問題が解決する場合があります。「ケアマネジャーとの連絡が取りにくい」という課題を持っていた場合でも、まめに連絡をくれる方、メールやチャットツールなどを通して連絡してくれる方など、ケアマネジャーが変わることで状況が好転することは珍しくありません。同じ事務所のケアマネジャーでも、経験や能力もひとそれぞれです。
ケアマネジャー事業所の管理者に相談することで担当ケアマネジャーを変更することができます。担当者の変更だけであれば、別の事業所と契約を取り直す必要もありませんし、引継ぎも事業所内で行われるためスムーズに行われます。
このように、同一事業所内で担当するケアマネジャーが交代することで、労力をかけずに担当ケアマネジャーを変更することができます。
ただ、ケアマネジャーの担当者を変更するだけではなく、事業所そのものを変更したい場合もあると思います。担当交代をさせられた前任担当者による影響が心配だったり、事務所に電話をしたときに前任担当者が電話に出ること自体が嫌だと感じる場合は、事業所自体を変更した方がいいでしょう。また、土日対応ができる事業所に変更したい、など根本的に事業所を変更したいという場合もあると思います。
このような場合はケアマネジャーの事業所を変更し、別のケアマネジャー事業所と契約することをおすすめしたいと思います。
では、ケアマネジャーの事業所を変更するにはどうしたらいいか、どのようにケアマネジャー事業所を探せばいいのか、次の章でその方法を紹介します。
ケアマネジャー事業所を変更する方法は
ここからはケアマネジャー事業所を変更する方法・手順について具体的に解説します。
ケアマネジャー事業所を変更する方法は主に2つです。
では、ケアマネジャー事業所を変更する方法、ひとつずつ解説していきます。
自分で探す
ひとつ目の方法は自分でケアマネジャー事業所を探すことです。
自分で情報を検索、事業所を探し、直接相談することができます。
インターネットで情報を検索することも可能です。ホームページを持っているケアマネジャー事業所も多くあります。住所地と一緒に「ケアマネジャー」「居宅介護支援事業所」などのキーワードを入れると比較的簡単に検索することができます。
このサイト「いえケア」でもケアマネージャー事業所を検索することもできます。
このシステムを使って、以下のような要望がある場合も登録情報から希望にマッチする事業所を選ぶことができます。
また、この検索ページでは、
- 所属するケアマネジャーの性別や経験年数、基礎資格
- 研修の実施状況
- 利用者受け入れ可能人数
なども公表されていますので、事業所選びの参考になります。
自分で事業所を探したいという方は参考に活用してみてはいかがでしょうか。
ケアマネジャー事業所の変更方法、自分でケアマネジャー事業所を探すことについて解説しました。
地域包括支援センターに相談する
もうひとつの方法は、「地域包括支援センターに相談する」です。
自分でケアマネジャー事業所を探すことができない人や、他の人の意見を参考にしながら探したい、今のケアマネジャーに事業所を変更すると申し出をしにくい、という人は地域包括支援センターに相談することをお勧めします。
地域包括支援センターは全国に設置されている介護福祉に関する相談機関です。施設を運営するのは民間の社会福祉法人や営利法人などが中心ですが、いずれも市町村が設置し、委託事業として市町村の業務を行っています。介護保険認定の申請や介護保険事業所の後方支援事業、介護予防のための教室開催、総合的な介護の相談事業などを行っています。
地域包括支援センターでは地域のケアマネジャー事業所の紹介も行っています。地域包括支援センターには地域のケアマネジャーを対象にした研修や地域課題解決のための会議をケアマネジャーと開催するなど、ケアマネジャーとのネットワークを持っています。各事業所の特色や、ケアマネジャーの特徴など、様々な情報を持っています。
介護認定を受けた要介護者と家族にケアマネジャーを紹介するなど、介護者とケアマネジャーのマッチングを行うのも地域包括支援センターの業務のひとつです。
地域包括支援センターに「ケアマネジャー事業所を変更したい」と相談すると、地域包括支援センターから現在担当しているケアマネジャー事業所に事業所変更の意向を伝えるとともに、他のケアマネジャー事業所を紹介してもらうこともできます。
現在の事業所から今後担当する事業所への情報の引継ぎなども地域包括支援センターを介して行うこともできますので、ストレスなくケアマネジャーを変更することができます。
地域包括支援センターにケアマネジャー事業所の紹介をお願いする際には、ケアマネジャーにどのような役割を求めているのか、どのような人に担当してほしいのかなど、できるだけ具体的に要望や条件を伝えることをお勧めします。
地域包括支援センターについてはこちらの記事でも紹介していますのでご参照ください。
ケアマネジャー事業所を変更するふたつ目の方法「地域包括支援センターに相談する」を解説しました。
いいケアマネを紹介してほしいんだけど・・・は困る
自分も地域包括支援センターで勤務してきた経験から言うのですが、
いいケアマネさんを紹介してください
これが一番困ってしまうんです。
今担当しているケアマネさんとの関係で、具体的にどんなところに問題があって、ケアマネを変更してほしいという要望に至ったのかを明確にすることが大事です。
いいケアマネという定義は大変難しいです。
美しいケアプランを作れる人か、利用者や家族の心情を察することがうまい人か、スピード感を持って対応ができる人か、制度に詳しい人か、地域の社会資源に詳しい人か、医療知識に詳しい人か、地域で権威のある人か、時間をかけて話をよく聞いてくれる人か、ケアマネジャーの仕事以外のことでもボランティアで何でも迷いなくやってくれる人か(これは本当はダメですが)。
どんなケアマネジャーをいいケアマネジャーと呼ぶかは100人いたら100通りあります。人によって感じ方も大きく異なります。なので、いいケアマネジャーではなく、どんなケアマネジャーにお願いしたいか、具体的に希望を伝えることがいいと思います。もちろん、希望する条件に合致する方が必ずしも担当を受けられる状況とは限りませんが、ケアマネを探す上での重要な方向性になります。
ぜひ、どんなケアマネで困ったので、こんなケアマネさんにお願いしたい。という希望は伝えられるようにしましょう。
ケアマネジャーの変更に関する疑問
ケアマネジャーの変更に関して、注意すべきポイントを5つ、以下にまとめています。
ケアマネジャーを変更したら今のサービスは続けることができない?
「ケアマネジャーを変更したいけれど、今のサービスは続けてほしい」という場合も問題ありません。希望を伝えれば新しいケアマネジャーが現在利用しているサービス事業所と連携を取り、今まで通りのサービス利用ができるように調整してくれます。
前担当ケアマネジャー事業所と同一法人が運営しているデイサービスや訪問介護サービス事業所のサービスも特に制限されることなく利用が可能です。
ただし、注意しなければいけないのは、サービスにケアマネジャーがセットになっている場合です。例えば、小規模多機能型居宅介護や、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、グループホームなどのサービスは、事業所内のケアマネジャーがプランを作成することが決められています。これらのサービスを利用している場合は、ケアマネジャーを変更することができないと覚えておきましょう。
- Qケアマネが変わったらケアプランは変更するの?
- A
ケアマネが変わったら基本的にはケアプランも変わります。事業者(法人)が変われば担当者会議をして改めてケアプランの確認・同意をすることが必要です。でも、新しいケアマネも「はじめまして」からスタートするのでいきなりプランを作るといっても十分な情報もないので、ケアプランの内容自体を大きく変えないパターンが多いです。
いつでもケアマネジャーを変更できるの?
ケアマネジャーは一か月単位で利用者のサービス利用状況を行政に報告しています。これを給付管理と言います。これによって、毎月の介護保険サービスを利用する際に介護保険給付を受けることができます(自己負担割合により1割・2割もしくは3割の自己負担が発生します)。
月途中でケアマネジャー事業所を変更すると、途中から契約したケアマネジャーが担当していない時期のサービスの利用状況なども確認しなければいけないため、この給付管理という業務に支障が出る恐れがあります。
このため、ケアマネジャーを変更する場合は月替わりのタイミングに行うことが一般的です。
要支援の人もケアマネジャーを変更できる?
実は要支援の方がケアマネジャーを変更することは非常に難しいです。要支援の方のケアプランを担当するのは、原則としては地域のケアマネジャー事業所ではなく、地域包括支援センターです。地域包括支援センターは担当地域が定められているため、別の地域の地域包括支援センターに担当をお願いすることはできません。
ただ、地域包括支援センターが直接担当するのではなく、委託という形で地域のケアマネジャーに担当ケアマネジャーをお願いするというケースもあります。この場合は事業所を変更することもできますので、変更希望の場合は地域包括支援センターに相談しましょう。
施設に入所したらケアマネジャーはどうなるの?
施設に入所した場合は基本的にはケアマネジャーは変更となります。なぜかというと、施設には施設のケアマネジャーがいるからです。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・介護付き有料老人ホームなどには施設のケアマネジャーが配置されていますので、その方が担当します。
ケアマネジャー同士が情報引き継ぎを行い、スムーズに生活の移行ができるように調整します。
ただし、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に関しては居宅介護支援事業所が併設されていない場合もあります。入居後も介護保険サービスを利用しながら生活する場合は、ケアマネジャーが必要です。引き続き現在のケアマネジャーが担当し、新しい住まいでのケアプラン作成をする場合もあります。ただ、入居先の施設が遠方の場合などは、現在契約しているケアマネジャーが担当エリア外で対応できない場合などもあります。
詳細は入居先施設ごとにも異なりますので、担当ケアマネジャーや入所予定の施設の相談員に確認することをお勧めします。
小規模多機能に変更した場合はどうなるの?
在宅サービスでも、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護と契約する場合は、ケアマネジャーの変更が必要になります。なぜかというと、小規模多機能居宅介護事業所にはケアマネジャーが配置されており、事業所内のケアマネジャーがケアプランを作成します。そのため、外部のケアマネジャーとの契約は、小規模多機能居宅介護との契約期間開始の前日に終了することになります。
小規模多機能型居宅介護についてはこちらの記事に詳細を記載しております。
契約しているケアマネ事業所から急にケアマネを変更された
利用者側からケアマネを変更を希望することもできますが、事業所側から担当ケアマネを変更すると言われることもあります。できれば同じケアマネに担当してもらいたいのに、急に担当ケアマネ変更と言われても、変更された側としては納得できない部分もありますよね。
あくまで利用者と事業所との間の契約出逢って、利用者とケアマネ個人の契約ではありません。誰が担当ケアマネになるかは事業所側で変更することができます。もちろん「変更してほしくない」「担当を変えないでほしい」と希望を言うことはできますが、最終的な判断としては契約している事業所側に委ねられる部分がありますし、おそらくそのような契約内容になっているかと思います。
もちろん引き継ぎなどは行われていると思います。あまり長い期間同じケアマネが担当するよりも、また違った視点からアセスメントをすることによって今まで見えなかった課題などに気が付くこともありますので、悪いことばかりではありません。ケアマネが退職する場合などもありますので、個人に依存しない考え方の方が長期的な視点で見ればいいことも多いです。
まとめ
「ケアマネジャーを変更したい」と考えている人は、我慢するのではなく、ケアマネジャーの変更のために具体的に行動することをお勧めします。
ケアマネジャーは在宅介護のカギを握る司令塔です。これが機能しないと、介護者のストレスだけでなく、必要なケアが充足されず、チームでの介護が機能不全になる可能性があります。
ケアマネジャー選びは在宅介護の成否を握っていますので、慎重に行いましょう。別の記事で事業所の選び方を紹介していますので、こちらの記事もご参照ください。
ただ、現状ケアマネジャーが不足している地域も多く、希望がすべて満たしたケアマネが見つかるとは限りません。優先順位などを考え、まずは地域包括支援センター等とよく相談することをお勧めします。
ケアマネが定期訪問をしていないので心配と感じている方はこちらの記事も併せてご参照ください。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
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