要支援の認定だと介護ベッドのレンタルができない?例外給付・自費レンタル・購入の方法と必要な費用

要支援だとベッドを借りれないって本当? 介護のことはじめ
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

介護をしている方のお悩みや疑問にお答えします。

要支援の認定でも、起き上がりや立ち上がりといった動作を大変だと感じる方も多いです。筋力の低下や手足の痺れ、体の動かしにくさなどにより、昔のようにスムーズにベッドから起き上がることができないと感じる方も多いと思います。また、布団で寝ている方は、立ち上がることが大変になってくることがあります。

そんな時に、介護用ベッドがあれば動作の負担は大幅に軽減されます。少し背上げがされているだけでも体は起こしやすくなり、適切な高さに設定することでベッドから立ち上がる動作も楽になります。

でも、要支援1・2または要介護1の認定では介護用の電動ベッドは介護保険で利用できない。そんな話を聞いたことはないですか?

本記事では要支援や要介護1の認定の方が介護用ベッドを借りれるか、その方法や解決策などを解説します。

【この記事をお勧めしたい人】

  • 要支援や要介護1の認定で介護用ベッドのレンタルを希望されている方
  • ケアマネジャーや地域包括支援センターのみなさま

【この記事でお伝えしていること】

  • 要支援1・要支援2・要介護1の方が介護用ベッドをレンタルする方法
  • 軽度者例外給付申請の方法について
  • 自費レンタルベッドの注意点

今回のお悩みは介護用ベッドのレンタル利用についてです。質問をご紹介します。

質問「要支援の認定だとベッドを借りることができないって本当なの?」

介護用ベッド

(質問内容)

いま実の父の介護をしている者です。

父はもともと膝や腰に痛みがあり、筋力も弱って最近は布団からなかなか起き上がることができません。調子の悪い日には私が手を引いて立ち上がらせている状況です。

先日、介護認定を受けましたが、結果は要支援2というものでした。地域包括支援センターに相談し、近所のケアマネジャーさんに担当していただくこととなりました。

布団からの起き上がりや立ち上がりができないので、介護用のベッドを借りたいとお話ししたのですが、「要支援では介護保険でベッドのレンタルができない」と言われてしまいました。

認定の結果でレンタルできない商品があるというのですが、本当なのでしょうか。

知り合いの方が要支援1でもベッドをレンタルしていると聞いたので、そんなことはないと思うのですが、詳しく聞けなくてモヤモヤしています。

要支援の方がベッドをレンタルできないというのは本当なのでしょうか。意地悪をされているんじゃないかと心配になります。

また、このまま寝たきりになってしまうのは困るので、一人で布団から出れるようにしてほしいのですが、解決策を教えてほしいです。

―――という方からの質問でした。

では、在宅介護の強い味方「介決サポーター」からのアドバイスをお願いします。

介決サポーターがお答えします!

ご相談ありがとうございます。

認定が「要支援2」だったことを理由に「介護保険ではベッドを借りることができない」と言われた、ということですね。このまま一人で起き上がれなくなることも心配されていらっしゃるんですね。手を引いて起き上がりの手伝いをしていらっしゃるということなので、本当に大変だと思いますし、今後もこの生活を続けることに不安もありますね。

では、この質問にお答えし、相談者様の不安を解消のお手伝いができればと思います。

軽度認定者(要支援1・2と要介護1)は介護保険で介護ベッドのレンタルができない

先に結論をお伝えすると、「原則として」介護保険認定の「要支援1・要支援2・要介護1」の軽度者に該当する介護区分の方は介護ベッドのレンタルができないことになっています。

これは介護保険制度導入当初、要支援や要介護1という軽度認定者による介護ベッドレンタル利用が非常に多く、本来は必要のない状態での利用が多いという批判が多かったことが影響しています。

安易な介護用ベッドのレンタル利用により、利用者自身の自立の妨げや廃用につながっているのではないかという指摘もありました。それ以上に、膨らみ続ける介護給付費を抑制するために、介護用ベッドの利用制限を設けました。そして、平成18年の介護報酬改定を機に、このような制度変更が行われました。

平成18年度介護報酬等の改定について -概要-

要支援者(要支援1・要支援2)及び要介護1の者に対する福祉用具の貸与については、要支援者の自立支援に十分な効果を上げる観点から、現行の「福祉用具の選定の判断基準」を踏まえつつ、その状態像から見て利用が想定しにくい次の品目については、一定の例外となる者(※)を除き保険給付の対象としないこととする。
(既に福祉用具貸与を受けている利用者に対しては、平成18年4月1日から6月間の経過措置を置く。)

特殊寝台(付属品を含む) ・車いす(付属品を含む) ・床ずれ防止用具及び体位変換器 ・認知症老人徘徊感知器 ・移動用リフト

※例外となる者の範囲については別に告示で定める。
〈特殊寝台の場合〉 次のいずれかに該当する者 ・日常的に起きあがりが困難な者 ・日常的に寝返りが困難な者 (注)「起きあがり」「寝返り」等の判断については、要介護認定データを活用して客観的に判断。

このようにして、介護用ベッドのレンタル利用は要介護2以上(要介護2・3・4・5)の認定を受けている方に限定されることとなりました。要支援1・2もしくは要介護1の認定者が介護用ベッドのレンタル利用をするには、原則として介護保険の給付が受けられないため、全額自己負担での利用となります

福祉用具の利用について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

今回のご質問で、相談者様の担当ケアマネジャーがおっしゃっていたことは決して間違っているわけではありません。

では、要支援2でレンタルができないのに、どうして要支援1の認定でも介護ベッドのレンタルをしている人がいるのでしょうか。

その理由と解決策を次の章から解説していきます。

要支援の人が介護用ベッドをレンタルする方法

軽度認定者は介護保険でのベッドレンタル利用が「原則」できないことをお伝えしました。

では実際、介護用ベッドをレンタルしている人はどのような方法を使っているのでしょうか。

2つの方法があります。

  • 例外給付でレンタル利用する
  • 自費でベッドレンタルをする

要支援でも介護ベッドを利用する方法

具体的に一つずつ解説します。

例外給付でベッドをレンタルする(介護保険適用)

ひとつ目の方法は「例外給付」と呼ばれる手続きを行うというものです。

先ほどから軽度者が介護保険ではベッドのレンタルができないことをお伝えしましたが、あくまで「原則としてはレンタルができない」というものです。ということは、例外もあるということになります。

それが「例外給付」というものです。詳細は厚生労働省が配布しているこちらの資料をご参照ください。

要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について:厚生労働省

要支援・要介護1の者(軽度者)に対する以下の種目については、介護保険給付は原則対象外。ただし、厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者については、要介護認定における基本調査結果等に基づく判断があった場合や、または、市町村が医師の所見・ケアマネジメントの判断等を書面等で確認の上、要否を判断した場合には、例外的に給付が可能。

<軽度者が原則給付対象外となる福祉用具>
・車いす(付属品含む)・特殊寝台(付属品含む)・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト(つり具の部分を除く。)・自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するものは除く)
(※)自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するものは除く)については、要介護2及び要介護3の者も、原則給付の対象外。

介護保険での認定が要支援や要介護1であっても、介護用ベッドがどうしても必要な理由がある、このような例外的な状況であれば、市町村に手続きをすることで介護用ベッドのレンタルを利用することが可能になります。

例えば、以下のような状況が考えられます。

  • 気道の閉塞がありベッドをギャッジアップで上半身を挙上していないと呼吸状態が悪化するため介護用ベッドのリクライニング機能が必要
  • 状態が変動しやすく日内変動があり、頭部を挙上していないと起き上がれない状況が頻繁にあるため、介護用ベッドで頭部を挙上する必要がある
  • 起き上がる際にめまいがあるため、ギャッジアップ機能を使ってゆっくり頭部を挙上しないと起き上がれない

ただ単に「ベッドの方が立ち上がりやすいから」「ベッドの方が楽だから」ではなく、特殊寝台による頭部を挙上する機能が必要でなければいけません。明確な根拠がなければ例外として認められません。

「電動リクライニング機能があったら便利だから」や「あった方が動きやすい」といった理由では認められず、「電動機能が必要」という根拠が必要になります。

電動機能も、高さ調整ではなく、背上げの機能が必要かどうかが大きな判断材料となります。具体的には、ベッドに横になった状態から体を起こす「起き上がり」と、横になった状態から体の向きを変える「寝返り」のどちらかで、電動機能がないと困難であるという場合が当てはまります。または、フラットな状態で横になっていると横隔膜の機能が十分に機能せず呼吸に支障が出る場合などは背上げ機能の必要性が認められます。

ケアマネジャーに相談し、例外給付に該当する可能性があるかを確認しましょう。手続き方法については各市町村で取り扱いが異なります。状況によっては主治医への確認や主治医の診断書が必要になる場合もあります。また、福祉用具貸与事業者やケアマネジャーも含めた担当者会議でその必要性を確認しなければいけないなど、細かいルールが設定されています。一般的には以下のようなフローとなります。

  1. 特殊寝台が必要という主治医の意見を聴取する(主治医意見書や主治医からの意見聴取など)
  2. サービス担当者会議にて特殊寝台の必要性を専門職間で確認
  3. ケアマネジャーが市区町村の役所に例外給付の確認申請を行う
  4. ケアマネジャーのもとに市区町村より例外給付の確認通知が届く
  5. 介護保険でのレンタル利用を開始する・福祉用具貸与事業所が福祉用具サービス計画を作成する
  6. 福祉用具貸与事業所が安全に利用できているか、定期的にモニタリングを行う
横浜市例外給付確認依頼

※横浜市の例外給付確認依頼の記載例

主治医からの意見聴取について

ここで利用に関して最も大きなハードルになるのが主治医からの意見聴取です。市町村によってルールは異なります。明確なルールが文書化されている横浜市を例に具体的に主治医からの意見聴取方法を紹介します。

Q
必ず医師への意見照会が必要ですか?
A

横浜市では認定調査の内容で以下の状態に当てはまる場合は意見照会不要で介護保険でのレンタルを例外給付として認めています。

次のいずれかに該当する者

  1. 日常的に起きあがりが困難な者(基本調査1-4)が「3.できない」
  2. 日常的に寝返りが困難な者(基本調査1-3)が「3.できない」

以上のどちらかに該当すれば、医師への照会・確認不要で例外給付の介護ベッド利用が可能です。

Q
医師への意見照会はどのようなやり方がありますか?
A

医師への意見照会の方法は、①診断書、②聞き取り、③主治医意見書による方法があります。※横浜市は直接聞き取りを推奨しています。

  1. 診断書:医療機関で発行する診断書に必要性を記載してもらいます。診断書発行には利用者の費用負担が伴います。
  2. 聞き取り:原則、利用者の診察に同行し、必要性を確認する。医師から要望があった場合は、電話、FAX(電話回答)、電子メールによる方法も可能。
  3. 主事意見書:介護保険の認定時の主治医意見書。特記事項欄に特殊寝台の必要性を認める記述があるか。

以上のように、主治医から介護用ベッドの必要性を確認できれば、要支援や要介護1・2の認定でも介護保険の対象になる場合があります。

Q
要支援1・要支援2の場合と、要介護1の場合。手続きの方法は異なりますか?
A

基本的には要支援1・要支援2でも、要介護1でも手続きの方法は変わりません。

ただ、要支援の場合は、地域包括支援センターが担当になる場合もあれば、地域包括支援センターから委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当になる場合もあります。

委託で担当する場合は、どちらが医師からの意見を聴取するのかという点に注意が必要です。例えば、地域包括支援センターの職員が医師からの意見を聴取しており、その後ケアマネジャーに委託する場合は、地域包括支援センターの職員と居宅介護支援事業所のケアマネジャーが連名で例外給付の確認通知を市町村に申請する場合などがあります。

市町村のルールに従い、適切な方法で手続きをすることが必要です。

Q
要支援認定から区分変更。包括職員とケアマネ、どちらが意見聴取する?
A

要支援の利用者が例外給付で介護ベッドをレンタルしている場合です。状態が悪化し、区分変更の申請をすることになったケース。要介護になった場合に担当するケアマネジャーは決まり、すでに契約済み。この場合、どちらが意見聴取をするのが正しいか。

もちろん要介護認定で要介護2以上になれば例外給付の手続き自体が必要なくなりますが、要介護になったとしても要介護1であれば例外給付の申請が必要ですし、区分変更の申請をした時点からさかのぼって要介護1の認定が適用されます。

原則的には区分変更の申請を出した時点で例外給付の手続きをと言いたいところですが、要介護2以上は絶対に出そうなケースまで例外給付のための意見聴取をするかと言うとこれも大変ですよね。これは市町村ごとの判断によると思いますが、話の分かる市町村は軽度者認定であることを確認次第速やかに例外給付の申請をするようにというルールを設定しています。いずれにしても、包括職員・ケアマネの連名で申請することがおすすめです。

要支援や要介護認定の場合は「原則として」介護保険のベッドレンタルは利用できませんが、必要性が認められる例外的な状況であれば介護保険のベッドレンタルが可能です。

例外給付の手続きをして介護保険で介護用ベッドをレンタルする方法を紹介しました。

では、例外的な状況ではない場合はどうしたらいいのでしょうか。

もうひとつの方法を次の章で解説します。

自費でベッド(保険適用外)をレンタルする

もうひとつの方法は自費で介護用ベッドをレンタルするというものです。

介護保険であれば1割~3割の金額でレンタルができるのですが、自費となると10割負担。となると、ベッド本体だけでも一か月あたり1万円以上・・・。

利用者家族
利用者家族

そんな金額、毎月払えない!

介護用ベッドを設置する福祉用具専門相談員

そんな声も聞こえてきそうですが、そんなに大きな金額を支払う必要はありません。

福祉用具事業者の多くは、介護保険の経度認定者を対象にした自費レンタルベッドを保有しています。最新モデルではないものや、現在の安全基準に合致していないものなど、介護保険レンタル対象にしていない介護用ベッドの在庫などを抱えているのです。このようなベッドを経度認定者向けに保険対象外商品として割安にレンタルをしている場合があります。介護用ベッド本体とマットレスとベッド柵などのセットでも3,000円以下で提供している場合が多いです(もっと安い金額を提示するなど価格競争になっている地域もあります)。

ケアマネジャーさんや地域包括支援センター職員に相談し、軽度者向けの自費ベッドをレンタルしている事業者さんを紹介してもらうといいでしょう。

自費ベッドの利用条件に注意

介護用ベッドで体を起こす高齢者と見守る看護師

ただし、福祉用具事業者によっては利用条件などがあります。要介護2以上の認定が出たら介護保険用のベッドに切り替えて契約をしなければいけないなどの条件が付いている場合もありますので、契約時にはよく確認しましょう。

また、軽度者向けのベッドレンタルでは商品を選択することができない場合が多いです。マットレスの変更ができないことや、ベッドサイドテーブルなどの付属品がレンタルできないなど、制限も多く、必要な機能を満たすことができない場合もあります。

介護保険での例外給付と、自費ベッドレンタルという2つの方法を紹介しました。

それ以外に、実費で介護用ベッドを購入するという選択肢もないわけではありません。ただし、購入してしまうと、身体状況に応じて商品の変更ができないことや定期メンテナンスが受けられない、廃棄をする場合にもコストがかかることなど、デメリットも多くありますので注意しましょう。

介護用ベッドをレンタル利用する方法を2つ紹介しました。2つの方法のメリット・デメリットを紹介します。

メリットデメリット
介護保険での例外給付マットレスや介助バーなどの付属品も選択できる。手続きに手間と時間がかかる。
場合によっては主治医の診断書発行費用が必要になる場合もあり。
自費レンタル手続きなしですぐに利用ができる。
ケアマネジャーがいなくてもいい。
マットレスや介助バーなどの付属品の選択ができない。
利用できる商品が限定される

自費ベッドレンタルについての疑問

自費ベッドレンタルについての疑問・質問にお答えします。

レンタルする商品は選べますか?

業者によって商品は異なります。基本的には商品を選べないことが多いです。

最新の機種ではなく、以前のモデルを利用することになります。ただ、古いモデルといっても、一般的には病院等で現役で使われているモデルよりも新しいモデルであることが多く、基本的な機能自体は大きく変わりません。

レンタル利用する商品で注意した方がいいのがモーター数です。介護ベッドの料金で最も大きく差がつくのが電動モーターの数です。電動モーターでどの機能をサポートしているのかをよく確認しましょう。

  • 1モーター
    電動モーターが1つ搭載されているベッドです。1モーターベッドの中には、背中を上げる機能をサポートしているものと、ベッド全体の高さ変更をサポートしているものがあります。
    背中を上げる機能があれば、ベッドから体を起こしやすくなります。高さ調整できるベッドは、ベッドへの移動やベッドからの立ち上がりなどの動作が楽になります。高さを調整することで、介助する側が腰の負担を軽くでき、腰痛予防につながります。どちらの機能をサポートしているかをよく確認しましょう。
  • 2モーター
    2モーターベッドは基本的には背上げ機能と高さ調整機能をサポートしています。起き上がりや立ち上がりという動作の部分で利用者の負担が軽減されます。自費ベッドで多く使用されているのはこの2モーターのタイプが多いです。3モーターよりもレンタル価格が安いのも大きなメリットです
  • 3モーター
    モーターが3種類。背上げ機能・高さ調整機能に加えて、足上げのためのモーターがついています。足上げ機能がついていることで、長時間ベッドで過ごす方は、足のむくみが起きやすくなります。足上げ機能で足の高さを上げることにより、むくみを改善することができます。また、足を上げることで背上げによる背中のずり落ちを防止することができます。
    高機能の機種では、この3つのモーターが全自動で連動し、適切なポジショニングを実現する機能がついている場合もあります。

モーターによる違いを比較します。

1モーター2モーター3モーター
機能背上げか高さ調整のどちらか背上げ
高さ調整
背上げ
高さ調整
足上げ
対象者立ち上がりや起き上がりのいずれかが困難な方立ち上がりと起き上がりのどちらも困難な方ベッド上で寝ている時間が多い方
費用安い普通高い
自費レンタル△業者により対応あり

どの機能が必要かをよく判断しましょう。

2割負担・3割負担の場合は料金が変わりますか?

自己負担割合に応じて料金を設定している業者もあります。例えば、1割負担の方は1000円、2割負担の方は2000円というように金額設定しています。

もし、自己負担割合を問わず「一律1000円」に設定していると、介護保険でレンタルするよりも自費レンタルにした方が安くなってしまう場合もあるからです。業者によっては、自己負担割合に関係なく一律の金額にしている場合もありますが、その場合、要介護2以上になったら自費レンタルができないという条件で契約していることが多いです。

自己負担割合が異なることで料金が異なることは厳密に言えば二重価格の問題もあります。ただ、これは業者によって異なりますので、よく説明を確認しましょう。

自費ベッドレンタルをしているが、褥瘡予防マットレスは使えるか?

床ずれ(褥瘡=じょくそう)ができてしまった場合、要支援や要介護1の方はエアマットなどの褥瘡予防用のマットレスを利用することができません。もし褥瘡予防のマットレスをレンタルで利用する場合は、介護保険の認定を見直してもらうか、例外給付の申請をすることによって、介護保険でレンタルすることをお勧めします。

介護保険の認定見直し=区分変更申請についてはこちらに記載していますのでご参照ください。

自費ベッドにケアプランは必要なの?

高齢者女性が介護用ベッドから起きて孫と向かい合う

自費ベッドをレンタルするのにケアプランは必要ありません。自費レンタルは介護保険サービスではないため、給付管理(介護保険の点数計算)も発生しないためです。ケアプラン作成の必要はないため、担当のケアマネジャーがいなくても利用ができます。

現状、要支援の方はケアマネジャーや地域包括支援センターの人手不足のため、担当が決まるまで時間がかかることも多いです。相談を受けた地域包括支援センターから、「とりあえず自費ベッドのレンタル」という場合も少なくありません(ただし、要介護2以上の認定が出た場合は、レンタル開始した日にさかのぼって介護保険でのレンタルが必要になります)。

ケアマネ不足の問題についてはこちらの記事に詳細を記載しております。

自費レンタルベッドの価格は?

自費レンタルベッドの価格は業者によって異なります。介護保険のレンタル価格は商品ごとに基準価格が定められ、一定の範囲内でしか価格の設定ができない仕組みです。ただ、自費レンタルベッドは業者が自由に価格を設定しています。

ベッドとマットレス・サイドレールをセットでレンタルしている場合が多いです。また、サイドレールでは立ち上がりの動作などが不安定なため、介護保険対象の手すりレンタルと抱き合わせのセットレンタルを行う業者もあります。

例)介護保険レンタル手すりと自費レンタルベッドの例

  • 自費ベッド(2モーター)+マットレス+サイドレール =1,000円/月
  • 介護保険置き型手すりレンタル=4,000円(1割負担であれば自己負担400円)

自費レンタルの金額を安く設定する代わりに、保険商品と抱き合わせるケースです。ベッドの価格と手すりの金額の逆転現象が起きているなど、業界内でも矛盾を感じる方が多いのが現状です。

本当に介護用ベッドが必要なのか


また、介護用ベッドにこだわらず、別の解決策を考えることもできます。

ベッドサイドの手すり(福祉用具)

例えば、ベッドからの立ち上がりができない状況であれば、ベッドサイドに手すりを設置することで、手の力を利用して立ち上がりができる場合もあります。または、リハビリによって身体に負担の少ない起き上がり方や立ち上がり方を習得できる場合もあります。

介護用ベッドを利用しなければ解決できない問題なのか、別の方法があるのかも含めて検討することも必要です。介護用ベッドをレンタルするというのは課題を解決するための手段のうちのひとつであって、レンタルをすること自体が目的ではないのです。

ベッドを置く場所・環境などによっても効果は大きく異なります。

いずれにしても、担当のケアマネジャー(要支援の方の場合は地域包括支援センター)、福祉用具専門相談員と相談し、どのような解決策があるか相談してみましょう。

まとめ

要支援や要介護1の認定を受けた方が介護用ベッドをレンタルする方法について解説しました。

原則として要支援や要介護1の方は介護用ベッドを介護保険でレンタルすることはできません。ただし、例外的な取り扱いとしてかかりつけ医が必要性を認める場合などには利用が認められる場合がありますので、該当するかケアマネジャーに相談しましょう。

また、福祉用具事業者が提供している軽度者対象のレンタルベッドを利用する、またはベッドレンタル以外の解決方法も含めて検討していきましょう。

追記:この特殊寝台等の利用制限と同じように、特定の廉価(金額の安い)福祉用具のレンタルを制限することも制度改定で加わっています。興味のある方はこちらもご覧ください。

いえケアロゴ

この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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