いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
相談:介護保険証をなくしてしまったら、どうするの?
今回も在宅介護に関する質問をいただいています。
最近、父の物忘れが多くなってきて、友人に相談したら介護保険を申請したら?って言われたんです。
80歳を過ぎてどこにも出歩かなくなって、足腰も弱くなってきたし、介護保険でデイサービスなんていいかも!?と思ってさっそく電話で地域包括支援センターに相談してみたんです。
そしたら、介護保険申請の手続きをしてくれるっていうので明後日地域包括支援センターに行くことになったんです。
でも、そのときに地域包括支援センターの人に「介護保険証を持ってきてください」って言われて。
「病院に行く時の保険証(後期高齢者医療保険料)は持っているけど、そんなの持っているのかしら?」と思って本人に聞いてみたら、「そんなの知らん」って。
探したけれど見つからなくって。。。
65歳以上には発行されているはずみたいなんですけれど、これ、保険証をなくしちゃったってことですよね?
保険証がないと、介護保険の申請って、できないんですか?教えてください。
質問、どうもありがとうございます。
これから介護保険の認定を申請しようと思っているところで、介護保険証が見つからなくて困っているということなんですね。
では、介護保険証を紛失したら介護保険の申請ができないのか?紛失したらどうしたらいいのか。介決サポーターに回答してもらいましょう!
結論:保険証がなくても介護認定申請はできます
どうもありがとうございます。先に結論を申し上げますと、介護保険証がなくてもまったく問題ありません。介護保険の認定申請もできます。
介護保険証を再発行する必要も特にありません。介護保険の申請の際に必要な保険証番号は市区町村の担当部署が確認して処理してくれますし、認定が出たら介護認定状態区分(要支援1・2もしくは要介護1~5)の情報が入った介護保険証が新たに発行されます。
なので、保険証をなくしたといっても心配せず、介護保険の申請に行ってきてください。
地域包括支援センターで介護認定申請の受付をしていましたが、新規に介護保険の認定申請をされる方のうち、半数以上の方は介護保険証を持っていらっしゃらないです。大事にし過ぎてなくしてしまうのか、古い保険証だと思って破棄してしまうのか、いずれにしろ持っていらっしゃらない方が多いので、なくしていたとしても大丈夫です。
(本当は個人情報なので、ちゃんと管理していてほしいという思いはありますが)
ここからは介護保険証についての補足説明と、紛失したときのケース別の対応方法について解説しておきます。
介護保険証とは
介護保険証について説明します。
「介護保険証」は正確には「介護保険被保険者証」と言います。
介護保険はみなさんご存じのとおり、加齢や疾患・障害のために生活に支障を感じる高齢者など、介護が必要な方が受ける社会保障制度の一つです。介護が必要な人々の生活を、家族だけでなく社会全体でサポートするために作られた制度が公的介護保険制度です。
介護保険被保険者証は、介護保険制度を利用して介護サービスを受けるための証明書です。
被保険者証には、その人の基本情報が書かれています。たとえば、名前や生年月日、被保険者番号などが含まれます。これらの情報は、介護サービスを利用する際に必要なものです。要介護状態区分という部分には要支援1・2や要介護1~5といった介護が必要な度合いに応じた区分が記載されています。この区分によって利用できるサービスの種類や利用の上限が決定されます。
介護認定の詳細については詳しくこちらの記事に記載していますのでご参照ください。
一般的には65歳になったら介護保険の被保険者としての資格を有するため、65歳になる月には手元に届くように市区町村から保険証が郵送されます。認定状態区分の記載されていない保険証ですが、介護保険被保険者番号を確認することができます。また、身分証明書として一部使える場合もありますが、顔写真などがないので使える場面は限定されています(*1,*2)。
また、40歳以上65歳未満の方(2号被保険者)で、特定疾患に該当する方は65歳の誕生日前に介護認定の申請が可能です。こちらの2号被保険者の方に関しては介護保険の認定が決定すると同時に介護保険証が初めて発行され、お手元に郵送で届けられます(*3)。ただし、特定疾患を有する方で介護認定を受けた2号被保険者のうち、生活保護の方に関しては「みなし2号」の扱いとなり、介護保険証は発行されません。
細かい部分に話がそれましたが、介護保険証は、介護保険のサービスを受ける資格を証明するために市区町村が発行している書類であると覚えておいてください。
介護保険証によく似ている保険証
介護保険証によく似ているものもありますので、簡単に紹介します。
介護保険負担割合証
介護保険負担割合証は、介護サービスを利用するときにかかる自己負担の割合を示す書類です。前年の所得をもとに1割・2割もしくは3割の負担割合が決定します。通常、前年の所得の情報を反映し、翌年の7月後半に郵送で利用者本人のお手元に一斉に届けられます(*4)。
自己負担の決定についてはこちらの記事に詳しく記載していますのでご参照ください。
介護保険負担限度額認定証
介護保険負担限度額認定証は、介護保険施設を利用したときにかかる食費や居住費(宿泊代)を減免するための証明書です。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設では、介護保険上のサービス利用料以外にも食費と居住費という保険外の料金がかかりますが、その負担を軽減するために所得に応じた負担限度額が定められています。限度額以上の費用に関しては「補足給付」として介護保険が負担し、負担限度額内の支出で利用ができるようになっています。その負担限度額を証明するのが負担限度額認定証です。
条件に該当していたとしても自動で発行されるものではありません。市区町村の窓口に介護保険証や現在の預金残高を証明できる通帳の写しなどを持って発行を依頼しに行く必要があります。
主に介護保険施設利用時に適用されるものですが、在宅サービス利用者でもショートステイの場合には使うことができますので、所得が条件に該当し、ショートステイ利用予定がある方は取得することをお勧めします。
詳しくはこちらの記事にも記載しておりますのでご参照ください。
ということで、介護保険証とそれによく似ている「介護保険負担割合証」と「介護保険負担限度額認定証」について説明しました。
ケース別、介護保険証紛失時の対応法
さて、ここからが本題。
介護保険証を紛失した場合にどうするか。ケース別に対応方法を紹介していきます。
介護認定を受けたことがない方の場合
年齢が65歳以上ですでに介護保険証は発行されているものの、まだ介護保険の認定は受けていない方。または介護保険の認定を受けたことはあるが、もう認定の期限を執行している方など。現在サービスを利用していない・ケアマネジャーなどの担当がいない方の場合です。
今回の質問者さんが投稿された場面と同じようなシチュエーションと想定してください。
介護保険証がなくても介護保険の申請はできます。
介護保険の認定が決定したら新たに保険証が発行されますので、新しい保険証を受け取ることができます。
市区町村の窓口で再発行の申請をすることもできます。ただ、認定のない介護保険証を持っていても身分証明書の代わりにしかなりませんので、あまり意味はありません。介護保険の認定を受けたいときに、「保険証は持っていません」「保険証は紛失しました」と伝えれば大丈夫です。
介護認定を受けている方の場合
こちらは、すでに介護保険の認定を受けている方の場合です。
すでにお伝えした通り、認定を受けられている方の介護保険証には、介護保険の要介護状態区分と認定期間などの情報が掲載されています。この情報がないと、介護保険のサービス計画(ケアプラン)の作成や各事業所からの介護保険請求に支障が出てしまいます。
なので、認定を受けている方は介護保険証を紛失した場合は速やかに再交付の手続きをすることをお勧めします。
多くの自治体では再交付のために介護保険証以外の身分証明書を提示することが必要になるため、ご本人・ご家族に交付申請をしていただくことが最もスムーズです。必須ではありませんが、マイナンバーを記載する場合もあります(*5)。
ご本人・ご家族では申請が難しいという場合は、担当のケアマネジャーさんに一度相談してみてください。
再交付申請から保険証発行までの手続きは市区町村によって異なります。その場で発行が可能な場合もあれば、後日郵送で届くという場合もあります。急ぎで必要な場合などは窓口の方と相談しましょう。
ちなみに、再交付を受けた後に、もともとあった保険証が見つかった場合は市区町村に古い保険証を返却することになっています。見つかったときには返却もお忘れなく。
認定申請中で手元にない場合
介護保険証が手元にないケースとして多いのが、介護保険の認定手続きを行っている場合です。役所で申請を行って認定結果を待っているときや、ケアマネジャーに保険証を預けて代行申請をお願いしてるるときなどは保険証が手元にありません。
介護保険の更新申請を行っているために保険証が手元にない場合なども考えられますので、心配な時はケアマネジャーさんや役所の介護保険担当部署に確認してもいいでしょう。
保険証の管理ができず、何度も紛失してしまう方の場合
介護保険証を管理することがそもそも難しい場合はどうするのか。本人に認知症があり、すぐになくしてしまうなど、保険証を管理することができない。介護保険証を郵送で交付しても、すぐに紛失してしまい、誰も探し出すことができない、というケースもよくあります。
介護保険証を確認できないとサービスの利用にも支障が出てしまう場面もあります。
そんな時は、保険証の管理をご家族が行うといいでしょう。介護保険証郵送も送付先を変更しましょう。ご家族の住所を送付先に変更しておけば、本人が保険証を紛失してしまうというトラブルはなくなります。
送付先変更も市区町村の窓口で手続きをすることができます(*6)。
介護保険証の送付だけでなく、毎年贈られる負担割合証などの関係書類の送付先もいっぺんに変更することができます。
どんな方法で管理するのがいいか、ケアマネジャーの意見も参考に、本人・家族で相談してみることをお勧めします。
まとめ
介護保険証紛失時の対応についてまとめました。
実はかなりの頻度で発生する介護保険証の紛失。大事な個人情報なのでなくしてはいけないものなんですけれど、紛失したら届け出をすれば再発行もできます。
再交付の手続き方法など、困ったときにはケアマネジャーさんや市区町村の窓口に相談しましょう。
今後、介護保険証もマイナンバーカードに統合される方向性になっているようです。個人情報がひとつのカードにまとまって紐づけられるようになりますので、便利な面はあるかもしれませんが、紛失には注意しましょう。
参考資料
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
(運営会社:株式会社ユニバーサルスペース)
コメント