いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
腰痛の悩みを持つ介護者は多いです。オムツ交換や入浴介助など、専門的な技術を身に着けていないと腰痛を発症しやすく、重度な腰痛になると在宅介護も困難になります。
そこで、大事になるのは介護者の腰痛対策。今回は腰痛に悩む介護者の相談をもとに腰痛対策を紹介します。
【この記事を読んでほしい人】
- 腰痛に悩んでいる在宅介護者
- 腰痛を予防したいと思っている方
【この記事でお伝えしていること】
- 腰痛予防の介護技術を身に着ける
- 効果的なストレッチ方法と日常的な腰痛ケア
- ショートステイなどのレスパイトを利用する
自宅で母の介護をしています。母は要介護5で寝たきりの状態。ヘルパーさんにも毎日来てもらっていますが、朝や夜は私がオムツ交換をしています。
先日、オムツ交換をした時に、腰に急激な痛みが走りました。なんとかオムツ交換はしたんですけれど、しばらくは立つこともできませんでした。
急激な痛みはなくなりましたが、今でもオムツ交換などで前かがみの姿勢になると腰の痛みがあり苦痛です。
自宅で暮らすのが母の望みなので、できれば介護は続けたいです。腰痛がこれ以上悪化しないようにしたいです。腰痛対策のヒントを教えてください。
質問どうもありがとうございます。
介護をしていたら腰痛を発症。腰痛を抱えながらも自宅で介護を続けていきたいということですね。腰痛悪化を防止し、自宅で介護を続けるためにはどうするか、介決サポーターに回答してもらいます。
多くの在宅介護者が腰痛を抱えている
多くの介護者が腰痛を抱えています。
介護労働者は腰痛予防のための技術・知識を身に着けて業務としての介護を行います。それに対して、家族介護者は技術や知識を身に着ける機会が十分ありません。そのため、身体に無理のある方法で介助を行い、腰痛を発症してしまいます。
体格差がある相手への介助を行うことで体に負担がかかることも多いです。女性が男性を介助する場合も多く、抱えて移動しようとするときに負担が大きく、腰痛を発症する場合があります。
自宅というスペースの限られた環境も要因のひとつです。トイレや浴室など、スペースが限られている空間での介助もあります。狭い空間で無理な姿勢をとって介助をすることで、腰に負担がかかることもあります。
このように、在宅介護は腰痛を生む可能性が高く、腰痛対策は長期間の介護のために欠かせない要素です。
具体的に腰痛対策を紹介していきます。
介護技術を身に着け、負担の少ない姿勢で介助を行う
腰痛の原因は介護を行う姿勢にあり
オムツ交換や入浴、ベッドと車いすの間の移乗など、身体的に負担のかかる介助があります。これらの身体介護と呼ばれる介助場面で負担を少なくしていくことが重要です。
このような場面で発生する腰痛の多くは、前屈姿勢で荷重が腰に集中的にかかってしまうことや、無理に姿勢をひねることなどに起因します。正しい姿勢で介助をすることが腰痛対策の第一歩です。
たとえば、オムツ交換の時。ベッドに横になった対象者を介助しようとすると、前傾になってしまうのではないでしょうか。
この前傾姿勢が腰に大きな負担となります。
腰への負担を減らす、オムツ交換や介助のポイント
腰の負担を少なくするためには以下のようなポイントを意識するといいでしょう。
例えば、オムツ交換をする場合は、ベッドの高さをあげて、腰が前傾にならないようにします。前傾姿勢を長い時間キープして、介助をしていると腰に負担が大きく、腰痛の原因となります。腰は曲げずに背筋を伸ばして介助をするといいでしょう。
もしくは、ベッドの上に自分の膝を乗せて介助するという方法もあります。対象者との距離をなくすことも重要なポイントになります。
抱える動作はできるだけ避けたいですが、抱えなければいけないときは、腰を使って引き上げるのではなく、膝を曲げて自分の姿勢を低くとった状態から、膝の力を使って対象者を抱えます。また、体は密接させることで、腰だけに負担をかけずに移動ができます。
介護技術を身に着けると腰痛予防になるだけではなく、自宅での介護ももっと楽に感じられるようになります。
対象者によって、体格も違えば麻痺や拘縮など疾患・障害による身体的な特徴も異なります。すべての方に対して同じ介助をすることが必ずしも負担を少なくするわけではありません。ホームヘルパーや訪問看護師・理学療法士など、専門家にアドバイスをもらうことで介護する側・される側ともに負担の少ない介護を実現することができます。
介護者向けの介護技術教室を行っている地域もありますので、そういった場に参加するのもいいでしょう。
ストレッチと日常生活でのケア
腰痛予防ストレッチ
腰痛ケアとして効果があるのがストレッチです。
厚生労働省でも介護者向けに腰痛予防のためのストレッチを推奨しています。こちらは労働者向けの教材となっていますが、ストレッチのやり方を説明する内容となっています。
ストレッチをすることで、凝り固まった筋肉を弛緩し柔軟にするとともに、腰回りを支えるインナーマッスルを強化することができます。血流を改善できるため、腰痛の改善につながります。
イラストのように、横になって膝を抱え、丸くなる姿勢をとるストレッチも効果的ですぐに実践できます。
横にならなくても、椅子に座った状態で膝を抱えるように前方に体を丸めるストレッチでも効果があります。
ぜひ普段の生活にストレッチを取り入れてください。
日常生活上のケア
日常生活で腰をいたわることも大切です。普段の生活の中でも腰に負担の大きな作業は控えましょう。重いものを持ち上げる、長時間前かがみになる作業は負担になりますので注意しましょう。
食生活も大事です。傷んだ筋肉の修復を早くするためには豚肉などに多く含まれるビタミンB1の摂取がおすすめです。また、骨を丈夫にするカルシウムや筋肉を蓄えるたんぱく質も重要です。バランスの取れた食生活が腰痛改善にもつながります。
十分な睡眠をとることも効果的ですので、休養をとることも意識しましょう。
レスパイトを活用する
定期的に腰を休めるためにもレスパイトを活用することをお勧めします。レスパイトとは直訳すると「休息」「息抜き」という意味になります。
ショートステイなどの介護サービスを活用
代表的なサービスが「ショートステイ」です。短期間、施設に入所することで家族は在宅介護の負担から解放されます。腰痛の悪化で介護ができないときには、まずはケアマネに相談し、ショートステイなどのサービスを利用することもひとつの手段です。
なかなか急なタイミングでショートステイを確保することは難しいので、代替サービスなども含めてケアマネさんと検討しましょう。デイサービスに夜間対応が付いたお泊りデイサービスや、有料老人ホームでのショートステイなどのサービスもあります。小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護のサービスを利用している方は宿泊サービスを利用するといいでしょう。
オムツ交換などの介護ができない場合は、できるだけ介護保険サービスを活用しましょう。訪問介護では介護保険の限度額をオーバーしてしまう場合は定期巡回・随時対応型訪問介護看護という短時間で頻回な訪問サービスを利用することで、ご家族が行うオムツ交換の頻度を減らすことが可能です。
家族の協力を得る
もちろんサービスだけでなく、他の家族の協力を得ることも大事です。
- 入浴の介助は体格のいい孫に協力してもらう。
- 夜間のオムツ交換は夫に対応してもらう
- 病院への付き添いは娘にお願いする
腰痛がひどい時には無理をせず、介護サービスや家族の協力で乗り切ることが大切です。
サービスを利用することで腰痛の軽減はもちろんですが、介護負担や不安の軽減にもつながります。こちらの記事もご参照ください。
家事は無理をしない
家事などは無理をせず、体を休めることを最優先しましょう。
特に、腰痛を持っている人にとって大敵となるのが掃除。前かがみの姿勢になるため、腰にかかる負担はとても大きくなります。
そんな時はロボット掃除機を使うというのもひとつの解決策。ロボット掃除機をレンタルできるサービスもありますので、腰痛がひどい状況なら一時的にこのようなサービスを利用することもおすすめです。
まとめ
在宅介護をされる家族向けの腰痛対策を紹介しました。
自宅で介護を続けるためには、介護を受ける側も大事ですが、介護をする側も元気でなければいけません。
腰痛を悪化させる要因のひとつに「ストレス」があります。不安やイライラなど、精神面の乱れが身体に影響することもあります。健康な心と体で在宅介護を続けられるように意識しましょう。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
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