いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
介護保険での福祉用具レンタル・特定福祉用具販売では、保険による補助を受けつつ、様々な福祉用具を利用することができます。
これについてはすでに福祉用具に関する記事にも紹介しましたが、何でもかんでも介護保険が利用できるわけではないのです。レンタル対象の13種類、購入補助対象の5種類。保険が適用されるの品目は限定されます。
介護保険の対象外でも、在宅介護に必要性が高い介護用品や福祉用具はたくさんあります。
そのうち、住環境に関する介護用品をいくつか紹介したいと思います。
★こんな人に読んでほしい
- 在宅介護を始めたばかりで、生活環境を見直したいと思っている人
- 在宅介護の負担を少しでも減らしたいと思っている人
★この記事で解説していること
- 介護保険で利用できる福祉用具は制度で決められている
- 保険対象外でも便利な介護用品がたくさんある
- 介護用品をおトクに購入する方法3つ
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介護保険で利用できる福祉用具には条件があります
介護保険で利用できる福祉用具。レンタルと販売と2つの方法があります。
どんな福祉用具が介護保険の対象になっているのかを紹介します。
介護保険対応の福祉用具レンタル
まずレンタルに関して説明します。介護保険では13種類の用具を、自己負担割合に応じて、1割から3割までの自己負担でレンタルできます。
その13種類というのが以下になります。
また、福祉用具のレンタルに関しては、種類ごとに利用可能な介護度の基準があります。
例えば、特殊寝台(介護用ベッド)であれば、要介護2以上の介護度の方が利用できるようになっています(例外を除く)。
これは、元気な方が不必要な福祉用具を利用することで自身の持っている能力を低下させてしまうことを防ぐことを目的としています(もちろん国の給付削減も目的としています)。
担当のケアマネジャーがケアプランを作成し、その目的を達成するために必要な福祉用具について、福祉用具貸与事業所の相談員と検討し、利用に問題がないことを確認してレンタルを開始するという流れです。
介護保険で購入可能な福祉用具
レンタルではなく購入対象となる福祉用具のうち、介護保険で補助を受けることができるのは次の5種類です。
いずれの福祉用具も、利用者の肌に直接触れる、または排せつ物に触れる商品となっています。つまり、衛生的な観点からレンタルに適さないため、買い取り対象になっている商品です。
介護保険の自己負担割合に応じて1割から3割までの自己負担で購入することが可能です。
福祉用具の購入は年間10万円の制限があります。また、一度購入した品目は基本的に再購入できないようになっています(ただし、必要な用途を満たさなくなった場合などは再購入可能)。
以上紹介したのが介護保険対象となる福祉用具となります。
介護保険対象の福祉用具については下記の記事でまとめていますので興味ある方はご参照ください。
介護保険対象の福祉用具だけで大丈夫?
さて、介護保険対象の福祉用具を紹介しましたが、介護保険の対象にならない介護用品もあります。代表的なものでは、紙おむつやおしり拭き、陰部洗浄用のボトル。ドライシャンプーや寝具、介護用の食品や食器など、消耗品を含めて介護用品は様々あります。
その人の生活パターンや疾患などに合わせて必要な介護用品・福祉用具を選んでいく必要があります。適した商品の選定や活用ができれば、介護用品・福祉用具の活用によって、その人の生活の質は大きく変わります。
高齢者が自宅で暮らしていくために、最も気をつけなければいけないのは自宅内での事故。高齢者の転倒事故の多くは自宅で起きています。消費者庁のデータでも、高齢者の転倒事故の57.7%は自宅で起きていると紹介しています*1。
住み慣れた自宅での生活においても、高齢者にとっては転倒や転落、火災などの危険と隣り合わせでなのです。
介護保険で認められている福祉用具や、住宅改修だけで、生活の安全が担保されるとは言い切れません。介護保険の対象ではなくても、転倒予防・事故防止につながる福祉用具・介護用品はたくさんあります。これらの介護用品などを上手に活用することで事故を防止していくことをお勧めします。
福祉用具と介護用品の違い
介護保険の対象となる福祉用具だけでは転倒予防や事故防止に不十分で、介護用品の活用も必要という説明を前の章でさせていただきました。ここで、福祉用具と介護用品という二つの言葉の意味の違いを説明します。
福祉用具は利用する本人(介護保険被保険者)の自立支援を目的にしたもの。自分で移動ができるようになる、自分の能力を最大限発揮できるようにする、自立した日常生活を送れるようにするなど、あくまで利用者が使うものです。これには介護保険によるレンタルや購入費の支給という保険給付が認められています。
対して介護用品はもっと幅広く、消耗品なども含まれます。紙おむつやおしりふきなど日常に使用するものも含めて介護用品と呼ばれます。介助者が介助をもっと楽にするために使うもの、日常生活をより便利にするためのものなども介護用品に含まれます。
明確な定義はありませんが、介護用品という大きな枠の中に介護保険で適用される福祉用具が含まれると考えるとわかりやすいと思います。利用者自身の自立支援に使われるものが福祉用具、生活を快適・便利にするものや日常的に使われる消耗品を介護用品。どちらも介護が必要な方の生活に欠かせないものです。
転倒予防・事故防止に役立つ介護用品
ここでは、高齢者の住環境を改善するのに効果の大きいアイテムを4つ紹介します。
浴室滑り止めマット「オーバルリンク」
浴室用の滑り止めマットは介護保険対象外の商品ですが、購入されることの多い介護用品です。吸盤タイプやゴムタイプなど、様々な種類があります。
吸盤タイプだと一度吸着するとはがすのに力が必要なため、高齢者世帯で購入すると外せないで困るという声も多く聞かれます。
滑り止めマット「オーバルリンク」は入浴に不安を感じているご家庭で利用されることの多い商品です。ゴムの品質劣化も少なく、防カビ加工もされています。滑りにくく、安心して入浴ができます。浴槽内でも洗い場でも使えるタイプとなっています*2。
使用後も浴槽の縁にひっかけておけばすぐに乾き、汚れもスポンジで軽く洗い落とすことができ、衛生的です。
もし、間違えて購入してしまい、サイズが大きすぎた!という場合も慌てることはありません。ハサミやカッターで簡単にカットすることができ、サイズを調整することが可能です。
色はライトグリーン・ブルー・レッド・グリーンの4色。ライトグリーンをよく見かけますが、あえて目立つレッドを購入されるご家庭もあります。
浴室内の転倒事故は重大事故につながる可能性が高いため、転倒が不安なご家庭ではぜひ購入しておくことをお勧めします。
浴室暖房
もうひとつ浴室絡みで介護用品を紹介します。
入浴の事故で多いのは転倒事故だけではありません。ヒートショックによる事故も多発しています。東京都健康長寿医療センター研究所によると、2011年の1年間で約17,000人がヒートショックの影響で亡くなったと報告されています*3。
急激な温度変化によって血圧が影響を受け、最悪の場合は意識消失、生命に影響する事故につながる場合もあります。特に古い家屋では脱衣所や浴室が寒く、温度変化が大きくなりやすいので注意が必要です。
そこで、入浴時において温度差を少なくする浴室暖房をお勧めします。
冬の入浴で起きる温度変化は以下のような流れになっています。
あたたかい部屋→
寒い脱衣所・浴室→
熱い浴槽
冬の入浴時における急激な温度変化を避けるためには、脱衣所・浴室を暖かくするのが効果的。
浴室暖房を使って、脱衣所から浴室を暖めておくことをお勧めします。
あたたかい部屋→
あたたかい脱衣所・浴室→
熱い浴槽
温度変化を少なくすることでヒートショックを未然に防ぎ、安心して入浴を楽しむことができます。
壁付で設置するヒーターを使われる方も多いです。
人感センサータイプもありますが、脱衣所到着時から暖め始めるので、本当はあらかじめ脱衣所から浴室まで暖めておいた方がいいでしょう。このあたりは認知レベルなどに合わせて、自分でスイッチのオンオフができるかどうかなども含めて検討するといいでしょう。
小型のタイプであれば1万円以下で購入できますので、購入しておくといいでしょう。
足元灯
高齢になると視力が低下します。
転倒の原因のひとつには視力の低下も大いに影響しています。
また、認知症の方に関しては暗いことで不安感が強くなり、周辺症状を引き起こす場合もあります。
夜間でもある程度の明るさを保つことが事故防止に。さらに認知症の方の生活の安定には効果が高いとされています。
在宅介護の住環境を改善することを考えると、夜間の照明を工夫することをおすすめします。
まぶしくない程度に、寝室や廊下、トイレなどへの動線に、足元を照らす明かりがあると、安心して歩行できます。
昼間は点灯せず、夜になり周囲が暗くなると自動でライトが点くタイプのものを選ぶことをお勧めします。人感センサーで人の動きを感知してから点灯するよりも、動く前からあらかじめ明るい環境を作っておく方が安全性は高まります。
火災報知器「けむり当番」「ねつ当番」
高齢者世帯で気をつけたいのが火災です。
認知症の方に限らず、火をかけたまま忘れてしまい、火事を起こしてしまうことがあります。
注意力が欠如することや、キッチンのにおいや煙などに対して感知する力が低下することで、火の元のトラブルに気が付くことができず、火災となることがあります。
そこで、火災報知機を設置することをおすすめします。
新しい住宅には設置されていますが、古い住宅では火災報知機をつけていない家屋も多いです。
火災報知器には熱探知と煙探知の2種類がありますので、その両方を用意しておくといいでしょう。
代表的な商品として、パナソニックの火災報知器「けむり当番」と「ねつ当番」を紹介します*4。
煙探知型火災報知器 けむり当番
熱探知型火災報知器「ねつ当番」
一般的に、煙タイプは普段過ごしている場所に。
熱タイプはキッチンに置くことが推奨されています。
間違えて煙タイプをキッチンに置くと、焼き魚に反応してしまうこともありますのでご注意を。
パナソニックの「けむり当番」「ねつ当番」は火災報知機として非常に有名で多くのご家庭でも使われています。
他にも、NITTAN(ニッタン)の火災報知器「けむタンちゃん」「ねつタンちゃん」などもよく使われていますし、比較的安価に購入することができます。
たとえ、小さな火災でも、一度起こしてしまうと火災に対する周辺住民の危機意識が過剰に強くなってしまい、地域に暮らしにくくなってしまう傾向があります。
心配なご家庭は、火災につながる前に、火災報知機を設置することをおすすめします。
優先順位を決めて対応を
高齢者の事故防止に効果的な介護保険対象外の福祉用具・介護用品を4つ紹介しました。
もちろん、どこまで安全対策をするかは限度がありません。なので、何が必要なのかまずは優先順位を決めて対策をとることをおすすめします。
また、事故はインテリアコーディネートで防止することができます。安心安全のインテリアを作りたかったら、ご希望でしたら下記の会社に一度ご相談してみてください。
介護保険でできることとできないことを区分けし、まずは介護保険での住宅改修や福祉用具を先に行うといいでしょう。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
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いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
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