在宅介護の「不安」・「悩み」ランキング。実は、○○サービスの利用で、介護者の不安・悩みは軽減される。

在宅介護の不安と悩み、解決するには○○サービスの利用がポイント 介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

はじめての在宅介護。いろんな悩みや不安がありますよね。

みなさん、どんな不安を感じているのでしょうか。

介護者様
介護者様

今まで一人暮らししていた義母と一緒に暮らすことになりました。今は病院に入院中なのですが、退院したら一人暮らしはできないからと、長男世帯であるうちでくらすことになりました。

でも、要介護5と言われて、不安でしかありません。病院から本人の状況についても詳しく聞けていないので、どんな介護が必要なのか、どんなことを気を付けたらいいかもわかりません。

実際に介護をするのは私なのですが、介護の経験はありません。とにかく、今は不安でしかないんです。在宅介護で、どんなことが大変なんですか?

いえケア編集部
いえケア編集部

どうもありがとうございます。はじめての在宅介護、心配ですよね。

介護への不安って一言でいうとしても、対象者によっていろんな問題があります。不安や悩みも人それぞれ。でも、どんなことに不安を感じる人が多いのか。どんなことが大変なのか。傾向や対策はありますので、今回はそんな不安を解消できればと思います。

【この記事を読んでほしい人】

  • 在宅介護に関する漠然とした不安を感じている人
  • はじめて在宅介護をする人
  • 不安感の強い介護者と接することの多いケアマネや相談職など

【この記事で説明していること】

  • 在宅介護で介護者が不安に感じる介護
  • 不安を解消するサービス

介護者はどんな介護に不安を感じるのか

ここで、介護者がどんな介護に不安を感じているのか、調査データがあるので紹介します。

令和2年度 老人保健健康増進等事業 在宅介護実態調査結果の分析に関する調査研究事業 の調査結果をもとに、「介護者が不安を感じる介護」として多かったものを5位から順に紹介していきます。

要介護度別・介護者が不安を感じる介護

令和2年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業 在宅介護実態調査結果の分析に関する調査研究事業

第5位 日中の排泄

日中の排泄介助

トイレへの移動やおむつの交換など、排泄の介助は非常に大きな負担感を伴います。また、排泄に関しては臭いや衣服・寝具の汚染などが発生する場合もあります。肉体的な負担だけでなく、精神的な負担感も大きいです。

トイレで排せつする場合、オムツ交換する場合、ポータブルトイレに排泄する場合、それぞれに大変さはあります。

また、トイレという狭いスペースでの介助は腰への負担も大きいため、腰痛を発症することもあります。腰痛予防のためのストレッチや運動を日ごろから心がけることもおすすめします。また、トイレの住環境を整えることで介護負担を軽減することもできます。

第4位 入浴・洗身の介助

入浴の介助

入浴の介助が第4位です。身体的にかかる負担としては最も大きいのが入浴だと思います。特に、夏場などに狭い浴室内で介助する場合は肉体的な負担は大きく、介助の後は大きな疲労感が残ります。

浴室もやはりスペースが狭いため、体を避ける場所も限られ、無理な体勢になりやすいという傾向があります。

入浴介助の負担を軽減するためには、浴室及び脱衣所の住宅改修などもひとつの手段です。また、介助が必要な場合は、訪問介護・訪問看護・訪問入浴などを利用するか、デイサービスなどの通所サービスで入浴することもひとつの手段です。

第3位 外出の付き添い、送迎等

外出の付き添い・送迎

移動に関する不安も多くの方が持っています。外出の介護での転倒リスクなども大きな不安要素です。歩行の介助や車いすの操作など、慣れていない方にはとても不安の大きな介護となります。

通院など、本人を連れていかなければいけない場面も多くあります。また、自家用車などの移動の足がない場合もあります。

環境的な問題もあります。たとえば、エレベーターのない団地の上層階に住んでいる場合、階段を下りて地上階に移動することは大きな危険が伴います。外出をする手段については、ケアマネジャーさんともよく相談してみてください。

第2位 夜間の排泄

夜間の排泄

夜間の排泄も大きな負担感を伴います。夜間に本人から呼び起こされてトイレに連れていくというご家庭も少なくないと思います。また、夜間にオムツ交換をしないと寝具まで濡れてしまうので必ずオムツ交換が必要という家庭もあります。

もちろん介護自体の身体的な負担もあります。ただ、日中の排泄に関する問題と異なり、夜間の睡眠時間が十分にとれないという精神的な負担感も大きな問題です。

十分な睡眠時間が取れないことは大きなストレスや疲労として蓄積されます。

負担感が大きい場合はショートステイを定期的に利用していくこともひとつの方法です。

第1位 認知症の対応

認知症への対応

もっとも不安感が大きいのは認知症への対応です。

まず認知症について知らないことから、不安が余計に大きくなるという部分があります。認知症に関しては、正しく知って、正しく対処することが重要です。

夜間徘徊や暴力・暴言などの重度の周辺症状が現れる場合もあります。特に、攻撃的になる場合は、身近にいる人が攻撃のターゲットになる可能性が非常に高いです。適度な距離感をとりつつ、心に余裕を持ちながら対応することが重要です。

一人で抱え込まずに、ケアマネジャー等の支援者に相談しましょう。

以上、介護者が不安を感じる介護についてまとめました。最も大きな不安を感じているのは認知症への対応となっています。

身体的な介助量の大きな介護よりも、精神的な部分により大きな不安を感じることがわかります。では、この不安を軽減する方法はあるのでしょうか。実は、あるサービスを利用することで、これらの不安が解消されるという調査結果があります。

不安を軽減するためには訪問系サービスの利用を

訪問系サービス利用回数別の介護者の不安

もうひとつ、同じ調査から別のデータを紹介します。

これは、訪問系サービス(訪問介護・訪問看護など)の利用回数別に、不安と感じる介護について調査した結果です。

訪問系サービス利用回数別・介護者が不安を感じる介護

先程紹介した不安に感じることの多い介護は、全て訪問系サービスを利用することで不安感が大きく減っていることがわかります。つまり、訪問系サービスの利用が、不安の軽減に大きく役立っている、ということがわかります。

特に認知症の対応に関しては、訪問系サービスの利用がない方は40.2%が不安を感じているものの、訪問系サービス利用が月1回~14回の方は28.9%、15回以上の方は28.6%と大幅に減少しています。

訪問系サービスは肉体的な負担感を軽減するだけでなく、精神的な不安感を軽減するのにも大きく役立つことがわかります。

訪問系サービスが不安の軽減に役立つ理由

なぜ訪問系サービスの利用がここまで不安の軽減に大きく貢献するのか。理由は以下の3つです。

1.専門的なサービスによる安心感

訪問看護のサービス利用

訪問系サービスは介護のプロフェッショナルです。訪問看護師による医療的ケア、訪問介護を行うホームヘルパーの手際よい身体介護、訪問入浴のスムーズなチームワークなど、どれもプロフェッショナルとして非常に優れたケアを行っています。普段、家族のケアでは行き届かない部分があっても十分フォローしてくれるプロフェッショナルがいることは非常に心強いです。

また、専門職の視点から状態の変化や異常を発見してくれることも大きなメリットとなります。安心して介護を任せることができることは大きいですね。

2.在宅介護についての相談ができる

在宅介護についての相談に乗ってくれることも大きな安心感です。こんなときはどうしたらいい?という相談に対しても、経験や知識から適切なアドバイスを提供してくれます。

訪問看護に関しては、医療的な情報についても適切な回答をしてくれます。また、解決できない場合には、看護師を通して主治医に連絡・報告するなどのサポートもしてくれます。

また、訪問介護であれば技術的な介護の指導であったり、身の回りにあるものを使っての介護の方法やコストを意識した工夫など生活ベースで役に立つ技術も教えてくれます。

3.孤立感・孤独感の解消

サービス担当者会議の様子

自分が独りぼっちではない、と感じることができるのも訪問系サービスの大きな効果のひとつです。

在宅介護では介護者が社会的に孤立してしまう、孤独感を感じてしまうという状況が起きます。しかし、自分をわかっていてくれる・心配してくれている・気にかけてくれる人がいる、というそれだけで、人は心理的に大きな支えを得ることができます。

もちろん訪問系サービスだけでなく、介護サービスを通して多くの支援者が関わってくれています。ケアマネジャー・地域包括支援センター・主治医・デイサービスや福祉用具専門相談員など、様々な方がそれぞれの役割を果たしています。

在宅介護を続けるために必要な「安心」を得ることができるのが訪問系サービスであるということがわかります。

訪問系サービスを利用することで得られる効果について解説しました。

訪問介護・訪問看護、本当に「必要ない?」

ケアマネジャーとしての経験上、訪問系サービスの利用を勧めるとこのように言われる方も多いです。

介護者
介護者

オムツ交換も私ができるし、わざわざ人に頼むのも申し訳ない。人が自宅に来るのも抵抗があるし、今はいらないわ。

確かに、能力的にはオムツ交換も入浴介助もできる。でも、それを続けていくことは、大きな負担があります。介護は終わりが見えないことが多く、心理的に追い込まれていくパターンもあります。

長く家族だけでの在宅介護を続けていた結果「腰痛になって介護ができなくなった!」という状況になると、事業所の確保や、急な状況の変化でサービスを利用者本人が受け入れられないといった事態になることもあります。

現実、そのような状況で、誰も介護ができる人がいなくなり、施設入所を選択したというような事例もあります。もし、こうなる前に訪問介護を導入で来ていたら、腰痛で家族がダウンすることもなかったかもしれないし、介護スタッフが関わることも抵抗なく進んでいたかもしれない。結果的に、最後まで在宅介護を続けることができたのではないか。という思いもあります。

「できるか・できないか」だけでなく、訪問系サービスを利用することのメリットも考えた上で、サービスを検討していくことをお勧めします。

まとめ

介護者が感じる在宅介護の不安には様々なものがあることがわかりました。認知症の対応については、やはり経験を持った専門職の助言やサポートが必要だと感じました。

訪問系サービスを上手に活用することで、在宅介護を無理なく続けていけるといいですね。

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この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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