いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
介護サービスを利用する際に欠かせないのが「介護保険証」です。介護保険証が介護保険サービスを利用する資格を保有していることの証明となり、保険証の記載内容をもとに事業者はサービス提供や請求を行います。
このように、介護保険証は、高齢者やその家族にとって、介護サービスを受ける際に重要な役割を果たす書類です。しかし、その色やデザインについては、意外と知られていない点も多くあります。
離れて暮らしている母と電話していると、「介護保険証の色が変わった」と言われました。今まで水色だったのは覚えているのですが、ピンク色になったと言っていました。水色の保険証は手元にないと言っています。保険証の色が変わるなんてことはあるのでしょうか?別の保険証と勘違いしているんじゃないかと思って、心配です。介護保険証がないと介護サービスも受けられなくなるし、どうしたらいいのでしょう。
質問ありがとうございます。実は介護保険証の色は、変わることがあります。保険者である市町村がそれぞれ独自にデザインや色を決定していて、色の変更を行う市町村もあります。
この記事では介護保険証の色の違いや色の変更理由、負担割合証や健康保険証との違いについて詳しく解説します。介護保険証に関する疑問を解消しましょう。
【この記事を読んでほしい人】
- 介護保険証の色が変わっていて不思議に思っている人
- 介護保険証の色による違いを知りたい人
- 他の保険証との違いを知りたい人
【この記事に書いてあること】
- 介護保険証の色やデザインは自治体が独自に決定している。
- 介護保険証・負担割合証・負担限度額認定証の色もそれぞれ異なることが多い。
- 介護保険証の色が変わることもある。
介護保険証とは?基本情報と役割
まずは、介護保険証の基本的な情報について確認しましょう。
介護保険証の正式名称と保険証に記載される情報
介護保険証の正式名称は「介護保険被保険者証」です。保険証の表面には以下の情報が記載されています
- 被保険者番号
- 氏名、生年月日
- 住所
- 要介護認定の区分とその有効期間
- 保険者である市区町村の名称
- 担当する居宅介護支援事業所の名称
これらの情報により、利用者が適切に介護サービスを受けるための重要な基礎情報が提供されます。また、保険証を提示することで、介護サービス事業者が利用者のサービス内容を確認し、サービス提供が可能となります。また、この情報をもとに事業者は介護保険の給付請求を行います。
例として東京都町田市の介護保険証を紹介します。
介護保険証が必要になる場面
介護保険証は、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなど、介護保険が適用されるサービスを利用する際に提示が求められます。介護サービスを提供する事業者は、利用者の保険証を確認することで、正確なサービス提供と請求処理を行います。
事業者が請求を行う際には、国保連(国民健康保険団体連合会)に利用者情報やサービス提供実績を報告しますが、介護保険情報が正確に一致していないと、請求を確定できず、返戻となってしまいます。そのため、介護保険証に記載されている保険情報は非常に重要なものです。
保険証は紛失しないように大切に保管しましょう。
介護保険証の色の違いとは?何色が多いのか
介護保険証の色について、どんな色を想像されますか?
介護保険証について疑問を持たれる方は多いですが、結論から言うと、介護保険証の色は統一されておらず、市町村によって異なります。
介護保険証の色は全国統一ではない
介護保険証の色は、保険者である市区町村ごとに異なります。これは自治体が独自に色を決定しているためです。色だけでなく、保険証のデザインも市町村によって異なります。全国で統一されているものではありません。
その理由としては、別の保険者で発行された保険証が見分けやすくなり、事務的なトラブルを防ぐ効果があります。基本的なフォーマット自体はどこの市町村でも大きく変わりませんが、デザインやフォントなど、市町村ごとに違いがあります。
介護保険証は何色が多い?
多くの自治体で採用されている色の傾向としては、具体的には以下のようなものがあります。
- 水色:高齢者にとって視覚的に落ち着いた印象を与え、文字が見やすいことから採用されています。
- 薄いピンク:優しさや温かみを感じさせ、介護の安心感を象徴する色です。
- もえぎ色(淡い緑):自然に近い色調で、目に優しく視認性が高いことから、特に高齢者に配慮した選択となっています。
- 黄色: 文字の色とのコントラストが大きいため視認性が高く、視力の弱い方でも文字がはっきり見えやすいことから採用されることが多いです。
視力の低下した高齢者でも見えやすいように、保険証の色は比較的薄く、明るい色が採用されることが多いです。文字との間のコントラストを確保し、情報を確認しやすくなります。
これらの色は、他の証明書との混同を避けるためにも選ばれており、利用者やケアマネ、介護スタッフが容易に識別できるよう工夫されています。
介護保険証の色が変わるタイミング
介護保険証の色が変わることがあるのは、以下のような場合です。
- 制度改正に対応するための変更:介護保険制度の改正などを機にデザインを見直すことがあります。従来の保険証と制度変更後の保険証の色を変更することで見分けやすくします。いつ以前に発行されたものかを一目で見分けることが可能です。
- 定期的な変更:介護保険証の色はそこまで頻繁に変更されることはありませんが、一部では数年おきの色変更をしているそうです。ただ、負担割合証に関しては毎年色を変更する自治体もあります。これは負担割合証が現在有効なものかそうでないものかを見分けやすくするために行っている色変だということです。
色が変更されることで、古い保険証・有効期間を過ぎた保険証がわかりやすくなります。古い保険証をいつまでも持っている方がいますが、認定有効期間が過ぎた保険証は使われることがないため、個人情報に気を付けた上で廃棄しても構いません。
負担割合証・負担限度額認定証・健康保険証との違いと色の比較
介護保険証と一緒に提示が求められる「負担割合証」や「負担限度額認定証」、さらに「健康保険証」との違いについても確認しておきましょう。
介護保険負担割合証とは?
負担割合証は、利用者が介護サービスを受ける際の自己負担割合(1割、2割、3割)を証明するための書類です。介護保険は対象者の前年の所得に応じて、サービス利用時の負担割合が異なります。
負担割合証は市区町村から交付され、介護保険証と共に提示が求められます。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
負担限度額認定証とは?
負担限度額認定証は、介護保険施設やショートステイを利用時に発生する食費・居住費(部屋代)を所得や資産に応じて減免するための証明書です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などを利用する際に、この認定証を提示します。
介護保険施設利用時の食費や居住費は保険対象外のため、高額になりうやすく、家計に大きな負担となります。主に低所得者を対象に、この費用負担を軽減するのが介護保険限度額認定証です。
健康保険証との違い
介護保険とは直接関係はありませんが、介護保険同様に高齢者が保有しているのが健康保険証です。健康保険証は、病院やクリニックでの医療を受ける際に必要な書類です。健康保険に加入していることを証明し、医療費の一部を保険でカバーするために使用されます。
後期高齢者医療保険や協会けんぽなど、加入している健康保険組合によって、デザインや色も異なります。協会けんぽなどはカードタイプの保険証を発行していましたが、後期高齢者医療保険は紙の保険証のため介護保険証と見分けがつきにくいと言われていました。
近年はマイナンバーカードとの統一化が進み、マイナ保険証が活用されるようになりました。ただ、マイナンバーカードの普及率や健康保険との紐づけが100%というわけではないので、現状は紙やカードの保険証も並行して使われています。
色の違いと比較
介護保険に関する介護保険証・負担割合証・負担限度額認定証の3つの証明書は、形状もデザインも似ているため混同しやすいです。特に、どの証書も「介護保険」の文字から始まり、書いてある内容もほとんど似通っているからです。混乱を避けるために同じ色を避けて発行されることが一般的です。
例えば、ケアマネや介護施設の職員が必要な証書を確認するために、「ピンク色の保険証はありますか?」など色で伝えることができます。
これらの色分けにより、利用者や介護スタッフが必要な書類を区別できるよう工夫されています。
実際に色が変更された自治体の事例
介護保険証の色が変更されることがあります。
その事例を紹介します。神奈川県相模原市で保険証の色が変更された事例です。
令和6年4月から介護保険証の色が変わります(色見本あり)
令和6年4月1日交付分以降、空色(水色)からうぐいす色(黄緑色)に変更となります。
- 保険証の色を変える手続き(再発行)は必要ありません。
- これまでの水色の介護保険証は、今までどおり使用できます。
- 主に次の方へ保険証の色が「うぐいす色」の保険証が発行されます。
- 令和6年5月2日以降に65歳を迎える方
- 新しく介護認定(新規、更新、区分変更)を受ける方
- 令和6年4月以降に相模原市に転入された方
続いて紹介するのは鹿児島県阿久根市で介護保険証の色が変更されたときの案内です。こちらも同様に色変更を行っています。
このように介護保険証の色が変更になることがあります。とはいえ、色が変更になるからといって全対象者に一斉に新しい介護保険証を郵送することはコストや手間も大きいため、認定更新のタイミングまでは古い色の保険証をそのまま使用することになっています。
介護保険証の管理と注意点
介護保険証は重要な書類ですので、適切に管理することが求められます。紛失した場合は速やかに再発行の手続きを行う必要があります。再発行の手続きは市区町村の窓口で行うことができ、手続きが完了するまでの期間、暫定の保険証を発行してもらえる場合もあります。
また、介護保険証と一緒に負担割合証や負担限度額認定証を専用のケースで保管することをお勧めします。ひとつの場所にまとめておくことで、必要なときに迅速に取り出すことができ、介護サービスの利用がスムーズになります。必要な書類がどれかわからなければ、ケアマネさんや施設の職員など、必要としている人にそのまま渡して、見てもらうのが一番確実です。
また、介護保険証もマイナンバーカードと一体化する案が進んでおります。まだ現時点では未定ですが、健康保険証同様にカードリーダー等でスキャンして情報を確認する仕組みになると言われています。マイナンバーカード一枚ですべての保険証の情報を確認できるとしたら利便性は格段に向上します。ただし、認知症の方なども含めて、マイナンバーカードの保管・管理は大きな課題となるでしょう。
まとめ
介護保険証の色の違いは、市区町村ごとに異なり、地域ごとに高齢者に配慮した色が採用されています。利用者に安心感を与え、視認性を高める工夫がなされています。また、負担割合証や負担限度額認定証とは異なる色で発行され、識別しやすく工夫されています。
介護保険証を適切に管理することで、安心して介護サービスを利用することができます。保険証の色やデザインが変更されることもありますので、間違って処分しないように注意しましょう。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
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