介護認定で非該当になった理由とは?自立判定になったらとるべき行動3つ。

介護認定で非該当の理由は?なんで自立? 介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

介護保険には7つの認定区分がある、とよく言われます。でも、実はこの7区分以外にももう一つの区分があるのです。それが「非該当(自立)」です。

介護サービスが必要で介護保険の認定を申請したのに、非該当と判定されたらさすがに驚きますよね。介護認定で非該当の認定が出たのはなぜか。わからずに困っている家族もたくさんいらっしゃいます。

ご家族
ご家族

母が離れて一人で暮らしています。だんだん膝も悪くなってきたみたいで、実家に行くと、膝が悪くてあまり外を歩けないからといって、いろいろ買い物を頼まれます。これから先も本人は一人で暮らしたいそうなので、やっぱり介護保険の支援が必要だと思い、認定の申請しました。

母はあまり乗り気ではなかったのですが、かかりつけの整形外科の先生に書類を書いてもらって、立ち会えませんでしたが認定調査にも来てもらいました。

先日やっと結果が出たかと思ったら「非該当」と書いてあったんです。最初、この意味がわからなくて、よく読んでみてやっと介護保険の認定が受けられなかったのだとわかりました。まさかの結果だったので、驚きを通り越してわけがわかりません。

足も悪いのに、なんで非該当なんでしょうか。どうしたらいいのでしょうか。

母親の介護認定が「非該当」という予想もしない結果だったことに混乱されているようです。認定が得られるものだと思っていたものの、予想もしない結果。ただ、こういったケースも実際は少なくないんです。

では、なぜ介護認定で非該当の判定が出るのか。わかりやすく説明していきます。

【この記事を読んでほしい人】

  • 介護認定で非該当という認定が出た人
  • 介護認定で非該当になったらどうしようと心配な方

【この記事に書いてあること】

  • 介護認定で非該当と判定される理由
  • 非該当と判定されたときの対応方法

介護認定で非該当と判定される理由

介護認定で非該当と判定された理由4つ

介護認定の仕組み

介護認定で非該当と判定される理由について解説します。

介護保険では、対象者の状態を要介護状態区分という8つの区分に分類します。そのうちのひとつが非該当(自立)です。この区分が何によって決まるかというと、一番大きな要素が「介護にかかる手間」です。

介護保険申請からサービス利用するまで

対象者が普段どのような介護を受けているか、どのような介護を受ける必要があるかを時間軸に置き換え、それをもとに判定を行うのが介護認定です。認定調査で「介護の手間」を調査員が確認。主治医の意見書でその人の現在の医療的な状況を確認。この2つの情報をもとに市区町村で介護認定審査会が開催され、介護保険の認定区分が決定します。

介護認定の仕組みについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

どのような疾患があるのか、痛みがあるかないか、などは基本的には介護認定の項目にはないので介護度には反映されません。もっと言えば、どんな難病にかかっていたとしても、余命宣告されていたとしても、介護の手間がかかっていない場合は介護認定が得られない可能性があります。

介護認定で非該当になったということは介護の手間を必要としておらず、自立した生活を送っていると判断された可能性が高いです。

介護認定が非該当になる理由とは

介護認定で非該当になる方は、日常生活において介護や支援を必要としないと判断された可能性が高いです。具体的な状態像を説明します。

介護認定非該当になる理由

1.日常生活動作が自立している
寝返り・起き上がり・歩行・立ち上がりなどの日常生活動作に関する調査がありますが、これがすべて「できる」状態だと、非該当になる可能性も高くなります。この「できる」は、手すりや壁につかまっている場合や、誰かに支えてもらう必要もない状態を意味しています。

2.日常的な生活上の支援を受けていない
入浴や排泄、外出、調理などを誰かに手伝ってもらっているかどうか。誰の手も借りずに一人で行っていれば、介護の手間がかかっていないと判断されます。

3.精神的な状態が安定している、誰かのフォローを必要としない
認知症や精神疾患などで周囲に影響を与えている場合は介護度に反映されます。しかし、精神的なトラブルがなく、誰にも迷惑をかけていない・誰かがフォローする必要もないという場合は、介護認定には反映されません。認知症があるかないか、ではなく、認知症のために誰かがサポートをしている状況かということが重要です。

4.医療的な支援を受けていない
点滴や胃ろうなど、日常的な医療処置が必要な方は介護認定が重く出る場合が多いです。ただ、薬を飲んでいて、自分で管理もできているということであれば、介護認定では自立していると判断されます。

ご家族
ご家族

母は認知症の診断も受けているのですが、それでも要支援の認定にもならないんですか?確かに一人暮らしをしていて、特に家族としても何かサポートしている状況ではないのですが。確実に物忘れは増えているように思うんです。

いえケア編集部
いえケア編集部

確かにお母様のご様子、ご心配ですよね。ただ、介護認定の調査では「介護の手間」を評価するので、どのような手間が、どのくらいの頻度でかかっているのかを伝えることが必要になります。

そのほかにも諸々の要素はありますが、生活動作が問題なく「できる」、生活機能や社会生活で「介助されていない」、精神的なトラブルが「ない」、医療的なケアを受けて「ない」。このような状態であれば、自立・非該当と判定される可能性が高まります。

認定調査で自分の能力以上にアピールしてしまう

認定調査で元気さをアピールする高齢者

以外にも大きな要因となるのが、認定調査の時に本人が頑張ってしまうという事象もよく起きます。

認定は高い方がいいのに、というのは家族目線ですが、本人はそうは思わない場合もあります。具体的にはこのような心理が働くことがあります。

  • 調査員の前で自分のいいところを見せようと張り切ってしまう
  • 自分の弱みを見せたくないと無理をしてしまう
  • 状態が悪いと施設に入れられてしまうと思い、見栄を張ってしまう
  • 家族に言われいやいや申請したが、サービスは使いたくないので頑張ってしまう

このような心理が働くことから、普段の能力以上の力を発揮してしまうこともあります。

普段そんなことをしていないのに、毎日散歩に出かけているとか、スポーツをしているとか。それいつの話?という話も次々出てくることもあります。認知症だからというのではなく、見栄を張りたい気持ちからの行動や言動に現れるのです。

さすがに調査員と言えども、嘘を完璧に見破ることはできません。できれば認定調査には必ずご家族や近しい人が誰か立ち会って、実際の状況と異なる返答をした場合は補足説明できるようにしておくことをお勧めします。

では、すでに「非該当(自立)」の認定が出てしまったらどうすべきか。いくつかの対応方法を紹介します。

非該当と認定された場合の対応3つ

非該当と認定された場合の対応を3つ紹介します。

介護保険認定の再申請

介護保険認定の再申請を行うことができます。

介護保険の認定調査に立ち会う娘と本人

認定が出ている場合、介護保険の認定を変更する場合は「区分変更」という申請ですが、非該当の方は認定が出ていませんので、「新規申請」として再度申請します。

また同じプロセスを一から行います。申請をするためにはまずは主治医に介護認定の結果が非該当だったことを報告し、「もう一度意見書を書いてもらえますか」とお願いしましょう。医師によっては、「また同じ非該当になるから意味がないよ」とおっしゃる方もいるかもしれません。もし意見書を書いてくれるということであれば、もう一度申請しましょう。

ただし、もう一度同じことを繰り返しても、また同じ結果、非該当になる確率もあります。必ず認定調査には立ち会って、家族等がどのようなことに負担を感じているのか、本人の普段の状態・動作はどのようなものかを説明しましょう。本人の前で伝えにくいことは、事前に伝えておくか、調査の終了後に本人のいない所でこっそり伝えましょう。

大事なのは、どれだけ手がかかっているのかを伝えることです。自分が対応しなければいけなかったことなどのエピソードや頻度をメモに取っておくといいでしょう。

認定再申請についてはこちらの記事も参考になります。

不服申し立て(審査請求)

介護保険では不服申し立てをすることもできます。介護保険では「審査請求」と呼ばれます。認定調査に問題があったのではないかという点を、不服申し立てによって明らかにします。

ただし、審査請求というのは介護認定のプロセス自体に何らかの違法や不当な扱いがあったかどうかを審査するものです。審査の対象は、認定の結果ではなく、そのプロセスです。たとえば以下のような問題があったときに審査請求を行います。

  • 認定調査に調査員が訪問しないで調査票を作成した
  • 調査員が必要な項目の調査を行わなかった
  • 調査員に明らかな違法行為があった

審査請求をする場合は決定から一か月以内に都道府県が設置している介護保険審査会に請求します。

ただし、結果だけを変更してほしい場合に審査請求をしても、認定の結果は変わりません。審査が終わって違法行為などがあったとしても、認定を得るためには再度介護認定の申請をしなければいけません。

そのため、介護認定の結果を変更したい場合であれば、審査請求をすることはあまりお勧めできません。

非該当のままで自治体のサービス・総合事業を利用する

非該当の認定のまま、ということもひとつの方法です。

とりあえず認定だけ受けておきたいということであれば、そのまま非該当でも問題ない場合も多いです。むしろ、本人としては「自分は自立していると認められた」というモチベーションになる場合もあります。

要介護・要支援の認定を受けていなくても利用できるサービスもあります。介護保険の認定がなくても、要支援の方が利用するのと同じ介護予防・日常生活支援総合事業を利用することは可能です。

地域包括支援センターに相談し、基本チェックリストの結果、介護予防のためのサービスが必要と判定されれば、介護認定を受けなくてもサービスを利用することができます。

サービスサービスの内容
訪問型サービス訪問介護と同様、ホームヘルパー等が自宅を訪問し、本人が困難な掃除・買物・洗濯・調理などの支援、身体的な介護などを行う。
通所型サービスデイサービスと同様、通いの場に参加して食事や機能訓練などのサービスを受ける。
その他自治体の独自サービス栄養改善や見守りなど、自治体独自のサービスメニュー

そのほかにも、自治体で行っている一般介護予防事業(運動教室や介護予防のための講習会など)に参加する、訪問看護であれば介護保険ではなく医療保険で利用する、医療機関でのリハビリに参加するなど、介護保険の認定がなくても利用できるサービスメニューもあります。

介護保険に選択肢を限定せず、どんなサービスが必要かを確認しましょう。

ただ、もしも今まで要支援や要介護の認定を受けて利用していたサービスがあるのに、非該当(自立)になってしまった場合、利用できなくなるサービスが出る可能性もありますので、継続が必要かどうかもよく確認しましょう。サービスの継続が必要な状況であれば早急に介護認定の再申請を行うことをお勧めします。

まとめ

介護認定で非該当と判定される方の理由や対応について解説しました。

介護認定は必ずしも予想通りのものになると限りません。非該当という認定が出る可能性もあることは頭の片隅に置いておきましょう。また、非該当でも利用できるサービスもあることを知っていると、慌てずに対応することができます。

要介護度の認定がどのランクにあるかが大事なのではなく、ご本人が自分らしく生活していくためにどんなサポートをしてあげるのが最適かを検討しましょう。

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この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

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