【介護認定を本人が拒否】どう対応する?親に介護保険の認定を受けてもらうには?

介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

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いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

介護保険の認定を親に受けてもらいたい。でも、親自身は「まだそんなもの必要ない!」と拒否をする。そんなケースも数多くあります。

どうやったら介護保険の認定を受けてもらえるのか・・・。そんな悩みを持つ方もいますので、紹介します。

ご家族
ご家族

実家で父が一人暮らしをしています。母が亡くなってから、ほとんど外にも出かけないし、近所に友人などもいないようで、趣味もなく、家に閉じこもっています。

高血圧と膝関節症があり、だんだん足腰も弱くなってきたようです。先日も腰を痛めて家事ができなくなったということで何日か手伝いに行ったんです。もう今は回復していますが、また同じようなことも起こるだろうと思っています。

そんなときのために、「もうそろそろ介護保険の認定を受けたら?」と話しているのですが、本人は納得しません。「そんなものはいらない」という一点張り。頑固なことはわかっていたのですが。今すぐ利用するのではなくても、ヘルパーさんなどを利用できるように、介護認定を受けてもらいたいと思っているのですが、難しいのでしょうか?

どうもありがとうございます。

頑固で介護保険の認定を受けたがらないご家族、たくさん見てきましたので気持ちは大変わかります。でも、離れて暮らす家族としてはやはり心配ですよね。

そこでこの記事では介護保険の必要性を感じていないご家族に介護認定を受けてもらうためのポイントを解説します。

【この記事を読んでほしい人】

  • 心配なので、親に介護保険の認定を受けてもらいたいと思っているご家族
  • 介護認定を拒否する高齢者の対応に困っている地域包括支援センターやケアマネジャー

【この記事で書いてあること】

  • 介護保険の認定を拒否するのには理由がある
  • 介護保険の認定を受けるメリットを理解してもらう必要がある
  • 認定を受けてもらうための3つのアプローチ

介護保険の認定を受けたくない理由

介護認定を受けてほしい、認定を受けてもらうためのアプローチについて

まずは本人の気持ちを理解することから始めたいと思います。

自尊心・プライドが許さない

自尊心やプライドから、「介護の認定を受けたくない」と考える方は多いです。自分のイメージがあり、自立している自分でいたいと思われています。

特に男性の場合は、社会的な地位やキャリアなども積み重ねてきた経験から、人の世話になる立場というのはプライドが許さないと感じることも多いようです。それがもとで「頑固」と言われる性格が形成されることがあります。

人が訪問することが不安・コミュニケーションが苦手

人が自宅に来ることを嫌がる方もいます。例えば、訪問介護のようなサービスだと、自宅にヘルパーが訪問して、中に入るのです。自分の生活を他人に見られてしまうことに抵抗を感じる人もたくさんいます。

また、もともと他人とコミュニケーションをとることが苦手で、他人とはできれば話したくないという方もいます。他人を遠ざけたいという思いが否定的な反応につながることがあります。人と関わることが苦手でデイサービスに行きたくないという方も多くいらっしゃいます。

そもそも面倒なことは嫌だ

そもそも面倒なことをしたくない、という方も多いです。介護保険も、契約や担当者会議や手続きなど利用するまでに様々な過程が必要になります。それらのことが煩わしく感じる方もいます。介護認定の流れなどはこちらの記事で解説しています。

そもそも、今の生活が多少不便であったとしても、自分の生活を変えたくないという気持ちが強い場合が多いです。何かを変えることに対して、保守的であったり、消極的な方は多いです。


困っている女性

3つの代表的な例をあげましたが、他にも様々な理由があります。これらの理由から介護の認定を受けることを拒否される方もたくさんいるのです。

本人の気持ちを無視して介護認定を無理やり受けさせるというのは得策ではありませんし、今後の家族関係・コミュニケーションに大きく支障が生じる場合もあるでしょう。なので、本人に納得してもらった上で話を進める方向にもっていきたいところです。

当然ですが、認定を申請したら認定調査が来るので、そこで本人が「帰ってください!」と言い出したら困ってしまいます。

さて、このような心情の方に対して、どのようなアプローチをするべきか。次の章でポイントを解説します。

介護保険のメリットを理解してもらう

介護保険の認定を受けることには様々なメリットがあります。まずはそのメリットを理解してもらえるよう、説明をすることも大事です。

「理屈ではわかっている」方もたくさんいらっしゃるかと思うのですが、十分理解できていない方も多いので、正しく理解することでハードルが低くなることがあります。

いざというときに利用ができる

すぐにサービスを使わなくてもいいことを伝えておくといいでしょう。別の記事でもお伝えしていますが、介護認定を受けている方全員がサービスを利用しているわけではありません。認定を受けていてもサービスを利用していない方は173万人もいます。

すぐにサービス使う必要はないから、本当に必要になったときに利用すればいいと伝えておくといいでしょう。必要がなければ、今の生活をそのまま続けられることを伝えることで、認定を受けるというハードルが低くなるかもしれません。

介護保険は自立支援のための制度

介護というと、オムツ交換や食事の介助などの身体的な介護をイメージされる方が多いです。ただ、介護保険で利用できるのは身体的な介護のサービスだけではありません。

例えば、福祉用具で歩行補助つえや入浴補助用具などの購入費用の補助、手すり取付などの住宅改修も介護保険で受けられるサービスです。お世話をしてもらうのではなく、自分でできることを増やすために介護保険のサービスを利用することもできます。

介護保険は、高齢者がお世話をしてもらう制度ではなく、高齢者が生活を自立できるように支援する制度です。まだまだ元気でいてもらうために介護保険を使うんだということを伝えられるといいでしょう。

認定を受けることに費用はかからない

経済的な不安を感じている方もいます。介護認定を受けることに費用はかからないことや、介護保険料や税金などの扱いも変わらないことなど、金銭的な負担は一切発生しないことは伝えておきましょう。

負担が発生するのは介護保険のサービスを利用する時だけなので、経済的な問題を機にされている方には必ず説明をしておきましょう。


経験したことのない介護保険について、様々な不安などはあると思いますが正しく理解することでハードルを下げることができます。要介護認定の基礎的な情報はこちらの記事にまとめていますので、参考にしてください。

正しく伝えるためには正しい知識が必要なので、心配な方は地域包括支援センター等に協力をお願いすることもおすすめします。

介護認定を受けてもらうためのアプローチ

介護認定を受けることをそれでも拒否する方に対して、どのようなアプローチがあるか。比較的効果のある3つの方法を紹介します。

1.本人が信頼している人から説得してもらう

子供の言うことは聞かないけれど、他の人の言うことは聞く、というパターンはよくあります。息子や娘の前ではいつまでも強い親でいたい。そんな思いがあるようです。身近な人だからこそ受け入れられないこともあるということです。

子や妻の言うことは聞かなくても、他の人から説得されるとすんなり受け入れられることもあります。特別に親しくしている友人や親戚など、本人が信頼して懇意にしている人がいるのであれば、その人からの話を受け容れることがありますので、協力をお願いするといいでしょう。

2.かかりつけ医に説得してもらう

A highly realistic, 8K resolution image of a Japanese internal medicine doctor with a calm, gentle smile. The doctor is dressed in a white lab coat with a stethoscope around their neck, standing in a well-lit, modern clinic. The background features medical equipment and shelves with neatly arranged medical supplies. The doctor's expression is warm and reassuring, making patients feel at ease. The lighting highlights the doctor's facial features, emphasizing their professional yet approachable demeanor.

介護保険の認定を受けるためには主治医・かかりつけ医が必要です。子供の言うことは聞かなくても、病院に通っているということは少なからず医者・医療に対する信頼はあるということです。

医者の言うことは素直に聞く方は非常に多いのです。医者から、「認定受けたら?」「みんな受けてるよ?」と一言言ってもらえるとスムーズに話が進むことが多いです。いずれにしても、介護保険認定には主治医意見書が必要ですので、かかりつけ医とのコミュニケーションは欠かせません。

診察前に、介護保険の認定を勧めてほしい旨を手紙を書いてクリニックの受付に渡したりするのもいいでしょう。先生が「書類書くよ」と言ってくれれば「お願いします」と話は進むことが多いです。

3.本人が必要と感じる時を待つ

説得しようとしても無理なようであれば、時間が解決するのを待つのが必要かもしれません。

タイミングが大事なので、そのタイミングでないのに無理にごり押しをしていると、本人がかたくなに拒否してしまうこともあります。

提案は一度ではなく、折を見て何度か声をかけるようにしましょう。きっと、必要だと感じるときは来るのです。その時にすぐに対応できるように準備をしておくことが必要です。

また、本人からのSOSをキャッチできるような状態を整えておくことも必要です。本人があまり発信をしないようであれば、近所の方などに声をかけておくといいでしょう。「最近、全然買い物にもいかないようだけど・・・」、とか、「歩き方がちょっとおかしいから声を掛けたら転んだって言っていたよ」とか、いろいろな情報を教えてくれることもあります。

近隣の方に声をかけておくと、少なからず気にかけてくれますので、変化をキャッチする重要な情報源となります。そのためにも、近隣との関係性は良好に保っておくことがいいでしょう。

また、条件を付けておくのもいいでしょう。「次に転んだら、今度こそ介護保険申請しましょう」など、約束をしておくことで本人も納得ができるでしょう。

まとめ

介護認定を受けてほしいけれど本人が拒否をするというケースについて解説しました。

もちろん、介護認定を受けてもらえれば家族にとってもひとつの安心材料となります。しかし、本人の気持ちも大事にしなければいけません。本人の気持ちをしっかり受け止め、本人の気持ちを尊重してあげることもひとつの選択です。

介護認定の申請も、介護サービスの利用も、タイミングが大事です。タイミングが来ていなければ何も動かないので、その時期が来るのを待つことも大事です。

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この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

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