いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
質問「ケアマネジャーさんにお茶は出す?出さない?」
ユーザー様より質問をいただきましたので紹介します。
この間介護認定の結果が出て、要介護1。地域包括支援センターでケアマネジャーさんを紹介してもらって、明後日、ケアマネジャーさんが来てくれることになりました。
ケアマネジャーさんに会うのは初めてなので、不安もありますが、いろいろ相談していこうと思っています。
長いお付き合いになると思うので、何かお出しした方がいいのかしら。
お茶だけだといけないと思うのでお茶菓子も必要だと思うけれど、何が好きなのかもわからないですし。
こういったとき、みなさんはどうしているのかしら?
ケアマネジャーさんにお茶を出した方がいいかという質問でした。
在宅介護をしていると、いろんな方がご自宅を訪問されますので、どう接したらいいのか、悩む方もいるようです。
それでは介決サポーターに回答してもらいましょう。
結論:ケアマネジャーにお茶を出す必要はない
結論として先に言うと、ケアマネジャーにお茶を出す必要はありません。
確かにお茶を用意されている方も多いですが、特におもてなしをする必要もないですし、もてなし方で対応の仕方を変えるようなケアマネは(たぶん)いません。お茶を出さなかったからと言って「非常識だ」「マナーができていない」と思われることはありません。
お茶を出すか出さないかでケアマネとの人間関係が変わることはないので、心配することはありません。
逆に、ケアマネとして お茶を出されても「困る」場合もあります。地域包括や居宅介護支援事業所に勤務していた経験も踏まえて、お茶を出されても困る事情を紹介します。
ケアマネがお茶を出されて「困る」事情3つ
ケアマネがお茶を出されても困る理由を3つ紹介します。
金品授受の禁止・法人の意向
まずひとつ目は、ケアマネが金品の授受を行うことは禁止されているという点です。ケアマネジャーが勤務する居宅介護支援事業所の重要事項説明書や契約書の条文の中には金品授受の禁止が明記されているかと思います。制度上、ケアマネが見返りに利益を得ることを禁止しています。
そんな~。お茶くらいいいじゃない
と言いたいところですが、お茶一杯もらうことすら禁止にしている法人もあります。公平で中立でなければいけない法人の倫理や職業倫理から、お茶も受け取らないケアマネが多いことは事実です。
このような金品授受の禁止条項はケアマネジャーの初回訪問の際にも書面上にも記載されていますので、ご確認いただければと思います。
ゆっくりする時間がない
ふたつ目は、そもそもゆっくりお茶を飲んでいる時間がないというもの。
ケアマネジャーの仕事は訪問してゆっくりお話を聞いて帰る、だけでは終わりません。その後も訪問が立て続けにあることが多く、また、事務所に戻ったらその記録やプランの修正、サービス事業所との連絡調整など様々な業務をこなさなければいけません。表面上は「話を聞きに来る」「相談を聞いてくれる」人なのかもしれませんが、一人当たりの担当人数も多く、あまり時間に余裕がありません。
また、お茶をたくさん飲んでトイレに行きたくなっても、次の訪問が控えていて、トイレに行く時間もないなんてことも・・・。
「ゆっくりしていってね」とお茶を出されても、あまりゆっくりできないというのがケアマネジャーの実情です。ケアマネジャーの業務内容についてはこちらの記事でまとめていますのでお時間があればご参照ください。
感染症予防のため
みっつ目は感染症予防のためです。
新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策で、ケアマネジャーは訪問時にはほぼマスクを着用しています。訪問先で飲食をするためにはマスクを外さなければいけませんし、飲食による感染の可能性もあります。
利用者宅を訪問して回るケアマネジャーが感染を拡大してしまうことは避けなければいけません。マスクを外す行為を避けるためにも、お茶を飲むという行為は断るケースが多いです。
以上、ケアマネジャーがお茶を出されても困る事情3つを紹介しました。
お茶がダメなら、何だったら受け取ってくれるの?
お茶を出してもダメ。お茶菓子を出してもダメ。何だったら受け取ってくれるのかしら?
根本的にはお茶だけでなく、何にしても贈り物は金品の授受になるので厳密にいえばNGです。
もちろん、なんかいろいろもらったことはあります。特に認知症の方で、何か渡さないと本人の気が済まないという場合は何かもらうという場合もあります(もらったふりして元に戻すことも多いですが)。中には、受け取らないと断っても無理やりカバンの中に押し込んでくるツワモノも・・・。缶ビールを押し込まれたときもありました・・・。
昔の年代の方は何かを用意することで親愛の情を表現することが多いので、その感情もわかります。客人をもてなすのがマナーだ、と教えられてきたことについてもわかります。ですが、あまりケアマネさんに無理に押し付けようとするとかえって迷惑になる場合がありますので、それを理解いただければと思います。
ケアマネジャーの訪問は基本的には月一回。そんなに頻繁ではないと言っても、毎回お茶を準備することにも手間がかかります。ご家族が用意するとしても、日々、在宅介護で大きな介護負担を背負っている真っ只中のご家庭。負担になることが増えることをケアマネジャーも望んでいません。
もしマナーとしていうならばお茶を出す、出さないどちらが正しいかと言えば、ケアマネジャーさんにはむしろお茶を出さない方が正しいマナーと言えます。
食べ物や贈り物よりも、むしろ
- 電話に出てくれる、出れなくても折り返してくれる、
- 困った時には相談をしてくれる、
- ケアマネにケアマネの仕事以外の無理な注文をお願いしない
以上のようにコミュニケーションが良好なご利用者またはご家族の方が本当にありがたいと思います。ケアマネとの人間関係を重視するのであれば、モノを渡す渡さない・お茶を出す出さないではなく、コミュニケーションがとりやすい状況が続いていることの方が人間関係としてもスムーズに進みます。
ケアマネジャーの立場を理解した上で、いい関係を作ることができると、在宅介護の要ともなる大きな安心感を得ることができます。
サービスが終了した後にお礼を伝えたい、という場合も金品や贈り物ではなく、言葉で伝えることがいいと思います。詳しくはこちらの記事でケアマネへのお礼について解説しています。
お茶も飲まないなんて「事務的で冷たい」という印象を持たれる方もいますが、そのような事情があることをご理解いただければと思います。
認定調査員にはお茶は出す?出さない?
要介護認定のための訪問調査を行う調査員にも同様、お茶を出す必要はありません。
認定調査員は市区町村の職員もしくは市区町村から委託を受けた事業者の場合もあります。特に法令で禁止されているわけではありませんが、訪問先で何かをいただくということを禁止している場合が多いので、お茶やお茶菓子も受け取っていただけない場合もあります。
ただ、ケアマネの定期訪問よりも、認定調査は質問項目が多く、時間がかかる場合が多いので、あまりにも時間が長くなるようであれば様子を見てお茶をお勧めしてみてもいいかもしれません。
当然ですが、お茶やお茶菓子の内容、マナーなどで調査の結果が異なることはありません。
蛇足ですが、認定調査の時には気持ちが張って普段よりしっかりされる方もたくさんいます。普段は食事もむせこんでよく食べれない人が、認定調査の時にお煎餅をバリバリ食べていたりすると、調査員に「あ、嚥下いいですね。嚥下は【できる】にチェックしておきますね」なんて言われてしまいかねないので、念のためご注意を。
ホームヘルパーさんにはお茶を出す?出さない?
ケアマネジャーさんではなく、ホームヘルパーさんにはどうしたらいい?
自宅を訪問し、身体介護や生活援助といったサービスを行うホームヘルパーさんにはどうでしょう。こちらもケアマネジャー同様、お茶を受け取ってくれない確率が高いです。おそらく初回の契約時にもお茶などを出さないようにと説明している事業所が多いと思います。
ヘルパーの多くは自分で水筒などを持って移動していますし、基本的には気遣いすることは不要です。また、ヘルパーはケアマネジャーよりも訪問頻度が多く、毎回お茶を用意することも負担に感じるようになります。
訪問介護事業所のホームヘルパーと同様、訪問看護師や訪問リハビリのスタッフなどにも同じように、お茶などでもてなすことは考えなくても大丈夫です。
外を移動しているケアマネジャーやホームヘルパー。暑い日にも駆け回り、お茶の一杯でも・・・という気持ちもあるかと思いますが、出す出さないどちらが正解かと言われたら「出さない」が正しいと理解しておきましょう。その代わりに、もしできたら感謝の一言をかけていただくことが理想だと思います。
以上、ケアマネジャーやホームヘルパーへお茶を出すか出さないか、疑問にお答えしました。
※ちなみにこのページのタイトル画像に使っている湯呑みを手にした写真はBing Image CreaterというAIが作成した画像となっています。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
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