ケアマネジャーへのお礼、渡す?渡さない?感謝の伝え方とマナー

介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

お世話になった人に感謝の気持ちを伝えたい。

在宅介護をする家族は様々な不安や悩みを抱えることになります。そんな家族に寄り添い、在宅介護をサポートしてきたケアマネジャーに、感謝の気持ちを伝えたいと考えている方は本当に多いです。施設に入所した、またはお亡くなりになった後で、お世話になったケアマネジャーにお礼を伝えたいという声をよく聞きます。

介護者
介護者

ケアマネジャーさんにとてもよくしてもらいました。認知症の問題行動で、徘徊や幻覚がひどく、毎日介護が大変でした。でも、ケアマネジャーさんがデイサービスを紹介してくれて、次にショートステイを紹介してくれて、認知症の専門医を紹介してくれて。それでやっと在宅介護に少しずつ希望が見えてきました。幻覚や物盗られ妄想への対応方法なども教えてくれて、そのおかげで少し肩の力を抜いて介護をできるようになりました。

施設の入所が決まったのもケアマネジャーさんが申し込みの書類の書き方を教えてくれたり、施設側と連絡を取り合ったりしてくれたおかげです。

施設入所して一か月。ようやく落ち着いてきたので、お世話になったケアマネジャーさんに何かお礼の品を渡したいんですけれど、どんなものがいいのでしょうか。それとも、渡すとかえって迷惑になってしまうのでしょうか。

ケアマネジャーに対してどのようなお礼が適切なのか金品を渡すことがマナー違反にならないかといった悩みを持っている方もいると思います。

この記事では、ケアマネジャーへの感謝をどのように伝えるべきか、お礼の伝え方のマナーについてご紹介します。

【この記事を読んでほしい人】

  • 施設入所までお世話になったケアマネジャーさんにお礼を伝えたい人
  • 最後まで関わってくれたケアマネジャーさんにどうお礼を伝えたらいいか悩んでいる人
  • ケアマネジャーにお礼を渡さないのはマナー違反なのか心配な人

【この記事でお伝えしていること】

  • ケアマネジャーにお礼を渡す必要はない
  • ケアマネジャーは金品の授受が禁止されている
  • 法人への寄付などの方法もあり

ケアマネジャーは立場上、お礼の金品を受け取るのか

ケアマネジャーはお礼を受け取らない

ケアマネへのお礼「受け取らないことが基本」

結論から先に申しますと、大多数のケアマネジャーはお礼の金品を受け取ることはありません。なぜかというと、ケアマネジャーは公益性の高い職業であり、金品の授受が禁止されていることが多いからです。

介護保険の法律上で利用者からの金品の授受を厳密に禁止している文言自体はありません。
ただ、居宅介護支援事業所を運営する法人として、公平性・中立性の高い事業として、金品の授受を全面禁止する場合が多いのが現実です。

事業者から金品の授受を通して利用者を紹介・斡旋することを禁止している文面はあります。いわゆる袖の下をもらって、その代わりに利用者を紹介するとか、紹介料を受け取るとか、そういったことは禁止されています。利用者からの金品授受についての文言は特にありません。
とはいえ、金品の授受に関しては誰からであれ、受け取ってはいけないという意識も浸透しています。

このような事情から、これまでの支援のお礼としてケアマネジャーが金品やギフトを受け取ることはあまりありません。ケアマネジャーの報酬は、居宅介護支援費という介護保険上の介護報酬をもとにしており、公正中立な立場を維持する存在となっています。

お金をもらっているから特定の利用者を優遇する、贈り物を受け取っているから贔屓にしているということはありませんし、そう疑われないように、金品の受け取りに関しては極めて厳格にしている傾向があります。

そのため、ケアマネジャー自身もお礼の金品を期待することはありませんし、もちろん要求することもありません。支援の終了した利用者として、思い入れはあるかもしれませんが、終了した以上は個人的な付き合いや関係を持つことには消極的になります。

つまり、どんな御礼を渡したらいいかという質問に対して、マナーとしてはお礼の金品は渡さない方がいいというのが正解です。お心づけ、お茶代、手間賃など、いずれの名目でも金品の授受は控えることをお勧めします。

介護施設や病院との比較

ナースステーションでドーナツを食べようとする看護師

同じようにお礼を伝えられる場面が多いのが介護施設や病院です。こちらも建前上は贈り物などを禁止しています。とはいっても、比較的、介護施設や病院ではこの金品の贈答に関するルールはゆるいことが一般的です。

施設や病院には多くの職員が勤務しており、勤務の休憩時間に食べてほしいと、お菓子を持ってこられる方も多いです。一番の違いは「個人」に対する贈り物か、「多数」に対する贈り物かという違いです。「みなさんで召し上がってください」と言われると、受け取る側の抵抗感も薄くなり、高額なものでなければ比較的受け取ってくれる場合が多いです。

その反面、ケアマネジャーはコンプライアンスや法令遵守が特に求められる公共性の高い職業であるため、介護施設や病院よりもお礼の授受については厳格に対応する場合が多いと覚えておきましょう。

ケアマネジャーの本音

ケアマネジャーの本音はどうでしょう。

某ケアマネ
某ケアマネ

お礼に関しては必ずお断りしています。でも、実際のところ、「どうしても」と言われて、最終的には断り切れなくて受け取るということもあります。気持ち自体は大変ありがたいのですが。

亡くなられたご主人の遺品であるジャケットを「もらってほしい、あまり着ていないしモノはすごいいから、お願い!」と言われて、結局最終的には受け取ったのですが、ちょっと困っています。これまでも結果として断り切れずに受け取ったものもありますが、思い入れのあるものをいただくのはちょっと・・・。

言葉を選びながらですが、贈り物も受け取る側にとって迷惑になることがあるようです。感謝の気持ちを伝えるのも相手の迷惑にならないようにしたいですね。

感謝の気持ちを伝える方法

では、お世話になったケアマネジャーに、お礼や感謝の気持ちをどのように伝えればいいのでしょうか

電話や手紙・メールなど

電話や手紙・メールなどで感謝を伝えることがいいでしょう。ケアマネジャーは多忙なので、電話よりも手紙やメールの方が業務の支障になりません。迷惑にならない感謝の伝え方としては、電話よりも手紙やメールの方がお勧めです。

また、施設入所の場合などは、特に近況について伝えるといいでしょう。現在、施設でどんな生活をしているのか、本人の様子はどうかなどを伝えるとケアマネジャーも状況がわかって安心するでしょう。また、施設での暮らしの情報を通して、他の利用者に施設を紹介する際の参考としても貴重な情報になります。

法人への寄付

それでも、どうしてもお渡ししたい、という場合。
もしケアマネが社会福祉法人に所属しているのであれば社会福祉法人への寄付という形でお礼をすることができます。社会福祉法人への寄付についてはケアマネジャーに相談するよりも、法人事務局に直接相談することをお勧めします。

寄付という形であれば公正で透明性を確保した状態でお礼をすることができます。

某ケアマネ
某ケアマネ

利用者さんの息子様から、缶ビールを大量に持っていってほしいと言われました。本人に飲まれると困るからもらっていってくれと言われて・・・。社会福祉法人に努めていたので、形式上法人への寄付という形にさせていただいて、法人からは寄付のお礼状も後で発行していただきました。
※ あ、ビールは歓送迎会の時に美味しく施設の職員の方々と一緒にいただきました。

お菓子だったら受け取ってくれるか?

お菓子くらいだったら受け取ってくれるケアマネもいるのでしょうか?
これはあくまで運営法人の考え方と、ケアマネ個人の考え方次第なので、受け取る場合もあります。ただ、もしも渡すというのであれば、あくまでお菓子などの消耗品に限定することをお勧めします。また、それでも受け取ってもらえない可能性の方が高いことを理解しておきましょう。

お茶やお茶菓子だったら・・・という疑問に関しては、こちらの記事にまとめていますのでご覧ください。

以上、ケアマネジャーへのお礼・感謝の伝え方について解説しました。

よくある質問

Q
訪問看護師さんやホームヘルパーさんも受け取ってくれないのでしょうか
A

訪問看護師やホームヘルパーの方がケアマネよりもお礼を受け取ってくれる可能性は高いです。これは職業意識・コンプライアンス意識の違いもありますが、訪問看護やホームヘルパーは事業所内のチームで連携して動くことが多く、「みなさんで」と言われると断りにくいため、受け取ってくれる傾向は多いです。もちろん、法人として一切禁止しているところもありますので、その点は必ずご理解下さい。

Q
ショートステイを初めて利用するのですが、利用最終日にお礼を渡すべき?
A

病院への入院で必ずお礼を持ってこられる方もいます。それと同じように、ショートステイでもお礼を持って行った方がいいのでしょうかと質問をされることもあります。病院と違って、ショートステイは比較的繰り返し利用する回数も多いので、よほどの長期間でない限りはお礼の品物なども必要ありません。

Q
渡されて一番困るものってなんですか?
A

おそらくお金・現金でしょう。当然どの法人も禁止をしていますし、それが世間にもし広まったら法人としての社会的信用も失ってしまいます。なので、お金を渡すことは絶対に避けた方がいいと思います。ギフトカード・商品券なども同様です。
個人的にはいただいたことはありませんが、今まで断り切れなくて受け取ったものには、電動カミソリ、ベルトなどもあります。

Q
お歳暮やお中元などは受け取ってもらえますか?
A

これも同様に金品の授受になってしまいますので禁止にされています。お歳暮やお中元などはお付き合いの古くからある風習として大事にされている方も多いと思いますが、個人ではなく、ケアマネジャーはあくまで法人の一職員として勤務していますので、お歳暮やお中元などの贈答は適切ではありません。

まとめ

感謝の気持ちを伝えたいというのは人としてごくごく普通の感情です。ただ、金品でお渡ししたい、ということになるとハードルが高くなるのが介護業界です。

金品でお礼を伝えることにこだわらず、言葉や手紙などで感謝の気持ちを伝えることをお勧めします。無理に金品でお礼を伝えようとすると、相手に迷惑をかけてしまう可能性もあります。感謝の気持ちは押しつけるのではなく、相手を思いやる気持ちが第一です。

言葉で伝えれば、きっとケアマネさんにもあなたの感謝の気持ちは伝わると思います

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この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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