いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
介護保険の要介護認定には有効期間が設定されています。
では、もしこの有効期限が切れてしまったらどうなるのでしょうか。
介護保険で要支援1の認定を受けていたのですが、介護保険のサービスも結局使わないままでいました。思い出して介護保険証を見たら有効期限が過ぎていることに気が付きました。介護保険の認定期限が切れたらすぐに更新の手続きをしなくちゃいけないのでしょうか?
ありがとうございます。記事の中でも触れますが、現在介護保険のサービスを利用していない方に関しては認定期限が来ても大丈夫です。あわてて手続きをしないでも大丈夫ですよ。介護保険のサービスが必要になったときに有効な介護保険証があればいいんですから。
介護保険のサービスを利用している人と利用していない人で大きな違いがありますが、それも含めてまとめましたので最後まで是非お付き合いください。
【この記事を読んでほしい人】
- 介護保険の認定の有効期限が切れていたことに気が付いた方
- 担当利用者の認定更新を忘れて慌てているケアマネジャー
- 有効期限がだいぶ先の話なので、更新の手続きを忘れそうだなと心配している方
【この記事でお伝えしていること】
- サービスを利用している人は、期限切れ期間中のサービス利用が全額自費になる
- サービスを利用していない人には大きな影響はないが、更新申請の方がメリットも
- 期限切れを防止するためのアイデア
要介護認定には有効期限がある
要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必要な基礎的な手続きです。要介護認定には必ず有効期限が設定されています。新規の認定や区分変更であれば通常6か月から1年、更新は6か月から最長で4年間の有効期間が設定されます。介護保険の認定有効期限は、利用者の身体状況や介護の必要性が変化することを考慮し、定期的な見直しを目的としています。
認定期間は以下のようなルールに基づいて決定されます。
申請区分 | 原則の認定有効期間 | 延長可能な認定有効期間 | |
---|---|---|---|
新規申請 | 6ヵ月 | 3ヵ月~12ヵ月 | |
区分変更申請 | 6ヵ月 | 3ヵ月~12ヵ月 | |
更新申請 | 要支援→要支援 | 12ヵ月 | 3ヵ月~48カ月 |
要支援→要介護 | 12ヵ月 | 3ヵ月~36ヵ月 | |
要介護→要支援 | 12ヵ月 | 3ヵ月~36ヵ月 | |
要介護→要介護 | 12ヵ月 | 3ヵ月~48カ月 |
要介護認定は、自治体で行われる介護認定審査会の判断で行われるため、地域によって若干の違いがある場合があります。48カ月の認定がバンバン出る地域と、比較的短めに期間を区切る場合もあります。
介護認定の有効期限を過ぎると、介護サービスが一時的に停止されるリスクがあるため、事前に更新手続きを行うことが重要です。ですが、介護サービスを利用していない場合、期限切れの影響はどうなのでしょうか?次の章で詳しく見ていきましょう。
期限切れによる影響は?介護保険サービスを利用している人の場合
介護保険サービスを利用している人の場合
介護保険サービスを利用している人の場合、通常はケアマネジャーが要介護認定の更新手続きを代行することが多いため、手続きの負担は軽減されます。通常であれば、更新申請の手続きができる認定期限の60日前に認定更新申請書を役所に提出するケアマネジャーさんが多いです。
更新手続きが遅れると、認定期限までに保険証が届かず、次の期間の要介護度がわからない状況で暫定の計画書を作らなければいけないなど、手間も増え、様々な仮定をしながらマネジメントをする必要があります。そのため、提出は有効期限の60日前にあわせてきっちり行うケアマネジャーが多いです。
しかし、ケアマネジャーも人間であるため、ごく稀に更新手続きを忘れてしまう可能性があります。滅多にありませんが、区分変更や暫定のケアプランなど、認定期間がイレギュラーな場合には見落としやすくなります。
このような事態が起きると、サービスが一時停止し、利用者とその家族に大きな影響を与えることがあります。
たとえば、デイサービスや訪問介護が突然利用できなくなると、介護を担う家族に過度な負担がかかります。福祉用具のレンタルも自費契約の期間が発生する可能性があります。適切なサービスが利用できない状況もあり得るため、生活の質が大きく低下する可能性があります。
具体例:認定期限切れでサービス利用料金はどうなる?
更新申請・ギリギリ間に合った
・・・のか?
たとえば、5月31日で認定期限切れであるにもかかわらず、認定期間中に更新申請を行わなかった場合を仮定しましょう。期限切れに気が付かずに6月も従来通りサービスを利用し、6月10日に気が付き、慌てて更新申請を行ったとします。
その場合、6月1日から6月9日まで利用した訪問介護やデイサービスの分は介護保険の認定期間外のため、介護保険での請求ができません。つまり、この9日間に利用したサービスは全額自己負担の扱いとなります。認定の更新申請を行った日からは次の認定が遡って有効になりますので、介護保険のサービスを暫定ケアプランで利用することができます。
ただし、更新の結果、認定が非該当(自立)になった場合は全額自己負担となります。
また、介護認定区分が変わった場合、デイサービスやショートステイを変更前・変更後どちらの介護度の料金を基準に請求するのかなど、詳細に関しては自費契約になるため事業所によって異なります。各事業所とご相談ください。
また、福祉用具に関しては基本は月単位の請求ですので、月内に更新申請ができれば日割の全額自己負担を請求することはなく、全額介護保険での請求する場合が多いです。
利用者・家族だけでなく、サービスを提供する事業所側も様々な対応が必要となりますので、できればこのようなトラブルはない方がいいですね。
ケアマネをしていた立場からすると、考えるだけでも身の毛もよだつような話ですね。細心の注意をしていても、訪問した後で、「何か忘れてるような・・・」と、帰り道で思い出してUターンして訪問するなんてことも、あったよな(一度だけではなく)。更新の手続きを忘れたということはありませんでしたが・・・。
更新申請を忘れていたケアマネジャーの責任問題について
介護保険認定更新はケアマネジャーがやるべきことだから、ケアマネジャーの落ち度だ、と思われる方もいるかと思います。
ただ、介護保険制度上の居宅介護支援事業所の運営基準としては介護保険の更新手続きを役所で行うことはケアマネジャーの業務として明確に位置づけられているわけではありません。あくまで支援の一環として行っているため、介護保険上の法令違反には当たりません。あとは、居宅介護支援事業所との契約上に更新の手続きについてどう書いてあるかどうかで責任が変わってきます。
利用者側も有効期限は把握しておくことをお勧めします
そのため、サービス利用者側もケアマネジャー任せにせず、有効期限を把握しておくことが重要です。
更新申請はケアマネジャー(居宅介護支援事業所)で代行申請できますが、署名欄などもあるので、必ずケアマネジャーからの確認があるはずです。認定期限の60日前なのに、まだケアマネさんと更新申請の話もしていないけど・・・忘れてないかしら?と思ったらケアマネジャーに確認してみましょう。
ここまでは介護保険サービスを利用している方の場合です。次に介護保険サービスを利用していない場合で見ていきましょう。
介護保険サービスを使っていない人の場合
あわてて申請をする必要はありません
一方で、介護保険サービスを利用していない場合はどうでしょう。介護保険の認定を受けていても、サービスを利用していない方もたくさんいます。「何かあったときのための保険に」「とりあえず認定だけ」と介護認定を受ける方も多いのです。
認定は受けているけれどサービスは利用していない。この場合は、有効期限が切れても直ちに影響はありません。介護保険のサービスを利用することが必要になったときに認定があればいいので、慌てて更新申請をしに役所に飛び込む必要もありません。
新規申請と更新申請の違い
しかし、ここで見落とせないのが「新規申請」と「更新申請」の扱いの違いです。
認定期限を1日でも過ぎてしまうと、更新申請ではなく、新規申請という扱いになります。認定期限が過ぎてしまうと、以前認定を受けていたことがあっても、新規申請として処理されます。では、新規申請と更新申請で何が違うのか。一番の違いは認定の期間です。
- 新規申請:認定後の有効期限は最長12か月。状態が安定していても、1年以上の認定期間が出ることはありませんので、またすぐに更新申請が必要になります。
- 更新申請:更新申請では状態が安定しており、前回と同じ要介護度になる場合は、最長で48か月まで有効期限が設定されます。更新間隔が伸びることにより、認定の手間が大幅に減ります。
この違いは、更新に係る手間や精神的なゆとりにも影響します。更新で最長の有効期限が得られれば、その間は必要な時に介護保険サービスが利用可能です。更新の方が一般的に期間が長くなるということであれば、やはり更新の方がメリットは大きいです。
市町村によっても異なりますが、新規申請は市町村の職員が行うが、更新申請は委託先や居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼をするという市町村もあります。以前関わってもらっていたケアマネジャーに調査に来てもらえる場合などもあり、より正確な情報を反映することができます。
こういったメリットを考えれば、できれば更新申請ができる期間中(認定有効期限内)に手続きをしたいですね。
期限切れを避けるためにできること
認定期限切れになるとデメリットもあることがわかります。
では、認定期限切れを防ぐためにはどうしたらいいでしょうか。以下の3つのポイントを紹介します。
- ケアプランはできれば目の届くところに(サービスを利用している方)
ケアマネジャーが作成するケアプラン(居宅サービス計画)。ケアプランには介護保険の認定有効期間も掲載されています。ケアプランの目標設定も、介護保険の認定期間に合わせている場合が多く、目標の達成状況を確認しながら生活していると認定期限も自然と意識できます。
また、ケアマネジャーが毎月配布するサービス利用表にも認定有効期間が書いてありますので、念のため確認しておきましょう。 - 市町村からの郵便物には必ず目を通す
介護保険の認定を受けているにもかかわらず、認定期限が近付いている方には、役所から更新のお知らせが届きます。郵便をちゃんと見ていると、更新申請をしていないことに気付くことができます。 - リマインダーの設定
カレンダーアプリなどに介護保険の有効期限を入力しておくのもいいでしょう。カレンダーや手帳などに書いておくのもいいでしょう。ただ、数年先の期限となると、やっぱり忘れちゃいますよね。
特に家族が遠距離の場合など、サービスを利用していない方が介護保険の認定申請をするのはとても大変です。サービスの利用があり、ケアマネジャーが担当になっている場合は電話やメール等で確認しておくといいでしょう。
まとめ
介護認定の期限が切れても、サービスを利用していない方にとっては大きな心配は不要です。ただ、サービス利用中の方にとっては深刻な問題なので、忘れずに更新申請することが必要です。ケアマネジャーさんと相談しながら、更新などの手続きをしていくことが必要です。
認定有効期間は頭のどこか片隅に置いて、期限切れにならないように備えておきましょう。安心できる介護サービス体制の基本には介護保険の認定があります。意識していくことから始めましょう。
この記事を執筆・編集したのは
いえケア 編集部
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