いえケア 編集部
在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
在宅介護の強い味方、デイサービス。日中、通所介護事業所へ送迎付きで移動。リハビリテーションや食事・入浴・排せつなどの支援を提供するサービス。もちろん、介護者にとっては介護から一時的に解放され、リラックスする時間や家事などをする時間を確保することができます。
そんなデイサービスを利用したと思ったら、突然本人から「デイサービスがつまらない」「デイサービスに行きたくない」と言われること。実はよくあるんです。
義母がデイサービスを利用し始めてもうすぐ一か月なんですが、突然、本人から「デイサービスがつまらない」と言われたんです。スタッフのみなさんもみんないい人で、本人も納得して行くことになったのですが。
本人に聞いても、どこがいやとかではなくて、ただつまらないみたいで。でも言っていてもらえると本当に助かるからデイサービスは続けてほしいんです。
どうもありがとうございます。デイサービスがつまらない、という方も少なからずいます。無理に行かせ続けるということではなく、本人が少しでも「楽しい・行ってよかった」と思えるような環境になるように、相談していくといいでしょう。
【この記事を読んでほしい人】
- デイサービスがつまらない、と言われた利用者家族
- 担当利用者からデイサービスをやめたい、と言われたケアマネジャー
【この記事に書いてあること】
- 利用者がデイサービスをつまらないと感じる理由
- デイサービスに行きたくなる・デイサービスが楽しくなるための解決方法
デイサービスが「つまらない」「やめたい」と言われたら
「デイサービスがつまらない」「デイサービスが退屈過ぎる」「デイサービスをやめたい」と言われたときに、家族はどのように対処すればいいのか。
まずは、本人の話をよく聞くことから始めましょう。本人のいう「つまらない」がどのようなものなのか、その気持ちをより具体的に話してもらいましょう。不満が明確化すれば、それに対してのアプローチもはっきりします。
頭ごなしに「そんなこと言わないで!」「もう契約しているんだから!」「わがまま言わないで!」と抑えつけることは避けましょう。本人もますますデイサービスに行くことをネガティブに考えるようになります。本人の気持ちも大切にしながら話を聞く姿勢を忘れずに、サポートすることが重要です。
では、なぜ「デイサービスがつまらない」と感じるのか。代表的なパターンを紹介します。
デイサービスが「つまらない」「退屈」と感じる理由
デイサービスがつまらないと感じる理由について、代表的なパターンを3つ紹介します。
1.人間関係の問題
デイサービスでの人間関係がもとでつまらないと感じることがあります。最も多いのは話の合う人がいないことです。
デイサービスにもいろいろな方がいらっしゃいます。性別・年齢や性格、趣味、これまでの生活歴など、まったく異なる人たちが集まっている場所です。すべての人と仲良く円満に過ごすことはあり得ません。中には人間関係の中に溶け込めず、孤立感・孤独感を感じてしまう人もいます。
社交的な人であればそれほど高いハードルには思えないかもしれません。ただ、あまり社交的ではない方にとって、新しい人間関係をゼロから作っていくことは本当に大変なことに感じます。特に男性は慣れない場所に溶け込むことが苦手で、共通点のない人と交流することは苦手な傾向があります。
もともとデイサービスにあまりいい印象を持っておらず、最初から行きたくないと言われる方も多いです。特に男性に多いのですが、実際に行ってみてもうまくなじめなかったという方も多いのです。
また、利用者の中には認知症の方もいます。話が全くかみ合わないということもあり、コミュニケーションの取りにくい方も多くいます。
デイサービスでは、常に時間の隙間なくプログラムが動いているわけではなく、休憩時間や空き時間、フリーの時間などもあります。そんなとき、話をする相手がいないと、退屈し、時間を長く感じてしまいます。
気の合う仲間や友人ができないことが、デイサービスをつまらないと感じる大きな理由となっています。
2.レクの内容がつまらない
デイサービスの活動が自分に合わないと感じる方もいます。デイサービスのレクリエーションプログラム(レク)の中には、ときには幼稚に思えるような活動もあります。風船バレーや折り紙、単純な塗り絵などをしていると、幼稚な活動に参加していると思う場合があります。
もちろん、リハビリとしての効果や、他の方と一緒に活動することは自立支援のためにも非常に重要です。自分に合わないこと、やりたくないことをしていても、意欲が続きません。退屈で、自分には合わない、と感じる方は非常に多いです。
また、一人の時間の過ごし方にも不満を感じる方がいます。デイサービスでは個別レク・個別プログラムをする場合がありますが、自分の希望に合わないレクリエーションプログラムを提供されると不満を感じるかもしれません。「塗り絵なんかしたくないのに」「漢字クイズなんてつまらない」など、感じる方もいます。レクの内容と興味のミスマッチが起きている場合があります。
3.その他の理由
「デイサービスがつまらない」と感じる理由は他にもあります。
(1) 聞こえが悪い
意外と多いのが、耳の聞こえが悪いために会話ができない、スタッフの指示や説明が聞こえないという問題です。高齢者には難聴の方が多く、聞こえの問題で何を言っているのかわからないからつまらないという話をよく聞きます。
利用者間の会話でも、あまり大きな声になってしまうと迷惑をかけてしまうのでは?と感じてしまう人や、聞き取れないともう一回話してもらうのが申し訳なくて会話をあきらめてしまう人もいます。そういった経験が、会話やコミュニケーションを遠ざけてしまい、つまらないと感じてしまう原因となります。
これは大人数で過ごすデイサービスのような環境では雑音が多いために、聞き取ることができなくなるのです。特定の音だけを聞くようにするには、補聴器などの機器を活用することが推奨されます。ただ、補聴器は高価なので、諦めてしまう方も実際多いです。
聞こえの問題についてはこちらの記事にもまとめていますのでご参照ください。
基本的にはデイサービスに来ている人はみなさん少なからず耳が遠い人がほとんどです。なので、聞こえないというのはお互い様だと思って大丈夫です。何回聴き直しても、気にしない人が多いです。
大きな声を出すと怒っているように見えるかもしれないですが、全然気にしないでいいです。みなさん慣れっこです。あまり他人を気にしすぎると楽しめないですし、積極的に交流することをお勧めします。
(2) 送迎の長距離移動
これも意外に多いのが移動時間が苦痛というものです。デイサービスまでの送迎の車内、距離によっては長い時間を社内で過ごすことも。席などは基本的に乗る順で決まってしまうので、気が合わない方と一緒に車中で過ごすこともあります。長距離になるとそれがストレスに感じることもあります。
逆に運転手が面白い、ということでデイサービスに行くのを楽しいと感じる方もいます。実は車で過ごす時間は長いため、社内で過ごす時間が充実しているかも重要な要素です。
他にも様々な理由がありますが、デイサービスをつまらないと感じる理由は人それぞれあります。「わがまま」に思える言葉にも、その人にとっては深刻な理由であることも。
本人の要望をすべて満たすことは難しいと思いますが、優先順位を整理して、課題を解決していくことは必要でしょう。
家族ができる「つまらない」「不満」の解消法
デイサービス利用の「つまらない」を解消する方法もあります。
1. 人間関係を改善する工夫
(1) 話の合う人を見つける
簡単そうでなかなか難しいことですが、話の合う人を見つけるのが一番直接的な解決になります。デイサービスのレクや食事・入浴よりも、気の合う相手がいるということがデイサービスの利用への大きなモチベーションになります。
気の合う人を見つけるためには、デイサービスの職員にも協力を依頼しましょう。席替えで性格の合いそうな人の近くにしてもらうこともいいでしょう。デイサービスの職員は利用者の様子をよく見ているので、どんな人とだったら馴染みやすいか、ある程度推測できます。
また、共通の趣味や、郷里が近い人などと近い席にいると共通の話題から話もしやすくなります。
デイサービスの職員に相談することで解決することもできます。
(2) 曜日を変更してみる
曜日を変更するのもひとつの手段です。特に固定の曜日を希望するわけでなければ、別の曜日にすることも考えてみましょう。同じデイサービスでも、曜日によってデイサービスの様子は大きく異なります。賑やかな人が多い曜日、黙々と個人の活動をする方が多い曜日、男性が多い曜日など。認知症の方が多い曜日などもあります。曜日によって来る利用者が異なればまったく別のデイサービスに見えることもあります。
デイサービスによっては、月曜日は麻雀をする人が何人かいるけれど、火曜日は誰もいない。ということもあります。好きな麻雀ができる曜日に移るというのも効果的です。土日に営業しているデイサービスもありますので、ひょっとしたら土日が狙い目かもしれません。
このように、曜日を変更することはひとつの有効な解決策になります。デイサービスの職員、ケアマネジャーと相談して、本人に合う曜日を検討してみましょう。
2. レクリエーションプログラムを楽しむために
デイサービスでのレクリエーションを楽しめるようにすることも大事です。もちろん、デイサービスの活動内容に合わせて活動するのですが、個人レクは好きな活動をするといいでしょう。
デイサービスの職員に本人の趣味や興味を伝え、本人に合ったレクを提供してもらうこともできます。最初は本人の趣味や興味関心もわからないため、すぐに気に入った個人レクに出会えない場合もあります。何度か違ったレクを試すうちに、これが楽しい・またこれがやりたい、というレクも見つかります。
本人の趣味や興味関心などを、家族からデイサービスに伝えることで、楽しいと感じるレクの活動に出会える可能性が増えます。
- 昔は手芸が好きでいろいろなものを作ってくれていた
- 麻雀や将棋が好きで、よく友人とやっていたが、そのときは楽しそうにいつもよくしゃべっていた
- 性格が几帳面で一つのことに没頭しやすい性格
このようなヒントがあると、デイサービスの職員も「これが合いそう!」とレクリエーションの材料を提供してくれます。気に入ったレク活動をすることで、楽しいと感じる時間を増やすことができます。
最初はお互いに手探り状態なので、特に個人レクで楽しい時間が持てるようになるまで時間がかかることもあります。最初にどんなレクメニューがあるか聞いておくといいでしょう。ただし、家族が「いいな」と思うものと、本人がやりたいと思うことが一致しないことも多いので、本人の気持ちを確認しながら検討していくといいでしょう。
3. リハビリとしての効果を実感してもらう
デイサービスの中にはリハビリテーションを積極的に取り入れている事業所も多いです。つまらないという以前に、その効果を実感できないという方も多いです。
でも、利用を継続していることで、数字で目に見えるようになってくると、モチベーションは上がります。三カ月に一回の評価や測定を行っている事業所では、数字で機能改善の効果が見えるようになってきます。これがひとつのモチベーションとなります。身体能力的な機能改善だけでなく、生活リズムの改善や栄養状態の改善もデイサービスの効果として目に見えやすいです。
家族として、一緒に生活している中で気がつくこともあるでしょう。
- 最近、この段差を超えるときに「よいしょっ」って言わなくなったね。
- 立ち上がってから歩きはじめるのがスムーズになったね。
- 最近、夜中起きること少なくなったんじゃない?
このような小さな成功体験を積み重ねたり、人から評価されることで、デイサービスの効果を実感することができます。「続けてみようかな」という気持ちが、「やっぱりデイサービスに行った方がいい」という気持ちにつながります。
デイサービスの事業所を変更するのは効果的?
「つまらない」のが理由でデイサービス事業所を変更する方もいます。変更したデイサービスで楽しく利用を継続する方もいます。しかし、他のデイサービスに行っても長く続かない方もいます。あまり短絡的に別のデイサービスに変更しても、うまくいかない場合が多いのです。
まずは本人の気持ちをよく聞いたうえで、焦らずに結論を出すことが大切です。優先順位の高いこと、すぐに対応できることからまずは解決していきましょう。
デイサービスの事業所を変更するのが効果的なパターンの具体例は以下の通りです。
- 最初は入浴や食事を目的にデイサービスを検討したが、本人も元気になって、リハビリをもっと充実させたいという意向からリハビリ中心型のデイサービスに変更する。
- リハビリをメインに半日のデイサービスを利用していたが、状態が悪化。入浴も自宅でできなくなったことから、入浴のできない現在の半日デイから、入浴のできる一日のデイサービスに変更する。
- 認知症が進行し、他の利用者に危害を加えることがあり。一般のデイサービスでの受け入れが難しいことから、認知症対応型デイサービスに変更する。
もちろん、事業所を変えるのではなく、デイサービス自体をやめるという方法もあります。ただ、家族の負担や本人の社会参加、刺激を受ける機会の喪失などの意味で見ても、できればデイサービスを継続してほしいところでしょう。あまり短絡的な結論を求めず、しっかり本人と向き合うことが必要です。
まとめ
デイサービスが「つまらない」と感じる理由と解決策にスポットを当てました。人間関係やレクのプログラムなど、一人ひとり異なる様々な理由があります。
家族でサポートできることもあります。あまり短絡的に結論を急がず、しっかり話を受け止めましょう。最初はデイサービスをつまらなく感じる方も多いですが、数回続けていくうちにデイサービスが楽しくて仕方がない、デイサービスの日が待ち遠しい、という気持ちに変わる方もたくさん見てきました。
デイサービスに楽しく参加できるよう、家族の皆様のサポートもお願いします。
この記事を執筆・編集したのは
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