この記事を監修したのは
介護認定審査会委員/株式会社アテンド代表取締役
河北 美紀
訪問リハビリテーションとは医師の指示に基づいて自宅でリハビリテーション(以下、リハビリ)を受けることができる介護保険サービスです。この記事では、訪問リハビリについてわかりやすく説明しつつ、他のリハビリサービスとの違いや良い訪問リハビリ事業所を選ぶポイントについて紹介します。
★こんな人に読んでほしい!
- 訪問リハビリを勧められたけど、詳しくはわからない方
- 入院中で退院後リハビリが必要な方もしくはそのご家族
- 通所リハビリと訪問リハビリのどちらが自分に合っているか知りたい方
★この記事で解説していること
- 訪問リハビリテーションとは、医師の指示により自宅でリハビリを受けられる介護保険サービスで、利用者の約4割が改善している
- 訪問リハビリテーションの料金は地域や利用状況によって異なり、利用回数の上限は週6回まで
- 訪問リハビリテーションは通所型サービスを利用することが難しい人に向いているが、専門的な器具を使った本格的なリハビリができないことがデメリット
- 訪問リハビリテーションは、事業所の医師を受診しケアマネジャーからケアプランを作ってもらうことで利用できる
- 訪問リハビリテーションの事業所を選ぶときは、事業所の体制や実績・事業所医師の訪問診療の可否についてチェックする
1. 訪問リハビリテーションとは
1-1. 医師が必要と判断すれば受けられる
訪問リハビリテーションとは、心身の状況により外出して通院やデイケア(通所リハビリテーション)を利用することが難しい人が利用できる介護保険サービスです。
利用するためにはリハビリテーション専門医の判断や指示が必要です。訪問リハビリテーション事業所に勤務する医師の診察を受け、リハビリテーション指示書を発行してもらうことが必要になるので注意が必要です*1。
実際に訪問リハビリテーションを利用している人の原因別疾患としては脳卒中の後遺症や骨折によるものが多く、その他は以下のようになっています*1。
また、要介護度別の割合を見ると要介護1・2が多くなっており、近年は要支援1・2の利用割合が増加しています*1。
1-2. 訪問リハビリのサービス内容
訪問リハビリテーションは、自宅を訪問して医師の指示に基づくリハビリを提供します。主な職員は国家資格である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で、それぞれの分野に対応した専門的なリハビリを実施します。
訪問する職種によって詳細は異なりますが、具体的なサービス内容には以下のようなものがあります。
具体的なリハビリの内容は十人十色。利用者本人が日常生活上で困っていることを聞き取ったうえ、家族や担当のケアマネジャーとも話し合いながら決定します。ほかに利用している介護保険サービスがあれば複数の事業者間で情報を共有、連携しながら対応しています。
1-3. 退院後3ヶ月は短期集中でリハビリ可能
訪問リハビリテーションで利用できる特別なリハビリに、「短期集中リハビリテーション」があります。退院直後で身体機能がまだ不安定なときに利用することができる追加サービスです。おおむね週に2回以上訪問することで集中的にリハビリを実施し、早期に機能の回復を目指すことが目的で、退院・施設退所・要介護(要支援)認定を受けた日から3ヶ月以内の人は集中的に利用することができます*1。通常は週6回(120分)までしか訪問することはできませんが、短期集中リハビリテーションを実施できる期間は週12回(240分)まで訪問できるようになる点も特徴です。
実施するためには条件があるうえ料金も割増しになるものの、退院前や認定を受けた直後などの不安定な時期に集中的なリハビリを受けることができる点が魅力的な追加サービスです。ぜひ、積極的な利用がおすすめです。
1-4. 訪問リハビリで4割の人が改善・回復
訪問リハビリテーションを実施するメリットの中で最も重要なのが、利用することによって日常生活上の動作能力改善が期待できる点です。
厚生労働省の資料によると、訪問リハビリテーションを利用した人の中で利用開始6ヶ月後のADL(起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容などの動作)の能力を比較したところ、開始前に比べて42%の利用者が改善・回復したことが示されています*1。とくに、介護度が高ければ高いほど改善した割合が高くなっています。
訪問リハビリテーションは、要介護認定のレベルによる利用制限はありません*3。何らかの理由で外出が難しい人であれば利用できる可能性があります。まずは気軽に最寄りの地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談することをおすすめします。
1-5. 訪問リハビリ終了後は通所サービスへ移行することが可能
訪問リハビリテーション利用者は、おもに訪問介護(ホームヘルパー)・通所介護(デイサービス)・福祉用具(レンタルや購入)を併用している割合が多くなっています。これは自宅の中で利用できるものや送迎付きの介護サービスが中心であり、訪問リハビリテーションを利用している方は家の中での生活が中心になっているという傾向を示しています。
一方で、訪問リハビリテーションの利用を修了したあとは通所介護や通所リハビリテーションの利用割合が高くなっています*1。家庭内でリハビリを実施して身体機能が向上したあとは通所系のサービスに移行することで他者との交流や外出ができるようになり、より活動的な生活を送ることができるようになったと考えることができます。
訪問リハビリテーションで回復を図るのは、身体機能だけではありません。身体機能の回復を通じて、生活意欲や利用者本人の「自信」を取り戻し、社会生活上の自立を目指しているのです。
2. 訪問リハビリテーションの料金と頻度
2-1. 訪問リハビリの料金は地域や加算などで変わる
訪問リハビリは1回20分を基本とし、20分単位で料金が決められています。基本料金以外にも「加算」と呼ばれる人員体制やサービス内容による上乗せ料金があり、加算については事業所やサービス内容によって請求内容が異なります。実際は1回の訪問で40分(2回分)のリハビリを実施するケースがほとんど*1であり、この場合は1度の利用で2回分の料金が発生します。
具体的な料金表は以下の通りです。
訪問リハビリテーション 介護報酬の料金表*2
名称 | 単価 | |
基本単価 | 病院または診療所の場合 | 308円/20分 |
介護老人保健施設の場合 | ||
介護医療院の場合 | ||
移行支援加算 | 17円/日 | |
サービス提供体制強化加算(1) | 6円/回 | |
サービス提供体制強化加算(2) | 3円/回 | |
特別地域訪問リハビリテーション加算 | 1回15%増 | |
中山間地域などにおける小規模事業所加算 | 1回10%増 | |
中山間地域などに居住する者へのサービス提供加算 | 1回5%増 | |
短期集中リハビリテーション実施加算 | 200円/日 | |
リハビリテーションマネジメント加算 イ | 180円/月 | |
リハビリテーションマネジメント加算 ロ | 213円/月 | |
リハビリ事業所の医師が利用者・家族へ説明し同意を得た場合 | 270円/回 | |
事業所と同一建物の利用者またはこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合 | 1回10%減 | |
事業所と同一建物の利用者50人以上にサービスを行う場合 | 1回15%減 | |
事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合 | 50円減/回 | |
退院後早期のリハビリテーション実施に向けた退院時情報連携の推進 | 600円/回 | |
集中的な認知症リハビリテーションの推進 | 240円/日 | |
口腔管理に係る連携の強化 | 50円/回 |
介護予防訪問リハビリテーション 介護報酬の算定構造*7
名称 | 単価 | |
基本単価 | 病院または診療所の場合 | 298円/20分 |
介護老人保健施設の場合 | ||
介護医療院の場合 | ||
サービス提供体制強化加算(1) | 6円/回 | |
サービス提供体制強化加算(2) | 3円/回 | |
特別地域訪問リハビリテーション加算 | 15%増/回 | |
中山間地域などにおける小規模事業所加算 | 10%増/回 | |
中山間地域などに居住する者へのサービス提供加算 | 5%増/回 | |
短期集中リハビリテーション実施加算 | 200円/日 | |
事業所と同一建物の利用者またはこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合 | 10%減/回 | |
事業所と同一建物の利用者50人以上にサービスを行う場合 | 15%減/回 | |
事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合 | 50円減/回 | |
リハビリテーションの質の向上に向けた評価(要件を満たさない場合) | 30円減/回 |
※1単位=10円、自己負担割合1割の場合
訪問リハビリテーションの料金はこの通りですが、注意が必要な点があります。基本的に介護保険の利用料は1単位=10円・自己負担割合1割で計算されていますが、地域によって1単位=10~11.40円と料金の計算方法に違いがあり、自己負担割合も利用者の収入によって1~3割とばらつきがある点です*3。実際には住んでいる地域や上乗せされる加算・利用者の自己負担割合によって料金が異なります。通所リハビリテーションの利用料金が気になる方は事前に確認するようにしましょう。
2-2. 訪問リハビリは週3回までが一般的
訪問リハビリテーションを実施できる頻度は、1週間のうち6回(週合計120分)までと定められています*4。20分の訪問が1回とカウントされるため、たとえば1回の訪問で40分のリハビリを実施する場合は週3回まで訪問できることになります。
実際の利用データを確認すると、1回当たりの利用時間は40分がほとんどで、通常利用の場合は月8回(週1回、1回あたり40分)が利用者全体の31.3%と最も多くなっています。退院直後などに頻繁に訪問することで短期間での機能回復を目指す「短期集中リハビリテーション実施加算」を利用している人の場合は月16回(週2回、1回あたり40分)が全体の25.6%となっており、資料公開当時の上限である月24回(週3回、1回あたり40分)利用している人も10.6%いることがわかりました*1
このデータから、通常の場合は週1回(40分)、退院後3ヶ月以内に集中的にリハビリをする場合は週3回(40分×3回)という利用の仕方をしている人が多いのが現状であることがわかります。
3. ほかのリハビリサービスとの違い
3-1. 通所リハビリと訪問リハビリ、それぞれのメリット・デメリット
送迎付きで施設に通う「通所リハビリテーション」と自宅で実施する「訪問リハビリテーション」のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
通所リハビリテーション | さまざまな器具を使ったリハビリができる 入浴や食事、レクリエーションなどのサービスもある 外出による気分転換や家族の負担軽減効果も期待できる かかりつけ医の判断で利用できる | 外出や人がたくさんいるところが苦手な人には向かない 送迎の時間を自由に選ぶことができない(拘束時間が長い) |
訪問リハビリテーション | 外出せずに専門家のリハビリが受けられる 自分のペースでリハビリを実施できる 自宅内の動作で困っている部分や居住環境を見ながら指導を受けることができる 1回の利用時間が短いので、長時間縛られないで済む マンツーマンなので集中してリハビリできる | 器具を使ったリハビリが難しい(家庭内にあるものに限られる) リハビリを受けられる時間が短時間に限られている 基本的に別途訪問リハビリ事業所の医師を定期受診しなければならない*5 |
通所リハビリテーションは施設にて行うため、専門的な器具を活用した訓練を実施できる点が特徴です。積極的に筋力強化を行いたい場合や、リハビリにあわせて外出や人との交流・入浴・食事などのサービスも受けたい場合に利用することがおすすめです。
一方で訪問リハビリテーションは心身の事情で外出してのリハビリが困難な場合や、大人数が集まるところが苦手な人、自宅内の動作で具体的に困っている部分がある人に向いています。
3-2. 訪問看護のリハビリと違う点
訪問リハビリテーション以外に、じつは「訪問看護」でも自宅で専門職によるリハビリを受けることが可能です。訪問リハビリテーションと訪問看護によるリハビリの違いは、おもに利用料と利用するための条件です。誤解されやすいサービスですが、実際には介護保険制度上明確に区別されているサービスですので、ここで2つのサービスの違いを下表にまとめました。
(表:訪問リハビリテーションと訪問看護によるリハビリテーションの違い)
訪問リハビリテーション | 訪問看護 | |
リハビリの指示を出す医師*6、7 | 主治医が利用を許可し、事業所の医師が診察のうえで指示を出す | 利用者の主治医 |
派遣元 | 医療機関・介護老人保健施設 | 訪問看護ステーション |
利用料 | 307円/20分*2 | 293円/20分*2 |
利用条件 | 事業所に所属する医師が3ヶ月に1回診察する必要あり(一部例外あり)*8 | 訪問看護ステーションに所属する看護師が3ヶ月に1回訪問し、利用者の状態を評価する*9 |
メリット | 所属医師の診察により、より心身状態に適したリハビリを実施できる リハビリに特化した事業所である | 利用開始および継続にあたってわざわざ主治医以外を受診する必要がない 体調に不安がある場合は同一事業所の看護師の訪問による医療ケアも受けられる |
ここのメリットで示したように、より専門的なリハビリテーションを受けたい方は訪問リハビリテーションの利用がおすすめです。複数の医師を受診することが困難な方や、体調に不安があって看護師によるケアも一緒に受けたいと考えている方は訪問看護によるリハビリテーションの利用をおすすめします。
3-3.訪問マッサージとの違い
介護保険のサービスではありませんが、訪問マッサージも利用者の自宅に訪問してサービスを提供します。
訪問マッサージはあん摩マッサージ指圧師の資格を持った方が、医師の同意書を受けて訪問。血流の促進や痛みの緩和などを目的にマッサージを行います。最も大きな違いは目的の違いで、自立支援を目的にしたリハビリと、不調や苦痛の緩和を目的とするマッサージ。事業者によってはマッサージでも運動方法の指導をする場合もありますが、目的の違いを理解することが必要です。
下記の記事で訪問マッサージとリハビリの違いをまとめています。
4. 訪問リハビリテーションを受けるまでの流れ
介護保険制度における訪問リハビリテーションは、要支援1以上の認定を受けていて主治医が利用を認めた場合に利用することができます。要支援1・2の方は「介護予防訪問リハビリテーション」、要介護1以上の方は「訪問リハビリテーション」という名称で同等のサービスを利用します*10。
要介護(要支援)認定を受けている方が訪問リハビリテーションを利用する流れは、以下の通りです。
- 担当のケアマネジャーに訪問リハビリテーションを利用したい理由を説明し、相談。利用したい訪問リハビリテーション事業所を決める。
- 担当ケアマネジャーは利用者および家族との相談結果にもとづき、事業所に利用の可否を確認する。
- 担当ケアマネジャーは主治医に訪問リハビリテーションを利用する意思を伝え、訪問リハビリの利用を許可する旨が記載された書類や診療情報提供書などを作成してもらう。
- サービス担当者会議を開催し、ケアプランに訪問リハビリテーション利用について記載する。
- 訪問リハビリテーション事業所と契約を結ぶ
- 訪問リハビリテーション事業所に所属する医師の診察を受け、リハビリ計画書を作成してもらう(3ヶ月に1回)
- 利用開始
訪問リハビリは医療機関に併設されているのが一般的です。特に多いのは介護老人保健施設(老健)併設の訪問リハビリ事業所です。
5. よい訪問リハビリテーション事業所を選ぶ8つのポイント
5-1. 希望の曜日や日時に対応可能か
訪問リハビリテーション事業所は、事業所によって営業している曜日や訪問可能な時間が異なります。利用者自身の生活リズムにあった曜日や時間に訪問してもらえるように設定しないと、心身の負担となって思った効果が表れなかったり、利用継続が難しくなったりします。
事業所を選ぶときは訪問可能な曜日と時間を確認し、無理のないスケジュールで訪問可能な事業所を選ぶようにしましょう。ケアマネジャーに訪問リハビリテーションの利用を相談する段階で希望を伝えておくと、サービス調整がスムーズになるのでおすすめです。
5-2. リハビリスタッフの経験年数と人数
いかに国家資格を持つ専門職とはいえ、経験の浅い職員が多い事業所となるとサービスの質に不安を感じる人もいるでしょう。訪問してくるスタッフは固定制ではなく2〜3名程度のチームで担当する場合が多いので、なるべく経験豊富なスタッフが多い事業所を選ぶと安心です。
参考になる指標としては、「サービス提供体制強化加算」算定の有無が参考になります。経験年数7年以上の職員が1名以上いる場合は「サービス提供体制強化加算(Ⅰ)」を、3年以上の職員が1名以上いる場合は「サービス提供体制強化加算(Ⅱ)」を算定しています*11。担当のケアマネジャーに相談し、「サービス提供体制強化加算」を算定している事業所の中から紹介してもらうとよいでしょう。
5-3. 事業所のフォロー体制が十分か
訪問リハビリテーションは自宅の中で1対1で関わるサービスなので、利用者本人とスタッフとの相性が重要です。どうしても相性が合わずスムーズにリハビリが進まない場合があるので、困ったときは担当スタッフの変更が可能かどうかを事前に確認することをおすすめします。
また、サービス利用中の体調急変や思わぬトラブルに対する体制についても事前に知っておくと安心です。緊急対応や苦情対応方法などについては重要事項説明書や契約書に記載されています。読んでみてわからないところがあったら、契約前に必ず質問し、いざというとき体制が整っているかを確認しておくことが大切です。
5-4. 計画通りのリハビリ実績が豊富か
訪問リハビリテーションは、外出が困難な者にリハビリを実施することによって日常生活の自立や社会参加を促すものです。そのため、計画通りにリハビリテーションを実施することで通所系サービスへの移行や計画を達成してサービス利用を終了した実績を多数もつ事業所を選ぶことがおすすめです。
そこで事業所選定の指標となるのが、「移行支援加算」です。移行支援加算とは、現在注目されている「アウトカム評価」と呼ばれる成果報酬のひとつで、訪問リハビリテーション利用者を通所系サービスに移行させたり、機能改善の結果サービスを終了させたりした実績豊富な事業所が算定できる加算です*12
実績があり信頼できる事業所を利用したいと考える場合は、「移行支援加算」を算定している事業所から選ぶようにしましょう。
5-5. 認知症ケアに積極的か
訪問リハビリテーションの利用を希望している方に認知症がある場合は、認知症の状況に合わせた説明や指導ができるスタッフによるリハビリでないと効果が不十分になってしまう恐れがあります。そのため、認知症の研修を積極的に職員に実施している事業所を選ぶと安心です。
厚生労働省が運営している「介護サービス情報公表システム」では、市区町村単位でサービス事業所を検索でき、事業所ごとの詳しい経営状況や研修状況を確認することが可能です。公的なシステムで広告などの表示もなく安全に利用することができますので、事業所選びにお困りの際は一度アクセスしてみることをおすすめします。
5-6. ケアマネジャーや福祉用具の事業所と連携しているか
訪問リハビリテーションのサービス内容である「居住環境の整備」や「退院前の話し合いやサービス担当者会議への出席」「その他サービス提供事業所へのアドバイスや情報共有」などは、いかにほかの関係事業所と連携が取れるかが非常に重要です。
なかでもケアプランを作成して利用者の生活全体を支援するケアマネジャーや、福祉用具のレンタルや販売・住宅改修を担う福祉用具事業所との連携は欠かせません。たとえば事業所選定の段階で「どんな歩行器を選んだらいいか分からない」「どうすれば自力でトイレに行けるようになるか教えてもらいたい」などと具体的にケアマネジャーに相談すると、解決方法を導き出せる事業所を紹介してくれるでしょう。
5-7. 嚥下や言語のリハビリが必要であれば言語聴覚士の在籍状況
言語聴覚士は、食事摂取や言語障害に関するリハビリの専門家です。特に誤嚥性肺炎を起こした人や「話す」「聞く」といった能力に障害がある方の場合は、言語聴覚士によるリハビリが効果的です。
じつは理学療法士や作業療法士に比べて言語聴覚士は人数が少ないので*13、*14、*15、同じ訪問リハビリテーションの事業所でも言語聴覚士は配置されていない場合があります。飲み込みや言語に関するリハビリが必要な場合は、「介護サービス情報公表システム」で調べたり事業所に問い合わせたりして、言語聴覚士が在籍している事業所を選ぶようにしましょう。事業所探しは担当のケアマネジャーに依頼することも可能です。
また、いえケアの事業所検索で事業所を探すこともできますので確認してみましょう。
5-8. 事業所の医師は訪問診療してくれるか
訪問リハビリテーションの利用を継続するためには、基本的に事業所に所属する医師を3ヶ月に1回受診する必要があります*2、*8。そもそも訪問リハビリテーションは、外出が困難な方が利用するサービスです。たとえ3ヶ月に1回とはいえ、いつもの医者に加えて異なる医療機関を追加で受診することはかなりの負担になると考えられます。
そこで一部の訪問リハビリテーション事業所では、来院しての診察ではなく医師が訪問診療(利用者宅を定期的に訪問して診察する)して利用者の負担を減らす取組を実施しています。複数の医療機関を受診することが困難な場合は、訪問診療に対応しているところを探してもらうよう、ケアマネジャーに相談して探してもらいましょう。
参考文献
*6.指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準 第30条第20号および第21号
*7.指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第19号および20号
*8.日本訪問リハビリテーション協会 「よくある質問」Q3.情報提供書を指示書とみなしてよいのか。
*9.厚生労働省 平成 30 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)
*10.厚生労働省 介護サービス情報公表システム 介護保険の解説 サービス編
*12.厚生労働省 訪問リハビリテーション費 加算・減算適応要件
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