この記事を監修したのは
介護認定審査会委員/株式会社アテンド代表取締役
河北 美紀
要介護2では、日常の生活動作において部分的もしくは全体的に介護が必要な状態です。要介護2に認定された段階では、身の回りのことが思うように自力でできなくなってきているため、つらい思いをしてしまう方もいらっしゃいます。要介護2と認定された方のご家族も、介護にかかる時間が増え、介護への向き合い方を考える機会も増えてきます。ここでは、要介護2と認定された方やご家族のために、要介護2の方が利用可能なサービスや施設について解説しつつ、要介護2の期間にやっておいたほうがよいことも紹介します。
★こんな人に読んでほしい!
- 要介護2と言われた方のご家族
- 認知症と診断された方のご家族
- 要介護1から要介護2に介護度が上がった方のご家族
★この記事で解説していること
- 要介護2とは、日常の生活動作において部分的または全体的に介護が必要な状態のこと
- 同じ要介護2を取得していても身体症状のみ、認知症状のみなど人によって状態はさまざま
- 要介護2の区分支給限度額の目安は19万7050円。レンタルできる福祉用具も増える
- 要介護2の方が自宅で利用できるサービスには、訪問介護、居宅療養管理指導、訪問看護、デイサービス、デイケアがある。介護状態によって最適なものを組み合わせることが重要
- 要介護2で施設入居されている方は住宅型の施設が多い。介護状態や費用などをポイントに施設を選ぶのがおすすめ
- 要介護2のうちに、旅行や外食、お墓参りなど、やりたいことをやっておくことが大事
1. 要介護2とは?他の基準との違い
1-1. 要介護2とは、日常の生活動作において部分的または全体的に介護が必要な状態のこと
要介護2とは、食事や排泄などに何らかの介助を必要とすることがあり、日常の生活動作において部分的または全体的に介護が必要な状態です。歩行や移動の動作においても、何らかの支えが必要となります。
また、同じ要介護2でも人によって介護状態に差があり、認知症の症状のみによって要介護状態となっている方や、認知症と他の病気を併発している方、身体的な症状のみによって要介護状態となっている方がいます。
1-2. 要介護認定の基準
要介護度は、一次判定と二次判定の二段階で行われます*1。
・コンピュータによる一次判定
市区町村の認定調査員が自宅を訪問して行った聞き取り調査(訪問調査)の結果と、かかりつけ医の意見書に基づき要介護認定等基準時間が推計される。要介護認定等基準時間は、1分間タイムスタディという特別な方法によって推計されるため、実際の介護時間と異なるが、要介護認定の基準となる。
・二次判定
一次判定の結果をふまえ、保健・医療・福祉の専門家が介護認定審査会を行い二次判定をする。
一次判定では、推計された要介護認定等基準時間と認知症加算の合計をもとに、要支援1から要介護5に判定されます。要介護2は、「要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態」となっています。
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要支援2/要介護1 | 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態 |
1-3. 要介護1と要介護2の違い
要介護1と要介護2の違いは、前述した「どれだけ介護に時間がかかるか」を指標とした要介護認定等基準時間の長さにあります。要介護1では「要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態」となっており、要介護2では要介護1より介護にかかる時間が長くなっているのが特徴です。
厚生労働省が公表している2019年の統計によると要介護1の方は認知症や高齢による衰弱の方が要介護2に比べ割合が多くなっています。要介護度は必ずしも段階を踏んで上がるのではなく、日常生活動作の低下の程度によっては、要支援から要介護1を飛び越えて要介護2と認定される方もいます。
下の図は、市区町村が掲示している要介護度別の状態像の目安になります。あくまで要介護度の判定では、要介護認定等基準時間である介護にかかる時間が基準となりますので参考にとどめておいてください。
要介護度別の状態像目安*2.3.4.5.6.7
要介護1 | 要介護2 | |
立ち上がり・歩行 | 不安定で、支えが必要 | 不安定で、支えが必要。起き上がりや姿勢の保持も自力では難しい場合があり、手助けが必要 |
食事 | 自力でできる場合が多い | 自力では難しい場合があり、手助けが必要 |
トイレ・入浴 | 自力でできるが、部分的に手助けが必要 | 自力でできるが、部分的または全般的に手助けが必要 |
認知機能 | 理解力の低下や問題行動が見られることがある | 理解力の低下や問題行動がみられることがある |
1-4. 要介護2と要介護3の違い
要介護2と要介護3の違いも、要介護認定等基準時間にあります。要介護3では、「要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態」となっており、要介護2よりも介護にかかる時間が長くなります。要介護3では、ほぼ全般的に日常生活動作に介護が必要となります。
要介護度別の状態像目安*2.3.4.5.6.7
要介護2 | 要介護3 | |
立ち上がり・歩行 | 不安定で、支えが必要。起き上がりや姿勢の保持も自力では難しい場合があり、手助けが必要 | 立ち上がりや歩行だけでなく、起き上がりや寝返り、姿勢の保持も自力では難しいことがあるため、一部介助が必要 |
食事 | 自力でも可能だが、咽るなどリスクもあるため見守りや一部介助が望ましい | 自力ではできないことが多く、見守りも含め、手助けが必要 |
トイレ・入浴 | 自力でできることもあるが、人によっては部分的または全般的に手助けが必要 | 自力では難しいことが多い。衣服の着脱などでも全般的な手助けが必要 |
認知機能 | 理解力の低下や問題行動がみられることがある | 理解力の低下や問題行動がいくつかみられることがある |
2. 想定していた認定結果と違う!こんなときはどうする?
想定していた要介護度よりも低い認定結果となり、正しい要介護認定がされなかったと感じた場合には、審査請求(不服申立て)が可能です*8。
認定結果を知った翌日から3ヵ月以内に介護認定審査会に不服申立てができます。しかし、認定結果そのものに対してというより、認定結果までの過程に違法性や不当な扱いがあった場合に審査請求をすることが多く、認定結果の変更はあまり現実的ではありません。また、結果が出るまでに数ヶ月を要するため、認定結果に納得いかないという場合には「区分変更の申請」をおすすめします。
区分変更の申請は、要介護認定の有効期間を待たずに行えます*9.10。認定結果はおおよそ30日以内で通知されます。ただし、要介護度が高くなることを想定して区分変更を申請しても、審査会の判定によっては現段階の要介護度より低くなる可能性もあるので、まずは担当のケアマネジャーやかかりつけ医など専門家にご相談ください。
- Q要介護2から要介護3になるためのポイントはありますか?
- A
要介護2と要介護3の境界線がどこにあるというわけではありませんが、やはり重要なのは日常的に受けている介助の量・介護にかかる時間・介護の手間です。自分でできることが多くなれば多くなるほど受けている介助量は少なくなりますので、必然的に認定は軽くなります。要介護3となると、日常生活のかなり多くの部分を介助に依存していることになります。よく「周囲の方と比べて要介護2は低すぎる」や「今までよりも状態が悪くなっているのに要介護2のままなのはおかしい」と言われる方も多いですが、だからといって要介護3になるとは限りません。区分変更をするべきかについては、まずはケアマネジャーと相談してみましょう。
3. 要介護2で受けられる介護保険サービスの内容と支給限度額
3-1. 要介護2で受けられる介護保険サービス早見表
要介護2と認定された方が介護保険で利用できるサービスをご紹介します*11。
自宅に訪問してもらう | ・訪問介護(ホームヘルプ)・訪問入浴・訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導・夜間対応型訪問介護※・定期巡回・随時対応型訪問介護看護※ |
施設に通う | ・通所介護(デイサービス)・通所リハビリ(デイケア)・地域密着型通所介護(地域密着型デイサービス)※・療養通所介護※・認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)※ |
短期間の宿泊 | ・短期入所生活介護(ショートステイ)・短期入所療養介護 |
訪問・通い・宿泊を組み合わせる | ・小規模多機能型居宅介護※・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)※ |
施設への入居 | ・介護老人保健施設(老健)・介護療養型医療施設・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)・介護医療院 |
地域密着型の小規模な施設など | ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)※・地域密着型特定施設入居者生活介護※ |
福祉用具を使う | ・福祉用具貸与・特定福祉用具販売 |
※市区町村指定の事業者が地域住民に提供する地域密着型サービス
3-2. 区分支給限度額とは?要介護2の支給限度額の目安は19万7050円
介護保険から給付される1ヶ月あたりの上限額を区分支給限度額といいます。区分支給限度額は、「単位」で表され、要介護度によって異なります。介護保険のサービスの種類などによっては1単位当たりの単価は変わりますが、目安として1単位当たり10円で計算すると、要介護2の区分支給限度額は19万7050円*12になります。
介護保険サービスの利用者は、サービスの費用の1割(一定以上の所得者の場合は2割または3割)を負担*12します。
介護保険を利用して受けられるサービス以外にも、市区町村が独自に取り組むサービスやボランティアサービス、民間のサービス等、比較的安く受けられるサービスもありますので、上手に組み合わせて利用してみてください。詳しくはお住まいの自治体のホームページで調べるか、地域包括ケアセンターもしくは担当のケアマネジャーにご相談ください。
3-3. 要介護2になると介護用ベッドなどレンタルできる福祉用具が増える
要介護2になると、レンタルできる福祉用具が増えます。利用者は福祉用具のレンタルにかかる費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を負担*13しますが、負担分は要介護度別の区分支給限度額に含まれます*14。
要介護2で利用できる福祉用具のレンタル対象品目をご紹介します*13。
要介護2で利用できる(保険給付対象内) | ・手すり・スロープ・歩行補助杖・歩行器・特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・車いす・車いす付属品・認知症老人徘徊感知器・体位変換器・移動用リフト |
要介護1では、レンタルできる福祉用具は4品目だったのに対し、要介護2では12品目と大幅に増えています。
特に大きいのは特殊寝台、つまりは介護用ベッドが介護保険でレンタルできることです。例外的な取り扱いはありますが、要支援1・2,要介護1の認定では介護用のベッドはレンタルができない決まりとなっています。自費でレンタルをする場合もありますが、利用できる品目が制限されるなどの不都合も生じます。要介護2以降であれば、ケアプラン上に位置づけられ、担当者会議で必要性が認められれば介護保険でのレンタルが利用できるようになります。
また、肌に触れるもので他人が使ったものを利用することに抵抗を感じる福祉用具(入浴や排泄に使用する用具など6品目*15)は特定福祉用具に位置付けられており、要介護度にかかわらず、同一年度で10万円の購入費が支給されます*16(利用者が全額を支払った後に費用の9割が払い戻される、償還払い)。
3-4. 自宅の介護リフォームに補助金が使える。上限は20万円
在宅介護をされる方に検討していただきたいのが、自宅の介護リフォーム(住宅改修)です。自宅での思わぬ事故を防ぐためにも介護リフォームは重要です。要介護度に関わらず、原則1回20万円までの支給限度額が設定されています*15。
介護保険の給付対象となる住宅改修は、以下の6種類*15です。
住宅改修について詳しくお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。
4.要介護2の方が自宅で利用可能なサービス
4-1. 在宅訪問サービスの内容と費用・回数の目安
自宅で利用できるサービス(訪問系サービス)で、要介護2の方の利用が多いのは訪問介護、居宅療養管理指導、訪問看護*17です。サービス内容を簡単にご紹介します。
サービス名 | 内容 |
訪問介護*18 | ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援(生活援助)を行う。通院のための病院や自宅間の移送の乗り降りを介助(通院等乗降介助)することもある。 |
訪問看護*19 | 看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが疾患のある要介護者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて血圧や脈拍、体温などの測定、症状のチェック、排泄や入浴の介助、リハビリテーションなどを行う。 |
居宅療養管理指導*20 | 医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士または歯科衛生士などが、通院が困難な要介護者の自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行う。 |
訪問介護の「通院等乗降介助」は、「介護タクシー」とも呼ばれますが、介護保険サービスに「介護タクシー」というサービスはなく、あくまでも通院等を目的とした利用になります。病院以外の目的地までの乗降介助を依頼したい場合は民間のサービスを利用するようにしましょう。
要介護2になり日常の生活動作が難しくなるにつれ、医療機関や薬局、歯科医院などに通うことが困難になり、居宅療養管理指導を利用する機会が増えます。また、リハビリテーション(以下、リハビリ)のサービスは訪問リハビリのほか、訪問看護の一環として行われることもあり、要介護度が低いうちは排泄や食事などの身体介護サービスより、リハビリのサービスを利用する方も多くいます。 要介護者の状態に応じ、最適なサービスを組み合わせて利用するようにしましょう。
要介護1〜5の方の訪問介護の負担費用*21は以下の通りです。
内容 | 時間 | 費用(1単位10円で計算。自己負担1割の場合) |
---|---|---|
身体介護 | 20分未満 | 163円 |
20分以上30分未満 | 244円 | |
30分以上1時間未満 | 387円 | |
1時間以上1時間30分未満 | 567円 | |
以降30分増すごとに | 82円 | |
引き続き生活援助を行った場合の加算(70分を限度として25分毎) | 65円 | |
生活援助(家事支援) | 20分以上45分未満 | 179円 |
45分以上 | 220円 | |
通院時の乗車・降車等介助 | 97円 |
要介護2の訪問介護の利用回数は特に制限があるわけではありませんが、利用者の平均でみると週3~4回利用という方が多いようです。一人暮らしでサービスの利用が様々な場面で必要になるほど訪問介護の利用頻度も高くなります。あくまで目安として考えましょう。
4-2. デイサービス・デイケアのサービス内容と費用・回数の目安
施設に通うサービスとしては、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)があります。
サービス名 | 内容 |
デイサービス*22 | 通所介護施設などに通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のためのリハビリや口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する。レクリエーションなどを通した高齢者同士の交流もある。 |
デイケア*23 | 老人保健施設や病院、診療所などの通所リハビリテーションの施設に通い、医師の指示のもとリハビリを中心としたサービスを日帰りで提供する。食事や入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上のためのリハビリ、口腔機能向上サービスもある。デイサービスとの違いは、より専門的なリハビリに特化している点。 |
要介護2の利用回数の目安は、デイサービスが週に2〜3回*24、デイケアが週に2〜3回*24です。しかし、要介護2の方でも身体的な症状が重い方で週に5日利用しているケースもあるため、要介護者の介護状態によって利用回数を検討する必要があります。
要介護2の方のデイサービス負担費用*21(通常規模※の事業所の場合)
時間 | 費用(1単位1円で計算) |
3時間以上4時間未満 | 423円 |
4時間以上5時間未満 | 444円 |
5時間以上6時間未満 | 673円 |
6時間以上7時間未満 | 689円 |
7時間以上8時間未満 | 777円 |
8時間以上9時間未満 | 791円 |
※通常規模とは1ヶ月の平均利用のべ人数が750人以内を指します
昼食やおやつ代、おむつ代、娯楽・教材費などは別途料金がかかります。事業所により内訳は異なるため事前に確認が必要です。このほか、機能訓練の内容により複数の加算があります。
要介護2の方のデイケア負担費用*21(通常規模※の事業所の場合)
時間 | 費用(1単位1円で計算) |
1時間以上2時間未満 | 398円 |
2時間以上3時間未満 | 439円 |
3時間以上4時間未満 | 565円 |
4時間以上5時間未満 | 642円 |
5時間以上6時間未満 | 738円 |
6時間以上7時間未満 | 850円 |
7時間以上8時間未満 | 903円 |
※こちらの料金は2024年6月報酬改定以降の料金となります。
※通常規模とは1ヶ月の平均利用のべ人数が750人以内を指します
このほか、延長による加算やリハビリ内容により複数の加算があります。
4-3. 要介護2の方が入居できる介護施設
要介護2の方が入居できる介護施設をご紹介します。
種類 | 名称 | 特徴 |
介護保険施設 | 介護老人保健施設(老健)*25 | 在宅復帰を目指している方の施設。リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する |
介護医療院*26 | 長期にわたって療養が必要である方が対象。療養上の管理や看護、介護、リハビリテーションなど必要な医療と日常生活に必要なサービスを提供している | |
高齢者向け住まい | 介護付き有料老人ホーム*27 | 介護等のサービスが付いた居住施設。サービスはホームが提供する |
認知症対応型共同生活介護*28 (グループホーム) | 認知症の高齢者向けの共同生活住居。サービスはホームが提供する | |
住宅型有料老人ホーム*27 | 食事や家事支援などの生活支援等のサービスが付いた居住住宅。介護が必要になった場合、別途外部の介護サービスを契約する | |
サービス付き高齢者向け住宅*29 | 見守りサービス(安否確認・生活相談)を受けられる高齢者単身・夫婦世帯が居住できる賃貸住宅。介護サービスは別途契約する | |
ケアハウス*30 (軽費老人ホーム) | 身体機能の低下により、一人暮らしに不安のある方や家族の援助が困難な方向けの入居施設。介護サービスは別途契約する |
要介護2の方が多く入居される施設は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅です。これらの住宅型サービスでは、必要なサービスを利用者が選択し、サービス提供事業者と別途契約します。要介護度が低い間は自由度が高く、費用も比較的抑えられるので、要介護2では住宅型サービスの施設を選択する方が多いです。
ただし、介護度が重くなってしまうと住宅型サービスでは対応できず、退去をお願いされるケースもあるため、入居の際には退去条件などを確認しておくことが重要です。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の利用条件は要介護3からですが、自宅での生活が困難な理由が認められれば、特例として要介護1や2の方でも入所できる場合があります。特別養護老人ホームは比較的費用も抑えられ、介護も手厚いため人気が高く、原則は必要度が高い方が優先されます。施設入居希望の方は他の介護型施設と並行しての検討をおすすめします。
4-4. 施設に入居する際のポイント
要介護2の方が入居できる施設はたくさんの選択肢があるため、迷われる方も多いかもしれません。施設を選択するポイントとして、利用者の介護状態を目安にしましょう。高齢者向けの施設は、「介護型」と「住宅型」の2種類に分けられます。「介護型」は施設の職員が介護サービスを提供しますが、「住宅型」は別途、介護サービスを提供する外部事業者と契約する必要があります。要介護2でも、身の回りのことがある程度自力でできる方は自由度の高い「住宅型」の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を選択するのがおすすめです。
必要な介護サービスをオプションで契約するため、要介護度が低い間であれば費用を抑えられるので、費用面も考慮しながら利用するサービスを決めてみても良いでしょう。
自分に合う施設を見つけるため、施設見学や短期宿泊などを活用することもおすすめです。
5. 要介護2で一人暮らしをしている方は16.9%。将来的に同居や施設への入居を検討しましょう
要介護2の方で、実際に一人暮らしをしているという方は要介護者等のいる世帯の16.9%*31を占めていますが、要支援の方や要介護1の方と比べると一人暮らしは困難になる場合が多いです。
自宅で一人暮らしをしたいという本人の強い希望があり、食事やトイレ、入浴が自力でできるという状態であれば、住宅改修や福祉用具の貸与・購入で環境を整えることで一人暮らしも可能ではあります。しかし、誰もいない時間にもしものことが起きるリスクもあるので、もしもの事態にも備えておきましょう。
本人の強い希望がある場合や、どうしても一人暮らしをせざるを得ない方は、本人の状態を考慮し、一人暮らしを続けていくために必要な条件を洗い出して環境を整え、介護保険内だけでなく、介護保険外のサービスや見守りサービスなどを導入するようにしましょう。
要介護2の方及び家族の不安を解消し、安全かつ快適に生活するためにも、できる限りご家族との同居や施設への入居が望ましいでしょう。難しい場合は、緊急時の対応も含め、どのような生活が可能かケアマネジャーと相談することをお勧めします。
6. 後悔しない介護のために今できることを
要介護3以上になると、多くの場合は自力で日常生活を送ることが困難になり、本人や家族の精神的・肉体的負担も大きくなってきます。先のことを考え、要介護2のうちにできることをしておくというのも重要です。
要介護2の期間であれば、見守りや手助けがあれば食事、トイレや入浴など身の回りのことが自力でできる方も多いため、旅行や外食、お墓参りなど、今のうちにできることを後悔しないようにやっておきましょう。
また、今後の過ごし方について要介護者と話をし、入居を見据えて施設見学などもしておくとよいでしょう。
7. 要介護2のケアプランの例、週5回デイサービスは使える?
要介護2のケアプラン例を紹介します。要介護2となると、予防や維持を目的としたサービスだけでなく、日常生活の世話としての介護の量が多くなります。家族等による介護力にもよりますが、何らかのサービスを毎日利用している方も少なくありません。
また、デイサービスも週2~週3回など、複数回利用している方が多くなります。週複数回利用する理由は、入浴の利用などが挙げられます。身体状況や家屋の状況から自宅での入浴が困難になったため、デイサービスで入浴する利用者は、入浴が週1回だと少ないので週2回以上利用するパターンが多くなります。
他にも様々な目的がありますが、要介護2の方は要介護1の方よりも一般的にサービスの利用頻度が高くなります。
7-1. 要介護2で家族と同居している例
心不全による呼吸苦があり、全身状態の低下が進んでいる。
長女夫婦と同居しているが、二人とも就労していることから、平日は不在。平日は週3回のデイサービスまたは訪問介護・訪問看護を利用している。
- 訪問介護(午前・午後、週に2回)
- 訪問看護(午前、週に1回)
- デイサービス/デイケア(午前~夕方まで、週に3回)
- 家族による介護(休日、平日日中以外)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
午前 | 訪問介護 | デイサービスまたはデイケア | デイサービスまたはデイケア | 訪問看護 | デイサービスまたはデイケア | 家族による介護 | 家族による介護 |
午後 | 訪問介護 |
7-2. 要介護2で住宅型有料老人ホームに入居している例
脊柱管狭窄症で続けての歩行が困難。認知症はない。子どもはなく、夫婦二人で協力しながら暮らしていた。妻に先立たれたことにより、自宅での生活が困難になったことから住宅型有料老人ホームへの入居を決断。現在はホーム内では歩行器を使って歩けるようになり、施設併設の通所を週1回、訪問看護によるリハビリ、訪問介護による掃除などのサービスも利用しながら生活している。
- 住宅型有料老人ホームに入居
- 訪問介護(午後・午後、週に4回)
- 訪問看護(午前・午後、週に2回)
- デイサービス/デイケア(午前~夕方まで、週に1回)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
午前 | 訪問看護 | デイサービスまたはデイケア | 訪問介護 | 訪問介護 | |||
午後 | 訪問介護 | 訪問介護 | 訪問看護 |
- Q住宅型有料老人ホームだと自由がなさそうで心配
- A
施設にもよりますが、住宅型有料老人ホームは自由度が高く、外出なども自由にできるところが多いです。サービス利用の調整も毎日必ずというわけではなく、相談しながら決めることができることが多いです。費用や自由度などを考えるとひとつの有効な選択肢になります。
7-3.要介護2で一人暮らし、ヘルパーの支援を受けている例
糖尿病と両膝変形性関節症で現在一人暮らしで生活。妻に先立たれ、子どもたちとも疎遠。食生活を含めた不摂生から糖尿病となり、服薬による治療中。通院はタクシーを利用し、友人が付き添いを協力してくれている。
- 食事は栄養管理の必要性から配食サービスを利用
- 掃除や買物等、訪問介護のサービスを利用
- 入浴は週に2回訪問看護師が訪問して介助
- 福祉用具のレンタルで特殊寝台(介護用ベッド)と手すりを利用
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
午前 | 訪問介護 | 訪問介護 | 訪問介護 | ||||
午後 | 訪問看護 | 訪問看護 |
7-4. 平日は毎日デイサービス利用
息子夫婦と同居。認知症があり、一人で歩きだしてしまうが歩行にふらつきがあって転倒しやすく、目を離せない。嫁も平日は週5日パートで仕事に出かけているため、日中はデイサービスを毎日利用。
- 週5日間、デイサービス(通常規模 7-8時間)を利用
- それ以外のサービスは利用なし
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
午前 | デイサービス | デイサービス | デイサービス | デイサービス | デイサービス | ||
午後 |
デイサービス週5回利用(仮に22回とする)しても基本単位数でみると17094単位。要介護2の区分支給限度額19,705単位をオーバーすることはありません。ただ、事業所によって算定する加算も多いため、限度を超過する可能性もあります。ケアマネジャーによく確認しましょう。
もし、週7日間デイサービスを利用する場合は、基本単位で24,087単位になるため、大幅に限度額を超過します。5時間以上のデイサービスを毎日利用する場合は限度額を超過する可能性が高いと思ってください。
参考文献
*9.江東区 要介護・要支援認定の申請について(区分変更申請)
*10.港区 介護保険の認定を受けています。心身の状態がかわった場合、要介護認定をやりなおしてもらえますか
*13.厚生労働省 福祉用具貸与
*14.国税庁 「4 居宅介護サービス費等の支給限度額(介護保険法43)」
*15.厚生労働省 福祉用具・住宅改修
*16.厚生労働省 特定福祉用具販売
*17.厚生労働省 令和元年度 介護保険事業状況報告(年報)
*19.厚生労働省 訪問看護
*20.厚生労働省 第182回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料 「【資料5】居宅療養管理指導」
*21.和歌山市 介護給付費単位数等サービスコード表(令和4年4月施行版)
*24.厚生労働省 第141回社会保障審議会介護給付費分科会 参考資料
*26.厚生労働省 介護医療院
*27.厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
*28.厚生労働省 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
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