ケアマネの態度が悪い?家族が感じる不満とその原因。コミュニケーションの改善策を徹底解説

ケアマネの態度が悪い。ケアマネとのコミュニケーションの問題 介護コラム
いえケア(在宅介護の総合プラットフォーム)

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。

ケアマネジャーと接していると、「ケアマネって冷たくない?」「ケアマネってどうして偉そうなの?」「ケアマネって態度悪くない?」と感じることはありませんか?

実際、態度の悪いケアマネジャーも何人か、見てきました(地域包括で働いていた時の経験上)。でも、多くのケアマネジャーは接遇も丁寧で、一生懸命仕事をしているように思います。では、なぜ利用者や利用者の家族から「態度が悪い」と感じられてしまうのでしょうか

利用者家族
利用者家族

聞いてください。担当のケアマネジャーについてです。とにかく態度がでかくて、ちゃんと話を聞いてくれないんです。

先日、離れて暮らしている父が家で転んだんです。病院に行ったところ、幸い骨にも異常がなかったようなのですが、腰に痛みがあると言っています。夫婦二人暮らしで、母も高齢なので、介護は期待できません。早々に施設入所が必要かなと思っているのですが、ケアマネジャーに連絡したら「本人の意向を確認してみます」だけ。急がなきゃいけない状況なのに、どうしてそんな悠長なことを言っているのか。

そしたら、今度は、「本人も奥様も自宅での生活を希望しているので、まずは手すりなどを設置することになりました」って。もう施設じゃないと危ないし、何かあったらどうするつもりなのかしら。

ちゃんと話を聞いてくれるケアマネジャーだったら、介護度が1だから見直しの申請をして、施設入所の手続きをすぐにしてくれると思うんです。あと、整形外科も近くのクリニックじゃなくてちゃんとした大きな病院に連れて行ってもう一度検査をしてほしい。ケアマネジャーの仕事ってそういうものじゃないの?

いえケア編集部
いえケア編集部

質問ありがとうございます。お父様を心配する気持ちは大変良くわかります。ただ、施設に入ったからといってすべてが万事解決するわけではなく、施設で暮らしても24時間職員が付きっ切りではないので、転倒のリスクはあります。そのリスクを踏まえつつ、どう暮らしていくのか、本人の希望をくみ取りつつ、ケアマネジャーさんは行動しているのかと思います。

では、なぜこのようにケアマネジャーと利用者・家族の間のコミュニケーションにギャップが生まれてしまうのでしょうか。この背景について、解説します。

【この記事を読んでほしい人】

  • ケアマネジャーに対して、「対応が冷たい」・「態度が悪い」と感じてしまう本人・家族
  • ケアマネジャーの言葉がいつもきついな、と感じてしまう方
  • 利用者に対する接し方について見直してみたいケアマネジャー

【この記事で伝えていること】

  • ケアマネジャーに相談しても冷たい?態度が悪い?と家族が感じてしまう背景
  • ケアマネジャーとのコミュニケーションを円滑にする方法
  • ケアマネジャーとの関係を維持できない場合
  • ケアマネジャーが本人家族との関係を良好に保つためのポイント

ケアマネジャーに相談しても冷たい?家族が感じる不満の背景

先程説明した通り、ケアマネジャーに相談しても、冷たくあしらわれてしまう・ちゃんと取り合ってもらえない・横柄な態度をされてしまう、など不満を感じている家族もいると思います。なぜこのような不満が生まれているのでしょうか。

家族からケアマネへの期待値が高い

家族からケアマネへの期待値が大きいのもひとつの要因です。

  • このくらいのことはケアマネだったらやってくれるんじゃないか。
  • ケアマネならやってくれても当然。
  • 近所の○○さんのケアマネはこのくらいのことをしてくれていた。

このように思われるご家族もいらっしゃいますが、実際のところ、ケアマネの業務範囲外ということもあります。ケアマネの業務範囲に関しては以下の記事にも掲載していますが、誤解も多いというのが現実です。

よそのケアマネだったらやってくれた、という噂話が独り歩きすることもありますが、諸々個別性の高く緊急性のある事情が含まれる場合もあります。ケアマネの中にも一部、「何でも屋」であることに喜びを感じて受け入れる方もいるのが現実です。でも、同じスーパーマーケットでも、イ○ンはこれをセールで売ってくれたら、イ○ーヨーカドーでも同じセールをして、って言う人はいないですよね。

ケアマネジャー側の問題もあるかもしれませんが、ひょっとしたらケアマネジャーに対する要求が高すぎることが影響しているかもしれません。

ケアマネの事務的な対応が「冷たい」と感じられる

ケアマネの態度は悪い?ケアマネと向き合う家族

ケアマネの対応が「冷たい」と感じられることも多いようです。

ケアマネ自身が冷たいのかもしれませんが、ケアマネは介護保険という制度の下で動いており、ケアマネ以上に介護保険という制度が冷たいという現実もあります。介護が必要な利用者や家族にとって必ずしもやさしい制度ではありません。自立支援を重視し、軽度者への支援をやや軽視する傾向にあり、介護保険でできることは限られます。

必ずしも、かゆい所に手が届く制度ではありません。なので、ケアマネが「できません」と拒否しているのではなく、介護保険のルールによって認められないというのが本当の所です。

もちろん、ほんとに冷たい人もいると思います。いろんな方がいますので、全国のケアマネ全てがやさしくて暖かい人ではないと思います。冷たい、という反面冷静に状況判断できるケアマネもいます。情熱的で熱い、けれど自立支援をするようにスパルタ的で押しつけがましいケアマネもいます。

どちらもいい面悪い面はあると思います。

ケアマネとの間にある介護に関する知識・経験の差

ケアマネとの間には介護に関する知識と経験の差があります。

本人や家族から見たら一大事と思うことであっても、ケアマネの視点から見れば比較的よくあることや予想できたことなどもあります。そのため、本人や家族との間での危機感の差や切迫感の差があると感じることがあります。

もちろん、ケアマネの見立てが必ずしも正しいとは限りませんが、多くのケースを見てきて、各事業所からの情報を受けている中で、ある程度の根拠を持って判断をしています。ただ、それを言語化して、本人や家族に十分伝わるように説明できていない場合もあります。

それが結果として、あまり親身になってもらえなかった、冷たくあしらわれた、という感情になってしまうことがあります。

このような積み重ねで、ケアマネの態度が悪い・ケアマネの態度が冷たい、と感じてしまうのです。

ケアマネジャーの業務の裏側、なぜ十分な対応ができないのか?

では、なぜケアマネは十分に本人・家族に対応できないのか

いずれももっと丁寧にケアマネが説明や対応をしていれば、冷たいと思われることもなく、良好な関係を築けていたのではないか。

実際、その通りです。じっくり時間をかけて話に耳を傾けてくれれば、本人・家族の満足度は高まりますし、信頼関係も強くなります。

しかし、それができない事情もあるのです。ケアマネはますます業務多忙になっている状況であり、時間の余裕がありません。一か月という時間的な区切りの中で全利用者のモニタリング訪問や記録作成、さらには新規の対応や認定更新や変更に伴うケアプランの作成、住宅改修に関する対応や病院との連携など、様々な業務が常に舞い込んできます。ケアマネに十分な時間は残されていません。

具体的にはこのような状況があります。

  • ケアマネは常に多数のケースを同時に管理しており、業務が多忙。
  • 緊急案件に優先度を置くため、対応が遅れることがある。
  • ケアマネはメンタルケアや感情的な支援に対応できるだけの十分な時間を確保できない。
  • 家族の希望と地域にある現実的な社会資源・リソースにギャップが存在。

制度改定によってケアマネ一人当たりの最大対応件数も引き上げられました。今まで以上に余裕がない状況になっています。1時間ゆっくり時間をかけて話をする、ということは昔の介護保険ではあったかもしれませんが、現在はそこまでゆとりを持って話をするということはあまりありません。

ケアマネの対応が冷たく感じる原因と、ケアマネが十分な対応ができない現実について、その背景も含めてお伝えしました。では、どうしたらコミュニケーション上のギャップが解消されるか

ケアマネとの間のコミュニケーションを改善するには

ケアマネとの間のコミュニケーションを円滑にするにはどうするか。

伝えたい話の要点を事前にまとめる

ケアマネに対して、だらだらを伝えるのではなく、まずは話の要点をわかるように整理しておくことをお勧めします。ケアマネジャーの時間は無限にあるわけではなく、訪問後にも次の予定があります。伝えたいことが長くなるようであれば、メモなどにまとめて整理しておくと、話をするときにもスムーズで伝え忘れることもなくなります。

また、転倒して怪我をした、皮膚の状態がおかしい、などの場合は、事前に写真を撮っておくことでその時の状況をより詳細に伝えることができます。LINEやメールなどで伝えることもひとつの方法です。

ケアマネの業務範囲を理解する

ケアマネのできること、できないことを理解することも必要です。介護保険でできることは限られますが、ケアマネ個人にできることはもっと限られます。

家族が自分で解決しなければいけない問題もあります。例えば、介護保険対象外のサービスなどであれば、ケアマネに連絡してもらうのではなく、自分たちで連絡するということもできます。なんでもケアマネに頼り切らないということも大切です。

本人・家族間の意見は統一しておく

意外とよくあるのは、家族のうちの誰が窓口になるかという問題です。たとえば、息子と娘がいて、同居している息子が中心に介護をしている場合、ケアマネは息子の話を優先的に聞きます。ただ、普段関わっていない娘が横から反対意見を言うこともあります。このように、複数の家族が別々の意見を言うと、まとまる話もまとまりません

まずは、ケアマネと話をする以前に本人と家族の意見は統一しておくとスムーズに進みます。誰がキーパーソンとして動くのか、事前に打ち合わせをしておくことが重要です。

本人と家族や、家族同士の意見は非常によく起こります。兄弟間トラブルについての解決法はこちらの記事にまとめていますので、ご参照ください。

介護保険証・負担割合証などが届いたらすぐに連絡

介護保険証や負担割合証などの書類が届いたらすぐに連絡するといいでしょう。特に、LINEやメールなど画像ファイルで送ると、そこで確認のための訪問という手間が省けます。
※個人的にはこれが非常に助かったので。

つらい時にはつらいと言う

とはいえ、在宅介護はつらい。家族の介護負担は非常に重いです。

なので、いつでもフラットな精神状態でいれるわけではありません。つらいときにはつらいと、SOSをちゃんと出しましょう。無理をし過ぎるのもよくありませんので、家族で対応できない部分は、ケアマネさんの知恵を借りましょう。

このように、ちょっとの工夫をすることで、ケアマネとのコミュニケーションをスムーズにすることができます。お互いちょっとの心遣いで、コミュニケーションが円滑になるのはどの社会でも同じです。別にお茶を用意するとか、プレゼントを贈るとかそういうことではなく、自分で解決できることがあれば自分で解決するという気持ちもやはり大事です。

ケアマネジャーの変更が必要な場合の手続き

それでも、やはり関係の改善が難しい場合もあります。

偉そうなケアマネジャーに不満を感じる家族

もちろん、ケアマネジャーを変更するというのもひとつの方法です。ただ、感情的になっていきなりケアマネジャーを変更するのはあまりお勧めできません。まずは冷静に、ケアマネジャーが今後の在宅介護を継続するために必要な提案や助言、連絡調整などをしてくれているかを考えましょう。その上で地域包括支援センターなどの専門機関に相談することをお勧めします。

ケアマネとしてしなければいけないことをしていないということであれば、ケアマネを変更するという方法を考えましょう。

ケアマネを変更するための手順としては以下の通りです。

  • 地域包括支援センターに相談する
  • 地域包括支援センターからケアマネジャー事業所を紹介してもらう
  • 地域包括支援センターを介して新旧事業所間で情報のやり取りを行い、引き継ぎ
  • 新しい担当ケアマネジャーの決定・ケアマネジャー事業所との契約
  • ケアプランの作成・サービス担当者会議

ケアマネを変更するというだけでも、引き継ぎや契約など諸々の手続きが発生します。基本的には月替わりで担当事業所の変更となります。ゆとりをもって相談しましょう。詳しくはこちらの情報をご確認ください。

ケアマネ側が配慮するべきことは

玄関で見送る家族に声をかけるケアマネジャー

良好なコミュニケーションを維持するためには、ケアマネジャー側も配慮することが重要です。

すでにお伝えしたように、介護する家族は不安を感じていますし、情報も少ないです。
なので、ケアマネジャーの訪問に対して、必要以上にプレッシャーを案じてしまう方も多いのです。

ケアマネとしてはよくある内容・よくある質問かもしれませんが、本人・家族から見れば重大な問題である場合もあります。なので、丁寧な対応は常に心がけなければいけません。

利用者本人・家族や関係者からも、冷たい・態度が大きいと見られてしまいやすい状況にある(残念ながら)ことに関しては変えられない事実です。その前提に立って、自覚を持って訪問・面談することを心がけましょう。

個人的におすすめしたいのは、訪問・面談が終了して去り際に、家族が見送りに来られたら一言、家族を思いやる声かけをしましょう。

  • 夜、ちゃんと眠れてますか?
  • 腰、痛めてないですか?
  • 趣味だって言ってたコーラス、最近行けてます?

本人に焦点を置いた質問ではなく、介護をしている家族を焦点にあてた質問をしましょう。基本的にモニタリングでは本人を主役にした話をするのですが、家族にスポットを当てた問いかけをしていただくと、家族としても「自分のことも心配してくれている」「わかっていてくれている」という安心感が生まれます。

これ、もうほんのちょっとしたことなんですけど、これだけで全然印象変わりますし、ぽろっと急展開することもあります。ケアマネの仕事をしていたら、精神的にも時間的にも余裕はないかもしれないけれど、ちょっとしたことの積み重ねを大事にしていきましょう。

結果としてケアマネジメントをより円滑に進めることができます。

まとめ:在宅介護はコミュニケーションから

笑顔のケアマネジャーと家族の様子

在宅介護で一番大切なのはコミュニケーション

本人と家族、事業者、医師、そしてケアマネジャーのコミュニケーションが円滑に進んでいれば、いいチームが構築され、在宅介護を乗り切る力になります。コミュニケーションの持つ力は大事です。

ちょっとの気遣いや配慮がコミュニケーションを円滑にします。

本人・家族側も、ケアマネ側も、もちろん関係機関のみなさんも、気持ちに余裕はないかもしれないですが、そのちょっとの気遣いが積み重なって、在宅介護はうまく進むのです。

みなさまの在宅介護の負担が軽減されることを願っています。

いえケアロゴ

この記事を執筆・編集したのは

いえケア 編集部

在宅介護の総合プラットフォームいえケアです。
いえケア編集部では主任介護支援専門員としての地域包括支援センター相談員や居宅介護支援事業所管理者などの介護分野での経験を活かし、在宅介護に役立つ記事を作成しております。
運営会社:株式会社ユニバーサルスペース


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